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政治的な目的を達成するために暴力および暴力による脅迫


 トキヤに誘われて夜に夢に入る。英魔国首都には夢の中にも裁判所が儲けられており、強制出廷がされるため逃げる事は出来ない。そしてそこで緊急の事情聴取が行われる。身が重い私も参加するほど緊急要件であるようで、なんと族長全員が参加している。円卓の中心に縛られた天使族の子が跪き、私たちを睨み付けていた。そして、天使族のまとめ役のルシファーも青い髪を纏めて縫い髪止めをして様子を見ている。


 重々しい空気の中でエルフ族長が代表者として言葉を溢す。いつもの飄々としたスケベな仕草は全くない。


「では、静粛に事情聴取を行う。アーティファクトの『真実の鐘』を用意した。嘘を言っても無駄であり、自白しない場合は……夢で抜き取らせてもらう」


「……ふふ、それで勝ったつもりか? 『魔物・魔族』たち」


 魔物と呼ばれて一部がピクッと怒りの表情を示す。魔物と呼ぶのは帝国の人間側が多く。魔と言う文字の意味は「人間わざでなく、力を持って悪をなす物たち」を差す。故に「この呼び方もやめよう」と言う声も上がっている。だが、別に気にしてはないが大多数であるため、今はこのままの呼びである。


「何が英魔だ。優れた人間じゃない物だなんてヘドがでる。お前たちは多くの物を殺した大虐殺の首謀者じゃないか。『人間』を滅ぼした」


 罵詈雑言。しかし、族長たちの顔は険しい。理由は族長だけが知っている秘密を彼女が知っている事に内心、焦っていた。逆に族長を集めた理由も察する。裏切り者が居るかどうかを炙りに出している。しかし、誰も焦りを見せずに狼狽えたりしない。そのまま裁判は続ける。


「その情報はだれが漏らした?」


「漏らした? これは歴史だ。女神様が作られた理由。私たちは知らなかった。教えて来なかった。故に前回は負けた。そして、私たちは『温存』した」


 私は背筋が冷える。あまりにも何かが抜け落ちていたような気持ちである。何か取り返しのつかない宿題を忘れたような気持ちだ。いや、私たちが「過去」と戦うことを決められている。


「女神は女神の新しい候補に4人の天使を選んだ。そして、一人は……そこのラファエル様を含めて。ミカエル様、ガブリエル様、ウリエル様がいる!! そして、私たちは『力を手にした』」


 一斉にルシファーを見る。ルシファーは「え?」と言う表情で天使を見ていた。


「天使に紛れ混ませた諜報員。無自覚で情報を聞き流す。そして、時間がくれば敵となって重要拠点を破壊する。さぁ、ラファエル様!! 思い出してください!! 『女神ラファエル様』」


「……………え? えええええええ!?」


「お前が裏切り者か!!」


 議会が沈黙と同時に族長がラファエルに向かって剣や弓を構える。夢であるが魂が傷をつけられると現実にも作用するのだろう。ラファエルは狼狽えながら深呼吸をして何故かランスロットの父親の名前が刻まれた青い槍を眺めて落ち着き。言葉を発した。


「待ってください。私は姉妹を倒して堕天しました。そんな筈はない」


「女神ラファエル様。思い出してください。誰も倒しては居ませんよ。ラファエル様はスパイとして潜り込んだのです」


 皆が距離を保ちながら私はゆっくり立ち上がる。そして、静かに言葉を発する。この場を落ち着かせるために。


「静粛に、ここは夢ですし、裁判するば武器はしまいなさい。あと、天使族長ルシファー。あなたは本当に裏切り者なのですか?」


 私の目をそらし彼女はダークエルフ族長を見る。私も見ると彼は頷いた。


「ああ、もう、黙って情報抜こうと考えてたのに面倒臭い!! 最悪!! 敵と思ってた奴から仲間認定とか信用問題発展するじゃん。しかも、今の生活さえ脅かすヤバい話じゃんかぁああああ」


「ラファエル様? 記憶は戻られたのでは?」


「ちょっとまて。ゆっくり思い出す。ああ、思い出した……ああ封印とけたね」


 族長たちが迷う。ルシファーを「倒していいのか?」と。ルシファーは医学、病院でも権力者であり。情や有用なために迷いがでるのだろう。私も彼女の産婦人科の病院通いである。


