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都市ヘルカイト⑥ 火山地帯なのだから、温泉を探そう..


 腐竜の告白から数日。貯金を食い潰しながら惰性でトキヤと四六時中、色んな事をやりながら過ごしていた。そんなとき、一人の竜人が訪問しヘルカイト領主が呼んでいると教えてくれる。何故かドレイクもつれてきてほしいとのことだ。何故だろうか。


 疑問に思いながら私たちはご立派な領主の館に顔を出すことにした。本当ならギルド発行の身分証提示がいるが、使用人皆が私たちを知っているため挨拶だけで何も警戒もない。堂々と正面からドレイクを引き連れ、ドレイクの足の泥を綺麗に拭き取って中に入った。


 そのままヘルカイトの執務室へノックして入ると。ヘルカイトと腐竜ラスティ。商人のオークが商談している。もちろんヘルカイトはずっと窓を見て蚊帳の外だ。


 私たちを見たオークは商談を中断し挨拶を済ませる。この前の感謝の言葉と、商人からは喜びの声をあげる。


「いやぁ~このリストの農作物みてください」


 トキヤと私は見る。ぎっしり書かれておりどういった農作物なのかわからない。知らないのが多すぎる。


「ええ、いっぱいあることしかわからないです」


「そう、いっぱいあるのです。商品数が多いのは良いことです。特に香辛料は高値で取引できます」


「うわぁ~トキヤ!! イチゴがある!!」


「ネフィア!! すげぇ~!! 大豆があるぞ!?」


「大豆?」


「さすが!! トキヤ殿!! お目が高い!!」


 詳しく聞けば加工する事で素晴らしい物が出来るらしい。


「都市ヘルカイトの料理のレパートリーが増えるかも」


「やった!! 献立を悩まされなくていいのね!! トキヤは好き嫌いあるくせに言わないから困ってたの」


「………いやぁ……まぁ……面倒で」


「そうやって~考える身にもなってよ。何度も言ってるけど」


「はい。善処します」


「それも何回も聞いてる」


「お、おう………」


 ちょっと愚痴っぽくなってしまった。しかし本当に悩む。健康も気を使う。肉肉肉肉とか体を壊す。


「とにかく、ユグドラシル商会で調理法も探してみます。それよりも先ずは二人にお願いがあります」


「ワシからも頼む」


 窓の外を眺めていた巨体の男が振り向く。


「やっと喋りましたね、ヘル。朝から一言も喋らないので驚いたわ」


「ふん。気のするな。でっ商人、言いな。話について行けないとは言いたくないからな」


「ええ、実は温泉を探して欲しいのです」


「温泉?」


「ええ、温泉です」


 トキヤと私はちょっと不思議な顔をする。何故なら温泉は山へ行けば沸いているからだ。行ったことは無いが冒険者たちが逐次探してこっそり入っていると聞く。酒場での噂だが。


「えっと、山に温泉ありますよね? 冒険者たちが探してますよね?」


「ワシから言おう。ある部下が連合国の1都市や商業都市にある浴場をいたく気に入って作りたいと言い出した。白い煉瓦や材料を手配して作る気だが肝心の温泉がわからないと言う。大衆浴場なら作ろうと思ったが………残念。『温泉以外は認めない』と言う徹底ぶりなんだ。とにかく、こだわるらしい」


