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商業都市新名ネフィア、勇者到着..


 俺たちは帝国から商隊に混ざり北上した。途中砂漠でサウンドワームの群れを倒し。ワイバーンの群れも倒し。商隊の商人から多額の金額を貰え。好調だ。


 砂漠都市スパルタで滞在し多額のお金でコロシアムを見学したあと。3人と日替わりで童貞を捨てるイベントもあった。


 寒い時期らしいがそれでも砂漠は暑く、それが次第に旅の途中で冷えていく。旅は順調であり、スパルタから数日で商業都市ネフィアへ到着した。


 最近都市名が変わったらしい。都市名は昔の偉人の名前を使うのが通例であった。妖精国ニンフ、都市ヘルカイト、帝国首都ドレッドノート。


 そして、族長の抗争で商業都市は名前は無かったのだが。ユグドラシル商会等の商業連合隊の膨大なる資金力と財と信仰。大抗争を迎え魔王側が圧勝、よって商業都市は統一。ネフィアと言う名前になってしまった。


 そう、魔王ネフィアは恐ろしいほどに覇権を持っている。これからは敵地での行動だから気をつけないといけないらしい。


「ねぇ、ライブラ。これから敵地。気を引き締めなよ」


「そうだぞライブラ。グラビデの言う通りだ」


「そうですよ? ライブラさん」


「えっ? 俺なんでめっちゃ注意受けてるの?」


「だってライブラ勝手にねぇ~一人で全部倒しちゃうんだからねぇ~今回はそうはいかない筈」


「あのどや顔で『なんか俺やっちゃいました!!』って言うのはカチンと来たぞ」


「調子いいんですから。ライブラさんは……」


 みんなが俺のことを貶しながら「ネェ~」といい。ジャンケンをしだす。


「股下だな」


「右腕」


「左腕」


 三人が俺の所有権で争う。今夜もしんどそうだ。一番いいのは修羅場が無いことだろう。まぁ険悪な空気にはなることはあったが仲良く旅ができている。


 俺はそう思いながら亞人、人間が混じった商店街を歩き。自分達は冒険者ギルドの直営酒場に顔を出す。何人かの冒険者が女性冒険者達を見て難癖かけたりするイベントもなく。平和である。


 自分の知識とは大違いでビックリだった。まぁ衛兵の方が怖いもんな。あと暴れまわって殺されても文句は言えないらしいし。イチャイチャする冒険者も俺らだけではないならしく。皆が慣れきってしまっているとの事。前例があるらしい。


「……平和」


 中には都市インバスからお持ち帰りした亞人と冒険者をやっている人もいるそうだ。比較的過ごしやすく。チンピラぽい冒険者もいない。思う………滅茶苦茶魔国内平和じゃね。


「冒険者ってチンピラのイメージだった」


「冒険者でもチンピラでは生きてはいけないのでしょう」


「恐ろしいな」


「恐ろしいですね。私たち旅の瞬間、ワイバーンの群れでしたよね。スライムとか下級な魔物なんていないんですよ」


「おれ、ハードモードとか聞いてないよ」

 

 そう、俺たちは悩んでいる。この先の魔物強さに。きっともっと強い雑魚が多くなる筈。


「どうする?」


「どうしよ?」


「そうだ!! クエストをやろう。経験値を上げるんだ」


「そうですね。それが一番です」


 俺たちはそうと決まって冒険者の受付に聞く。すると流石は商業都市。護衛ばかりと外周の魔物退治ばかりだった。魔物退治はまぁ魔物を退けるための方法なのだろう。衛兵隊は所詮壁の中だけの仕事しかしない。なお、冒険者より強い模様。サーチが魔法「サーチ」で調べた結果だ。自分達より弱いが………それでも驚愕だった。