「族長たちがそのまま切り殺しに来なくて助かったぁ……槍は手放すし、ダークエルフ族長さま。来て、私を縛れ。それでいいよね。今は」


 ルシファーがお願いし、ダークエルフ族長が背後に立って彼女を魔法で拘束する。そのまま彼女への尋問にシフトし、エルフ族長が目の前に立って睨んだ。


「裏切り者め……」


「待って!! 話をするから情状酌量の余地を!! 裁判受けるし!! 弁論者雇うから」


「……反応を見ると演技にも感じる」


「くっそ!! そこの天使!! 後で殺す!! 極刑だからな!! 許さない!!」


「ラファエル様!?」


 混乱を極めるこの部屋で外で待機していたエルフ族長の娘である夢魔のワンが剣を持って現れてにらみを効かせる。私はエルフ族長に「治めて」とお願いした。


「ルシファー、君は裏切り者か?」


「違うって言ってるでしょうが!!」


「『真実の鐘』が鳴らないので嘘ではないですね」


「家宅捜査はやめてね? 大切に保管してる宝があるから」


「返答しだいです」


「わかった」


 族長たちが各々座り、くつろぎだす。威張り散らしていた天使は逆に狼狽えだし、身震いをする。


「では、お前の元々の目的は?」


「ああ、目的は『女王抹殺』『魔族抹殺』『人間の復権』。そのために私が潜入、医療などで味方のふりして記憶を戻し、最後は疫病撒きとか色々な破壊工作。その後に合流予定だった」


「記憶を消したのは……『裏切り者』だと思われないためか?」


「そう、裏切り者でなく潜入しやすい。でも、これ悪手よね。普通に私たちにはもう『英魔国内での生活』があるから……多分、普通に思い出そうとは思わなかったんでしょうね。正直、いま、明確に思い出して大迷惑です。そこの天使」


「ラファエル様!? 裏切るのですか!? 何故ですか!! 思い出してください!!」


「思い出してるから裏切るのよ!! 『天使にも人権』がある英魔国と!! 『天使は人間の公僕』となれとは大きな違いがある!! 保証してくれるのそこ? 保証ないでしょ?」


「な、何をおっしゃってるのかわかりません!!」


「はぁああああああああああああああああああ? どういう教育を受けてるの!! 女神の顔を見てみたいわ!! 知ってる顔だったわ!! 死んで清清する」


「ラファエル!! 女神を愚弄するのか!! 我らの母親を!!」


「糞にもならん毒親の思想は捨てた方がいいよ。それよりも!! あなたが捕まった理由わかったわ!! 他の天使と話も考えも違いすぎて浮いていたのね。裁判所に『国家反逆者』として極刑されて消えろ」


「ラファエルぅ!! 3女神がお前を消しにくるぞ!! どおりで何も事を起こさなかったわけだ!! 裏切ったから何もしなかったのね」


「うっさい」


 ダークエルフ族長がルシファーを抑え込み、エルフ族長が生きのいい天使に轡をつける。そのまま族長たちは大きなため息を吐いた。エルフ族長はまとめに入り、周りに視線を流す。


「旧勢力の天使が紛争を仕掛けてくるのがわかりました。我ら族長はこれに対して『治安維持』のために情報を共有しましょう」


 その瞬間だった。轡をされた天使の体から声が響く。天使を介した話し声に緊張が走る。


「ラファエル、お前はそんなクズだったなんてな」


 知らない声にラファエルが反応する。


「ミカエル姉さん!!」


「ふん、お前はもう姉妹じゃない」


「やった、絶縁ねミカエル。何処にいるの? 殺ってやるわ……」


「お前はそんな暴れん坊だったのか……まぁいい。もう、時間切れだラファエル。お前ら全員、消えろ。女神を失った天使は自然と消える。さようならだ」


「いや、知ってますよ? なので英魔国でご飯食べてるんですが? 体を維持する方法は沢山あるんですよ」


「なら、英魔国はなくなるな」


 ミカエルの声と同時に族長たちの耳元夢魔の叫びとも取れる声が届けられた。


「族長連に速報です。都市郊外に天使の反乱が起きました!! 至急帰宅を!!」


「ははは、族長がここ首都に集まっている。留守は怖いなぁ。さぁ思い出せ……『魔族』であることを」


 天使の高笑いに族長たちは続々と耳元に手を当てて夢を繋げた。私はそれを見ながら「新しい火種」に口元を引き締める。


 私は「何も出来ないず、傍聴するだけの存在である」事を感じながら。彼ら族長に信頼を寄せ、座して待つつもりである。女王としては「お願いされるまで」動かないつもりだ。


 だからこそ、個人として動く。あいにく夢であることが幸いだった。


「私が傍観者で良かったですね、皆さん」


 私は夢魔である。


















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