「山から配管でも作って引いたら?」


 錆びるが鉄パイプぐらいはあるだろう。


「残念だが………そやつ。生で高温なものを探しているのだ。あまりに熱心に語ってくるからなぁ~熱意に負け。土竜に頼もうと言う話なのだ。はぁ」


 なるほど。ワンちゃんを使いたいと言う事か。


「俺たちじゃなくて直接ワンちゃんに聞けよ」


「断られた」


「えっ? ワンちゃん断ったの?」


 私は驚いて顔をワンちゃんに向ける。


「あのな、ヘルカイト。俺の背中の翼をもいで地面に叩き落としたのは誰だったか? そんな奴に協力求められてもなぁ………水に流したとはいえな……」


「………擁護できないわ。ヘル」


 「呆れた」と肩を落とすナスティ。


「お、おう」


「あーそっか。ごめん、ワンちゃんがやりたくないので帰ります」


「ま、まってくれ!! 金は出す!! お前ら二人でなんとか出来ないか?」


「アホいえ!! 俺らは冒険者でも温泉なんて知らんド素人だ!! 専門家を呼べ!!」


 トキヤが叫ぶ。


「専門家なんぞわからんから頼んでいるんだぞ‼」


 ぎゃぁぎゅぁとトキヤとヘルカイトが言い争いだした。「出来る」「出来ない」を言い争い。まったく進まない。私はワンちゃんを撫でながら。一歩引いて眺めた。


「主人、何故お断りを?」


「ワンちゃんが嫌って断ったのを別に無理に押すことはないでしょ?」


「…………」


「大丈夫。私たちが断るから安心してね」


「………………主人。温泉入りたい?」


「寒いですから入りたいですね。家帰ったら風呂沸かしましょう。体も綺麗に拭き取ってあげますね」


「………………………ヘルカイト」


「ん?」


 執務室の真ん中にドレイクが陣取る。一応、多種族用の広さのため。ドレイク一匹では手狭にならない。


「わかった。探してやろう………お前との決着は俺が負けただけ。恨むのもバカバカしかった。昔のことは忘れてやる。主人に感謝しろ。水に流してやろうと言っていたしな!! 大事なことだから2回言うぞ!! 許してやる」


「お、おう!? ありがたいぜ‼ ネフィアの嬢ちゃん!!」


「えっ!? えっ!? どうしたの!?」


「ご主人。自分も入りたいので探すことにしました。綺麗に洗ってくださいね。トキヤの主人も」


「う、うん。心替わり早いね」


「おう、任せろ。ピカピカに磨いてやらぁ」


 オークの商人が手をニギニギして話し出す。


「では、契約内容ですが。冒険者ギルドに出しておきます。ランスロットと言う新任のギルド長に言っておきますので。トキヤ殿とは同期でしょう」


「えっギルド長?」


「おお!! 忘れとったぞ!! お前ら二人。竜狩りと言うランクだからギルド長になれるだろう。冒険者ギルドの長として2人の名前を入れといたぞ。別に一人でもいいだろうがなガハハハハ!!」


「くそったれ!? なに勝手に!!」


「旅出る前にそんな話をしてたような気がするぞ?」


「…………記憶がない」


「まぁ!! そういうことだ‼ ギルド長殿!! がはははは!!」

 

 トキヤの就職先も見つかり。私たちは新しい冒険者ギルドへ向かおうと思う。


「冒険者ギルドの酒場の管理人になるとは………」


 トキヤは不満を口にしながら。渋々了承するのだった。





 ギルド所有の酒場から奥へ入り。もう一人のギルド長に挨拶をする。知り合いなため。軽い挨拶で終わったあと。会話から本題を聞こうと思っている。


「お前、ギルド長になったんだな………ランス」


「ええ、君もでしょ?」


「まぁ、そうだな」


「実際は形だけのギルド長ですから。気にしなくてもいいです。代理も用意出来ておりますよ」


「なら、自由にさせてもらってもいいんだな?」


「いいですよ。ただし、僕が不在の時はお願いします。ギルド長2人体制はそういうことです」


「わかったよ……でっ? 温泉の依頼書は?」


「これですね。受付も終わらせています。報告も何もかも全て終わったらギルドが処理します」


 トキヤは依頼書を受け取り。それを丸めて脇に挟んだ。


「じゃぁ探してくる」


「任せました!!」


「………ランス。えらい気合いが入ってるな」


「ええ、期待しております‼」


「トキヤ、あんまり詮索しない方がいいよ」


「何故?」


 私は耳元で伝える。「リディアと入るためだよ」と言うと頷いてトキヤが振り返った。


「むっつりが。くそえろむっつりが」


「な、何を言うんだね!? ぼ、僕はただ」


「狼狽えてる方が怪しいよ?」


「………まぁその。リディアが楽しみにしてるのです。約束をしてしまいました」


「リディアさんだけか? リディアさんだけかぁ~?」


「君だって入りたいとは思わないのかい!?」


「残念だが思わない」


「トキヤ!? そ、そんな…………なんのために湯を……」


「ワンちゃんを洗うためだろ?」


「それもだけど………」


「まぁどうせ男湯と女湯は分けるし大丈夫さ」


「よくな…………!?」


 私はあることを思い付いた。そして、やる気を手に入れる。


「トキヤ!! 早くさがしに行こう!!」


「お、おう。またな~ランス」


「ええ、報告お待ちしてます。依頼主もお呼びしてますので酒場で声をかけてあげてください」

 