 この世界、噛ませ犬みたいな人が出てきてもめっちゃ強いのだろう。気をつけないといけない。ハードモードすぎる。


「では、外周の魔物でも狩るか」


「そうですね」


「おっ散歩!! おっ散歩!!」


 女性人が嬉しそうに笑顔で歩き出す。俺はヘイヘイとそれについていく。何もない日常。


 いつまで続くかわからないが。続いてほしかった。そして…………帝国で出会った、女性を思い出す。目に焼き付くこの燃えるような感情はなんだろうかと問答しながら。




 ギルドの酒場での席で俺たちは奴等を見ている。


「現れましたね。トキヤ殿」


「ああ、4人だけか」


「4人だけです」


「5人が合計で一人は潜伏しているな。そいつは強すぎる。俺が対応して時間を稼ぐ。4人は任せた」


「はい。姫様の絵の通りですね」


「ネフィアなぁ………帝国で無茶してないといいけど」


「はは、残念ですが。黒騎士団長と陛下に謁見してますよ」


「そうだった。恐ろしい奴だ。恐怖も圧力も鼻で笑うほどに感じてない。飄々として………どこ吹く風なんだよなぁ………胆力、器でかすぎるのを初めて知ったよ」


「それはトキヤ殿では? 似てらっしゃいますね」


「………俺のせいかぁ~」


「トキヤ殿。落ち込んでいられませんよ。バルバトス様は一騎打ちがしたいそうですが?」


「勝手にやらせとけ。いいや………利用しようか。あの狂戦士」







「見られている」


 そう、口にしたのはメデューサさん。彼女は四周を警戒する。


 俺たちは今、商業都市の道路を歩き。たまに道に外れながら魔物を探す。1匹ほどスライムが現れたが魔法職の俺が簡単に仕留め。スライムの皮を手に入れた。


「誰に?」


「わからない。ついてきている」


「見えないけどなぁ~」


「私にもわかりません」


「なら………ちょっと罠を仕掛けよう」


 俺はスマホからウィルスの黒い蜘蛛を数体撒き散らして伏兵にする。スマホに蜘蛛の見ている映像が写し出された。


「便利だな」


「すごくズルいね」


「では、歩こう」


 4人で魔物を探す振りをする。すると………映像に亞人のダークエルフだろう冒険者二人がついてきているのがわかった。何か話し声を聞き取ろうとするが無言だ。


「あやしい」


「あやしいですね。どうしますか?」


「サーチは詳細とか見える?」


「やってみましょうか……ああ画面越しではダメですね」


「自力でやるか………」


 画面が揺れ蜘蛛が冒険者の影に入り込もうとする。その瞬間、冒険者が剣を抜いて蜘蛛を切り払った。影として消えていく黒い蜘蛛。あまりの剣劇の速さに俺は驚いた。冒険者一人がアワアワとしながらも実はすでに黒い大剣を握っていた。いつ背中から引き抜いたのだろうか。


 冒険者の会話が聞こえる。一人は抜いた黒刀を納めながら。


「魔物か?」


「魔物にしては変だな?」


「にしてもそれが居合いかぁ~」


「ああ。その武器もいいけど。わざわざ作って貰ったんだぞ。姫様やトキヤ殿に届きたくてな。この前やっとこの刀が届いた。いやぁ~格好いいわぁ」


「帰るか?」


「そうだな」


 ただの冒険者のような会話。気のせいだったのだろうか。


「居合いか、剣筋が速い」


「メデューサ。気配は?」


「うーむ。なくなったが気のせいか?」


「気を付けましょう。敵地なので」


 そう、俺たちは敵地にいる。だから………すべてを疑っていかないといけない。気疲れしそうだ。


「まぁなんにせよあと1匹で帰ろう」


 みんなは俺の提案に頷くのだった。





 冒険者を装った二人が深刻な顔で追跡をやめる。


「やベーな気付かれたかな」


「警戒はされ出したか………」


「頑張って感覚を鋭くしていて良かったよ。少し怪しい動きもあった」


「やっかいだな」


「『あんまり喋るのをよろしくない』とトキヤ様は言っていた。聞かれていると」


「………どうする?」


「あいつが仕掛けるのを待とう」


 二人は頷き。仕事の話をやめて駄弁る。冒険者の振りをして。







 酒場に戻ってきた俺たちは討伐した魔物の素材を売り、旅の資金源にする。旅の資金源は帝国からたまに使者が来てくれるそうだ。その使者はなんとトキヤさんだと言う。一緒に最後戦ってくれるんじゃないだろうか。


「ん、見られてる感覚はないな」


「気のせいだったんだよ」


「そうならいいが」


「気にしすぎはいけません。ライブラさん何かないですか?」


「何かって言っても………この宝具で出来ることは。盗撮?」


「………」


 皆がジト目になる。まぁうん。


「あ、あとは洗脳とか?」


「恐ろしいことを考える奴だな」


 皆にそれだけはやめろと釘を刺された。そして事件は起きた。


「やめろ!! はなせ!!」


「ああ!? 今財布取ったろ!!」


「つかめ………ああやっぱそうだな。懐から出てやがった」


「ガキ………盗みはよくねぇ」


「あああん!? 冒険者はお金一杯あるんだろ!! 少し分けてもらってもいいじゃないか!!」


「『こんなところで彷徨いてるからなんだ』と思ったら浮浪者か」


「ぐぅ!! うっさい!!」


 酒場の一角で人間の人間の少年が捕まっている。どうやら盗みに入ったらしい。冒険者のこの場で堂々と。


「こいつこの前も盗んでいたよな。お金あげてもまた来る。痛め付けようぜ」


「ああいいな。一発づつな」


 一人の亞人の冒険者が構える。そして、捕まっている少年の腹におもいっきり深く拳が入り込む。恐ろしいほどに深く突き刺さり、少年の口からゲロを吐かせた。


「おうおう、きたねぇな」


「げほ!! くっそ………冒険者め………」


「次は俺な……」


ガタッ


「メデューサ?」


「すまんな。少し助けてこよう」


「あんまり………首を突っ込まない方が」


 俺は悩みスパンウェアを一匹つけた。応援する。


「メデューサ。やっちゃえ!!」


「うむ」

 

