最南端の都市メイルシュトローム..
ここは帝国から最南端の帝国都市メイルシュトローム。学園の中央に大きな石碑が立ち。その中心から魔力を供給され……多くの魔石を産み出し続けている場所。風が強く、長い年月をかけてそれに適応した低い植物、木々が生える素晴らしい大地。
何処よりも魔力に満ち、何処よりも魔力に順応し、何処よりも魔法使いが生まれる地だった。帝国の参加の都市であり、多くの人がそこで魔法を学ぶ。
「ナオト先生……まーたここで眺めてるんですか?」
「ん……」
生徒の一人。アーヤ・ガラケと呼ぶ。短い髪を切り添えられた髪が風で靡いた。幼い女性のような丸っこい顔で男性学生に人気な子だ。
「ああ、今日は風が静かで驚いてたんだ」
「実験の影響ですかね?」
「さぁ~」
俺は黒髪を掻きながら学園の展望台で都市を見る。多くの魔法使い見習いがここの学園に学びに来ており。帝国の魔法使いを越えようと躍起になっていた。
落ちこぼれと言われているが。俺は別に落ちこぼれとは思っていない。
「本当に先生は………ここが好きですね」
「まぁ……俺の故郷だしな」
「先生は……ずっとここで暮らすんですか?」
「暮らす。この光景を見ていたい」
「展望台から見える町並みをですか?」
「ああ………ずっとな」
俺は眺め続ける。眼下の町並みを。人の営みを。風の魔法で音を拾う。
「先生……石碑にいかないのですか?」
「いかないな。行っても何もできない」
最近、学園の学者たちがこぞって石碑を調べている。この前に地震があり不規則な小さい揺れも観測されていた。石碑には掠れて「ここに眠る」だけしか読めない。そして地下に要るものはなんなのかを調べていた。文献にもなく、わざと残さなかったのかと思われた。タブーに顔を突っ込んでいる気がして俺は調査チームに入らなかった。
「先生や学生たちが一生懸命に穴ほってますね」
「何か出てきたか?」
「大きい大きい魔石がたくさん」
今、学園の中央。石碑の周りは穴ぼこだらけだろう。封印されているものを呼び起こそうとしていて俺は胸騒ぎがするのだった。
*
そこは中央がくり抜き、貫かれ空から後光がふり下ろさされており。石碑を照らす。学園の中央に位置しており。一部の有力な魔法使いのみ訪れる事が許された神聖な場所だ。
一ヶ所穴が掘られ、土汚れや道具が散乱している。調査の後。今日はもう切り上げたのか休みなのか……誰も残ってはいなかった。
「今日は休みか。そうか………曜日の感覚がおかしいな」
「ふーん……ここね」
「アーヤか……どうしたんだいここへ来て」
石碑からあの学生の声がした。彼女が石碑の裏から笑顔で歩いていく。
「………メイルシュトローム」
「ん?」
「過去、多くの者を殺した邪竜」
「……アーヤ?」
「…………」
俺はアーヤと名前を呼んだが彼女は姿を変えた。黒い長い髪に黒い翼を持ち。喪服のようなドレス姿になる。
「お前はいったい!? アーヤじゃない!!」
「あら……見破られた?」
「何者だ!! 名を名乗れ!!」
持ってきた杖を構える。そして、魔力を込めた。
「私は女神ヴィナス。あなた方、人間の神よ」
「め、女神だと!?」
「そう」
「……」
恐ろしい程の魔力の大きさな気がついていたが……女神なら納得する。そう……信じてしまいそうになる程に規格外な人なのが肌に伝わった。
ヒシヒシと間接が痛みつぶれそうになる。圧迫される雰囲気の中で石碑に彼女が触れた。
「これが目覚る時期が重なった。ふふ、ちょうどいいわ……魔王に蹂躙されるなら。これを使い全部壊すまで。そしてもう一度人を生み出して何度もやり直すだけ」
「……なにを!!」
「あなた達。学園で生まれた理由を果す日が来たの。でも………今の所は無理そうね。あなたたちは成長しきれなかった。彼を止めるほど強くならなかった」
何を言っているかわからない。俺は火球を産み出す。
「答えろ……何が眠っている」
「この依り代はいらないわ。じゃぁね」
スッと姿が変わりアーヤの姿になったと思ったらフラッと地面に倒れる。
「アーヤ!?」
慌てて杖を投げ、アーヤを抱き締めて揺さぶる。大切な学生であるアーヤは目を開ける。
「あうぅ………先生?」
「ああ。大丈夫か?」
「先生………先生!!」
ガシッ!!
「ど、どうした!?」
アーヤは目を見開き。俺の肩を掴んだ。
「逃げて!! 目覚めが来る!! 私たちが何もしなかった。私たちはもっと強くならなければ行けなかった!! 目覚めが来る!!」
「どういうことだ!?」
「女神が私たちを見捨てたんです!! 魔王に蹂躙されるなら。魔王もろとも被害を出させる!! 嫌がらせのために!! 魔王についたエルダードラゴンを仕留めるために!!」
「………話は後で聞こう」
「ダメ!! 逃げないと!!」
ドゴオオオオオオオオオオオン
ガガガガガガガ!!
地面が大きく揺れる。何かが目覚めようとしているのがわかった。しかし、それが何かわかっていない。
「先生!! 早くここから離れましょう」
アーヤは立ち上がり。俺の手を引っ張って学園の外へ連れ出した。
学園の外へ出た瞬間。雲に覆われ嵐が都市を覆っている。その瞬間背筋が冷えた。
驚きの連続から。驚愕の連続に変わった。大きい咆哮とともに。学園の鐘が鳴り響く。耳に恐ろしいほどに声が響いた。風に紛れた憤怒の声。
「何処だ……何処にいる!! あの裏切り者たちは!! 何処へ!! 何処へ!! 俺は帰ってきた!! 俺は帰ってきたぞ!!」
咆哮とともに憤怒が都市を震わせた。




