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魔王の休日..


 トキヤと合流した私は首都へ凱旋を果たす。今度は裏からこそこそと城へ潜入した。だが、「待っていた」と言わんばかりにエルフ族長が門の前に立っている。


「姫様、トキヤ公爵。勇者討伐の遠征お疲れさまでした」


「ええ、疲れたわ……」


「族長がなぜここに?」


「何となく。姫様がこの時間に帰られるとわかっておりました」


 私はトキヤを見てエルフ族長を指差した。トキヤ頷く。


「ネフィア。こいつ、マジで預言者かもしれん」


「嘘でしょ!?」


「姫様が帰ってくるぐらいは1分1秒でも当てられる自信があります」


「トキヤ!? 怖いよ!!」


「ネフィア。俺を盾にしない!! 俺だってこの変態嫌だよ!!」


「変態とは失敬な。姫様を尊敬しているだけです。ええ」


「それがドが過ぎてるんだよ、エルフ族長………それよりも隊員たちは?」


「解散、今は休んでおりますね。いやぁ~素晴らしい騎士となって嬉しい限りです」


 エルフ族長が「ここで話すのもあれなので」と言い。城の中へ足を踏み入れる。


「エルフ族長グレデンデ………イヴァリースの近況は?」


 私は一応魔王として近況を聞いてみた。


「ええ。平和そのものです。他都市も今は内政で忙しいでしょう。それと新しい教会建設許可を……ネフィア様を女神として奉りたいのです。そうすることで後々、楽に国を治めれます。族長たちが」


「………却下」


「姫様!?」


「エルフ族長。俺が許可を出す。王配での許可でもいいだろう?」


「いいえ………これはやはり姫様に……」


「ごめん。『自分を自分で崇めよ』と言ってさ、作らせるのは凄く酷いナルシストだと思うの。女神として奉るとか!? おかしいよ!?」


「姫様、既に下地は出来ております。ここにサインをいただきたいのです。愛の女神崇拝者も望んでおります」


「俺もほしいなぁ~俺もほしいなぁ~」


「と、トキヤ!?」


 トキヤが私の肩を掴む。


「ネフィア。俺も作ってほしい。あの女神にはお世話になっているから。お礼として信仰を増やしてやるのもいいだろう?」


「あぅ………と、トキヤが言うなら。考えても………」


「無理難題を族長に吹っ掛けてもいいだろう?」


「そっか!! トキヤが言うならいいし!! 無理難題を吹っ掛けて作らせなければいいや!!」


 私はうんうんと「名案だ」と思い。エルフ族長に言い渡す。


「作るなら城壁の外で!! 大きさは………城と同じ敷地でどうだ!!」


「許可をください」


「作れるもんならやってみろ!!」


「ここにサインを」


「いいでしょう。作れないなら諦めろよ」


「ええ、そうします。トキヤ公爵ありがとうございます」


「ああ。資金は大丈夫なのか?」


「ええ、大丈夫ですよ。色々と考えてありますから。それよりも長旅でお疲れでしょう。旅の汚れをお湯の用意をさせていただいておりますのお流しください。その後で寝室でごゆるりと。執務等は御座いません」


「そうなんだ!! トキヤ一緒に入りましょう?」


「いや、別々だろ?」


「トキヤ公爵。王配として一緒に入ってあげるのもお仕事では?」


「そうです。余と一緒に入れ」


「ああ、わかったよ。入るよ………エルフ族長。任せろ」


「ええ。頼みました」


「んん? なに? なに?」


 二人が目線を合わせてコンタクトを取った。私はそれはなにと聞いたが。二人は「秘密だ」と言い。少し疎外感が出る。男同士の密約束なんて………ズルいと思うのだった。


「王の権限で情報提示を求めます!!」


「職権乱用はダメです姫様」


「ダメだぞ。ネフィア」


「おかしい!? 権限効かないのですけど!?」


「姫様、それは通りません」


「そうだぞ~」


「なんでトキヤはエルフ族長側なの!? ねぇ!? なんで!?」


「お前の代わりにエルフ族長は仕事をしてくれてるんだぞ? 感謝しろよ」


「いえ、好きでやってますので」


「すいません。うちの嫁が何も出来ず」


「いえいえ、予想通りです。それにこれが望みです」


「…………あれ~おかしいなぁ………なんか私をバカにしてる雰囲気だぞ~」


 私は二人を睨むのだが。飄々と受け流される。いい感じに操られている気がして頬を膨らませた。


「可愛いですね姫様は」


「可愛いいだろう。こんなんでも女王なんだぜ」


 頬を膨らませた事で褒められて少し照れ臭くなってしまった。早く黙って風呂入ろうとするぐらいに。







 装飾を華美に彩られた大きな浴場にお湯を貯める。昔から魔王は男だったのかエルフや人間の女性の彫刻が風呂の真ん中で水瓶をもってお湯を注いでいた。水瓶の中に魔石が入っており。その魔石が水の魔法でお湯を吸い上げて再熱と循環を行っているようだ。