 私は彼の手を掴み。引っ張ってギルドを出りのだった。やり方は色々ある。酒場に顔を出し叫ぶ。


「お湯さがしに行くぞ!!」


「ネフィアうるさいぞ」


「来ましたか!! あなた達ですね!! エルダードラゴンを倒し従えている強者は!!」


 私の叫びに一人立ち上がり近付く。男性、小さい角があり龍人であることを示していた。悪魔と違い。角は小さくかわいい。あと龍印というのを持っており。これに魔力を流すことで彼等は変幻自在に姿を変えられるという。それを見せ種族を証明させた。


「依頼主か………回りくどい事を直接依頼すれば……」


「すいません。誰に頼ればいいか……わからなかったのです」


「お名前は?」


「ふふふ!! よくぞ聞いてくれました!!」


 龍人がくるっと一回転し叫ぶ。


「こよなく風呂を愛する者!! ユブネマスターでございます‼」


「トキヤ帰ろう」


「ああ、帰ろう」


「ちょ!! ちょっと待ってください!!」


「トキヤ晩飯どうする?」


「どっかで食べるかな」


「無視しないでください!! どうしたんですか!?」


「いや、だって………ね?」


「変人の相手はしてないんだ。追加料金いただくぞ?」


「自分が変人なのは知ってます!! お願いします!!」


「でも、名前……それでいいの?」


「風呂好きを極めております!! そう!! 東方の地へも行きました。そこで学んだ世界は素晴らしく!! そして僥倖!! この地は火山も地震も多く!! 温泉も湧く立地なのです‼」


「あっうん。いいんだねそれで」


 私でも引くことがあるとは思わなかった。


「ヘルカイトが匙投げた理由を垣間見た…………まぁいい。依頼だし、早速壁の外へ行く準備をしよう」


「ありがとうございます!! ありがとうございます!!」


 変な竜人が何度も何度も頭を下げる。私たちはそんなに喜んでくれるならっと依頼をそのまま受けた。


「成功したら、追加料金貰うからな」


 そして、私の夫様は抜け目はない。




 東壁から、ドレイクのワンちゃんと依頼人ユブネさんをつれて東から北へ歩く。ワンちゃんは鼻をつかい。何かを嗅ぎながら歩く。


「何を嗅ぎながら歩いてるんだ?」


「ゆで玉子の匂い」


「ああ、温泉の匂いか」


「うむぅ………しかし。匂うのは遠くから来た匂いだけ。表面付近にない」


「どっか近くでわからない? ワンちゃん」


「深くを探ればあるでしょう。でも主人たち掘れないでしょう?」


「ああ…………掘れないな」


「私でも頑張って掘りましょうか?」


「厳しいかもしれない。断層があればその下とかにあると思う。まぁここにはない。皆さん離れて少しお待ちを」


 私たちはドレイクから離れる。ドレイクが高く飛び上がりそのまま地面に着地した。


「…………クエイク!!」


ベコッ!! ボゴォ!! ドゴオオオオオオオオン!!


 着地した瞬間地面が抉れ盛り上がり、地面が浮き上がった。あまりの衝撃に足元が揺れ、私は後ろに倒れそうになる。しかし、トキヤに抱き締められて支えてくれたおかげで倒れずにすむ。