 メデューサがゆっくりと髪を揺らしながら彼に近付き。肩を叩く。


「そこまででいいだろう。死んでしまうぞ」


「ああ? あまちゃんめ………浮浪者に同情か?」


「全く、これだから意識が高い冒険者は変なんだよ」


「げほっ………!! よっと!!」


 少年が隙を見て冒険者の股間を足で蹴り脱出する。そして、懐を探って財布を取り一目散で酒場を出るのだった。


「へへ!! 姉ちゃんありがとう!!」


「あっ!! 畜生!!」


「追いかけるぞ!! 姉ちゃん手伝え!!」


「あっ………くぅ!!」


 メデューサが追いかけようか悩んでいるのを冒険者が誘う。メデューサも隙を作らせてしまった罪悪感で仕方なく手伝おうとする。


「あ~構うから~」


「本当ですね」


「………俺。君が一応聖職者なの思い出してたんだけど?」


「異教徒はダメですね。救うに違わず」


「世知辛い」


 なお、少しして帰ってきたのを見ると見つからなかったのだろう。メデューサがトボトボと帰ってきたのを俺たちは慰めるのだった。「そう、うまくはいかないぞと、この世界はおかしいのだから」と。






 

 身軽なグラビデを操れるグラビデは夜中、一人で外に出掛けていた。勿論装備をしっかりして外に出た。一応は敵地と言うこともあり危険ではあるが散歩がてら、情報を集めようと考えたのだ。


 これから先、情報をもって旅をしなければ道は険しいと判断した故の独断の行為。


 いや、ゆとりがあった故の慢心か。能力が使えるからや強さに自信を持っていた。だからこそ彼女は狙われて囲まれる。


「ん………ん?」


 酒場へ向かう大通り。一人の男性と目が合う。黒い肌のダークエルフだ。大きな槍のような大剣のような武器を持ち。対峙する。殺気を纏いながら。


「!?」


 グラビデは周りを見た。周りの人達がグラビデを避けていく。そう、争い事が起きる場合この都市では日常だった。だからこそ関わらないように道を開けるのだ。そして………衛兵が市民を誘導し避けるように言っていた。


「ど、どういう!? な、なに!?」


 異様な光景。一部の人々の目にはグラビデを蔑む目をしていた。グラビデは気がつかない。一部の人物が実は潜伏していた兵士だとは思いもしない。


「こんにちは。勇者、グラビデ殿。俺は魔国衛兵団長バルバトス・ダークエルフだ。よろしければ手合わせ願おう。いいや………死んでもらう」


「な、な!? なんでここに族長クラスが!?」


 勇者たちは知らされていた。族長と言う長がいてそれらは強いと。有名どころの長は勉強していた。だからこそグラビデは驚く。


 魔城に居る筈の族長が目の前に居る。そして………逃がさないように囲まれていることに気が付く。メデューサの言葉を鵜呑みにしなかった事で彼女は知らず知らずに死地に赴いてしまったのだ。


「………答える気はない!!」


 ダークエルフ族長バルバトスが剣槍を構えて近付く。グラビデは慌てて能力を使い。重力を軽くし、横に避ける。避ける前の石畳が斬り払われる。鎧さえも切れそうな鋭い攻撃だ。


「くっ、[グラビテ]!!」


 彼女は期待する。皆の騒ぎを聞いての援軍を。それまで耐えないといけない。だからこそ一帯の重力を操った。何人か地面に這いつくばり、全く動けなくなる。しかし………目の前のダークエルフ族長は動いてくる。ゆっくりと。重力は効いている。


「中々の魔法ですね。しかし、それだけです」


「!?」


 彼女は背筋から汗が流れ落ちる。これが中ボスの風格。これが族長と恐怖した。ゆっくりと武器を肩に担いで睨み付ける族長にグラビデは後ろに下がり続けた。


 シャン!! ザシュウウウウウウウ!!


 グラビデは背後から近付かれて肩から大きな剣に切り落とされた。その瞬間に痛みともに胸の中の魔法が発動して頭が真っ白になるグラビデ。そう、目の前に気取られて上からの攻撃に気が付かなかったのだ。目の前の族長が笑顔になり。周りの皆が族長に集まってハイタッチをしているのを見た瞬間。グラビデの目の前が暗くなり。気を失う。


 次にグラビデが目が開いたとき。帝国の玉座の間に戻されており、彼女は「自分が死んだこと」を知る。そのまま彼女は胸を撫で下ろし、ため息を吐いたのだった。神具の羽はもう力を使い果たしていた。


 しかし、悪夢はここからだった。グラビデに声をかける者がいた。


「こんにちは。グラビテさん………私の名前はネフィア・ネロリリスです。死んでください」


 帝国に戻されたグラビデの目の前に。白き翼と白い鎧を着こんだ天使のような魔王が立っていたのだった。




 






 





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