「おまたせ」


「ん、待ってない」


 トキヤは先に湯船に浸かっていた。私は体を流して布に石鹸を使って泡立て体を洗う。


「トキヤはあらった?」


「お前が来るのが遅いから洗った」


「女の子は脱ぐのも大変なの!!」


「それでも遅すぎる。何してたんだ?」


「使用人の子と話をしてたの。エルフ族長の奥さんと」


「はい!? エルフ族長の奥さん!?」


「この前、結婚したんだって奴隷からの大出世。族長の奥さんと言う貴族令嬢だよ。まぁずっと秘密にしてたらしいけど」


「なんで使用人してるんだよ」


「使用人でも貴族令嬢当たり前ですよ? 帝国では娘を出して教育もさせるし、学園もあるんだから」


「俺が無知で無頓着だっただけか………お相手は? 挨拶しなくちゃな」


「フィアちゃん」


「ああ、お前の影武者の…………エルフ族長………そこまで堕ちたか」


「トキヤさん。気持ちわかる。すっごーく複雑」


「見た目まんま。お前に似てるもんな。ただ、幼そうで泣きホクロがあって。全体的に小さいかな」


「…………」


「…………」


 私たちはある意味。エルフ族長の嗜好を学んでしまった。


「少女性愛か………」


「と、トキヤ。フィアちゃんには黙っててね。変態嗜好者かもしれない事!!」


「わかってる。俺だって周知見聞されてるのは考えたくない。婬魔を嫁にするのはハードだ。お前は特に大変だった」


「そうだろうね」


 私は泡を流して彼の隣に座って湯船につかる。


「あふっ………んんん」


 お湯に入るとつい。甘い吐息を漏らしてしまう。目を閉じゾクゾクと体を震わせる。


「気持ちいい………」


「ネフィア。膝の上来るか?」


「いいの!?」


「いいぞ。今日は休日だ」


「わーい」


 私は。喜んで彼の首に手を回して対面に座る。トキヤが顔をそらす。


「俺は膝の上と言った」


「これも膝の上だよ。ね?」


「前を隠せ」


「何度も何度も見てるでしょ?」


「何度も何度も何度も見ても欲情するんだぞ。大好きだからな‼ 少しは自重してくれ。たまらないんだ」


「………ごめん、前隠す。膝はもういいや」


 私は手を離して胸を隠し。膝から降りたあとに大浴場の端でトキヤから離れて座る。


「…………ブクブクブク」


「ネフィア照れてるのか?」


「ブクブク」


「ああ、まったく。こういう事が可愛いんだぞ」


 後ろから手が伸びて抱き締められた。ピクッと体が反応してしまう。私を抱き寄せた腕を私は触れた。


「恥ずかしいけど。トキヤがいっぱい『好き』て言ってくれるの大好き」


 その後、私たちは風呂のなかで体を重ね合わせたのだった。








 寝室に戻り。濡れて乱れた髪をトキヤがなでなから乾かしてくれる。櫛を使い丁寧に。


「ありがとうトキヤさん」


「いいよ。好きにしてるだけだから………綺麗な髪だ」


「うれしい!!」


 大きな鏡の前の女の子が嬉しそうにピョコピョコ体を揺らす。私はそう、自分が可愛いと思う。


「動くな絡まるぞ」


「はーい!!」


 注意され大人しくした。彼の優しい櫛使いは心地いい。


「ネフィア………これからの手は何か考えているか?」


「考えてない。でも、神を倒す術を探す」


「そうか………そうだよな」


「トキヤ? 何か?」


「いや、術があればいいな」


「ええ、あればいい」


 フワフワした空間からジトジトした空間の切り替わる。


「次の手はなんでしょうか?」


「わからない………でも。例え何が来ても打ち倒すのみ」


「…………そうですね。トキヤさん……これからもお願いします」


「任された。安心しろ………いつだってお前を護ってやるよ」


「ありがとう………トキヤ」


 私は感謝の言葉を何度も何度も口に出す。感謝してもしきれないほどにトキヤは沢山。色んな事をしてくれている。私は静かに悟るのだ。


 これからもずっとずっと戦いの日々が来ることだろう。


「愛してる」


「ネフィア、そればっかだなお前は」


「何度でも言うよ。愛してる。あなた………」


 きっと………これからも戦いの続けなければ女神の喉元へは届かないだろう。


 なら、戦い続けよう。何年かかろうと、何十年かかろうと。


 私とこの人の子を奪ったことを忘れはしないのだから。












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