「あ、ありがとう」


「怪我はないな。ワンちゃん、わかった?」


「うーむ。衝撃が途中で止まった。スッゴい深くに水脈がある」


「それ、カルデラ湖から流れてるものじゃないのか?」


「それは川として流れ都市の中心に流れている。それとは違う…………お湯かもわからない」


「わからないかぁ………どうしよ………」


「問題ですね………お湯とはいかに高価なものか………」


「あのぉ~すいません皆さん。すっごーく痛かったので飛んで来たんですけど………ぐすん」


 背後から声がして、振り向くと緑色の髪の女の子が涙目で立っている。ユグドラシル。都市中心の大樹だ。


「すまない、木の精霊。根っこをキズつけたようだ…………もうしないよ」


「ドレイクが喋ってる? もしかして土竜さん?」


「もぐらじゃないな。土龍ワングランドです」


「ああ!! ワンちゃん!!」


 もう、愛称だけが有名になりつつあるのじゃないだろうか。名付けたの私だけど気に入ってるけど。もう少し格好いい名前だったらよかったのかなぁ。


「ユグドラシル殿。この下にある水は湯ですか?」


「えっと………深くてわからないかなぁ。表層しか根っ子ないから」


「掘りますか?」


「うーむ。掘るしかないかぁ」


「トキヤ!! その万能の風の魔法でなんとかできないの?」


「いや………無理。表層抉るだけだな。硬質なのは無理だ」


「そんな弱点が………」


「鎧を壊したことはないだろ?」


「そういえば………うーん手詰まり」


 悩む。いい方法はないだろうか。


「何かを………うーん。楽をしたいよね?」


「楽したいな。掘るのはしんどい」


「ご主人、ご主人」


「どっちのご主人?」


「ネフィアご主人」


「なーに?」


「ご主人の炎でいけるのでは?」


「炎で……………!? ワンちゃん!! 偉い!!」


 私は思い付く。今は時間もあるので出来る筈。


「ネフィア?」


「よし、イメージが出来る。そう、私にこれがある!!」


「どうするつもりだ?」


 その問いには威厳を出して答える。


「離れておれ、余から」


 口調を変え、イメージする。深呼吸を一回し目を閉じる。背中から炎の翼が生え魔力が高まる。周りの魔力が火の粉となって見えるようになった。


「我、ネフィア・ネロリリス。最強の男の伴侶である」


 詠唱。目の前に魔方陣が浮かびあがり描かれ赤く燃え上がる。背中の翼が霧散し魔方陣に吸い込まれた。


「我が心の炎よ!! 翼を得て舞い上がらん!! フェニックス!!」


キャアアアアアアアア!!!


 魔方陣が爆発し燃え上がり。上空へ大きな火の鳥が声をあげて飛び上がる。それをドレイクが吹き飛ばしクレーターになっている地面に回転させながら向かい。地面に吸い込まれるよう突っ込んだ。


 地面が一面赤く液状化し。ブクブクと灼熱を放つ。


「マグマかぁ………」


「トキヤ、これなら深く潜れる」


「しかし、穴を掘ったとは言えないな」


「確認だけなら出来るから……ん?」


 ぶく………ぶくぶ………ブクブクブクブクブクブク!!


 マグマから泡が多くなり盛り上がってくる。


「ネフィア!? やばくないか!?」


「う、うん。なんかヤバイ!! 逃げて!!」


 少しづつ膨らんだと所から勢いよくマグマが吹き上がった。周りにマグマを散らし草木を焼く。私に向かってマグマが降り注ぐ。


「え!?」


「ネフィア!! 危ない!! つぅ」


ジュゥウウウウ!!


 トキヤが私を抱いて、マグマから身を護る。彼の背中に灼熱のマグマが当たり焦げた匂いがした。


「あっつ!! あっつ!! ネフィアの魔法だろこれ!? 威力が出てる!!」


「トキヤ!?」


 私は回復魔法を唱え回復させる。他のドレイクや龍人はマグマの柱から距離を取った。私たちも距離を取る。


「ネフィア!! フェニックスは!!」


「わかんない!! 押し戻されてる!?」


「そうか、マグマが都市まで飛んでいってしまう。俺がやるしかないか」


 高く吹き上がるマグマが都市へ降り注ごうとしていた。険しい表情。大惨事になってしまう。


「ネフィア!! 一か八か全部風で吹き飛ばす。気を失ったらあとは頼む」


「わ、わかった」


「まって!! 大丈夫…………」


「大丈夫!? ユグドラシルちゃん!! 燃えちゃうよ!?」


「大丈夫」


 ユグドラシルが笑みを溢した。余裕を見せた表情で手を付き出す。


「私の名前はユグドラシル。都市ヘルカイトの中心に位置する木。私は護る!! この都市を!! 私の生まれた地を!!」


 ユグドラシルがそのまま手をあげ、その瞬間に都市の上空に大掛かりな緑の魔方陣が生まれた。マグマが見えない壁に当たり反対方向に吹き飛ばされる。


「ふぅ………大丈夫でした」


「えっと俺。スッゴいの見た………なんだあれ?」


「わ、私も」


「ここ、火山多くて噴火したときに同じ方法で護ったんです。私も火は天敵ですから火を入れさせないように進化しました。これしないと本当にどうしようもないです」


 この地で生きてくために身につけた能力らしい。なんともスゴい木だ。


ゴボッ!! ブッシャアアアアアアアアアア!! ボシィ!!


 マグマの次に今度は暖められたお水が吹き上がる、壁の高さを越えた水圧にフェニックスも吹き飛ばされており、私の元へ戻ってくる。力を使い果たしたのか小鳥になっていた。綺麗な虹が冬の空を彩る。


「ネフィア。お前の炎で水が急激膨張、沸騰し噴火みたいになったんだな………これ」


「はぁ………ごめんなさい」


 やらかしたらしい……面目ない。


「おおおおおおおお!? これは!! 素晴らしい!! 温度は高いですが!! これなら…………充分!!」


「依頼人が喜んでるから気にするな。終わったことだ」


「トキヤ……やさしい」


 吹き上がったお湯がゆっくりと落ち着きぽこぽこと湧くだけになる。


「いやぁ!! 報酬は後でいいですね!!」


 竜人が全裸になり、竜の姿で大きなクレータに貯まった湯に突っ込んだ。


「ぐへへへ~」


 気持ち良さそうに湯舟となったクレータでくつろぐ。


「ふぅ。トキヤ行きましょ」


「ああ。まぁ浴場はすぐには出来ないし満足ならいいや」


「ええ、ユグドラシルちゃんもありがとうね」


「いいえ!! あのあの!! 助けたからお願い聞いてください‼」


「ん? どうしたの?」


「ワンちゃん!! 乗って良いですか!!」


 ユグドラシルは目を輝かせてピョンピョン跳ねる。


「ワンちゃん? いい?」


「いいですよご主人。さぁ木の綺麗なお嬢様」


「んんんぅんんんぅ!! やった!!」


「今日だけユグドラシルちゃんのためにお願いね」


「はい、ご主人。お嬢様何処へ向かいますか?」


「私!! 遠くで確認したいのあるの!! そこ行きたい!!」


「わかりました」


 ドレイクに股がり。指を差して二人だけでどっかへ向かう。


「ご飯までには帰ってくるんだよ~」


 その背を見ながら、トキヤと共にギルドに報告へ向かうのだった。





 ギルドへ報告後。ご飯を食べ終えて家に帰ってくる。すぐに風呂に水を張り魔力炉で風呂を湧かす。この家に魔力炉は4つあり、非常に高価な物を惜しげもなく使っていた。本来は安い魔力炉を使い回すものだ。


「トキヤ、ご飯食べて帰ってきたけど大丈夫?」


「お前の回復魔法は一級品だ。あんな軽いケガは大丈夫さ………あのな。あれお前の魔法の炎でやられたんだ。本来は傷もつかない。ご飯中も言っただろう? 何回も聞くなよ」


「……心配だから」


「ごめん。いや………ありがとうだな。大丈夫、それよりお前に傷がなくて良かった」


「…………すぐに私の心配する」


「その台詞そのままお前に返す」


「………ふふ」


「………ははは」


 二人で笑いながらリビングで風呂が沸くのを待つ。沸いた瞬間チンっと音がして私たちに知らせた。


「トキヤ、お風呂先入っていいよ」


「ああ、お前そうやって。また入ってくるだろ」


「背中流すだけでしょ?」


「まぁ……」


「一線は越えてません」


「そうだな。越えてないが今日越える気だったろ」


「!?」


「はい、驚いた顔。ギルドで勇気出たんだろうな」


「…………のー」


 私はため息を吐く。「一緒に家で入りたい」と思ってたがまだ一回も入っていない。それを今日、ギルドでやると決めたのに。全部バレてしまった。


「ネフィア、背中流してやるよ。入るぞ」


「………えっ?」


「一緒に入るぞ」


「ん? ん?」


 聞き間違いかな? そんな、トキヤからなんて。


「駄々こねない」


 トキヤが私を風の魔法で倒してヒョイっと姫様のように持ち上げる。


「さぁ、いくぞ」


「えっと………」


「どうした顔を手で隠して恥ずかしいか?」


「ち、ちがう。トキヤがイケメンすぎて直視できない」


「俺が恥ずかしくなるな………それ」


 脱衣場に私は連れ去られ、私の一緒に入る願いが叶うのだった。 











 










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