みんな大好きB09
「忘れてたわけじゃないんだ。でも、言い訳になっちまうな。誕生日おめでとう、ヒナ。もう16歳か。早いなぁ」
ヒナは俺に誕生日を祝われなくて嘆いたと聞く。
本編ではソータに気があった描写が印象に残っていたため、なぜ俺なんかに祝われたいのか、そしてなぜかソータではなく俺に気があるというレイシアの分析に首を傾げたが、それが正解なら躊躇わずに掴みに行く。
「………それだけですか?」
………やべぇ。正解が見つからねえ。
構ってやれなかったこと。誕生日を祝わなかったこと。これ以外の答えって、本当にあるのか?
それとも、狼狽する俺を見て反応を楽しんでいるとか? まさか。ヒナはユリンみたいなことはしない。
本編に準じ、レイシアの分析のほかに要求されている要因………わからねえ。
「エース先輩、変わっちゃいましたね」
おっと………ノギ先輩から昇格はした。でも棘のある敬語と丁寧語は継続中。現段階では50点なのか?
「なにが?」
「サフラビオロスにいた頃は、こんなに誰かを構おうとしませんでした。いつもソータくんとアイリちゃんが近くにいて、そこに私もいて………でも最近は、いっぱい話しかけてくるひとがいて………」
「う、うん」
全員救いたいからな。
前世の俺がこの体を使う前の、本物のエース・ノギの記憶もある。エースは同級生に友達がいるが、そこまで多くはなかった。けどいつも構いに行くソータ、アイリ、ヒナと昼休みや放課後と行動を共にすることが多かったような。
「エース先輩が作ろうとしている輪のなかに私がいることはわかります。でも最近、その輪が大きくなって、私が近くにいることがなくなって………」
「寂しかった、か」
「少し」
寂しかっただけなら、宣誓と倫理をこの瞬間だけはぶち壊して、抱きしめて頭を撫でてやった。
でも、原因はほかにあると。危うく間違えるところだったか。
「エース先輩。私………」
「うん」
「なんで、私じゃ………」
「ヒナ?」
「………なんでもないです。ごめんなさい。私、もう行きます」
ガラスに手をついて勢いをつけ、ヒナが隔壁の向こうに移動する。
俺はその背中を追えなかった。
けど、追えなかったとしても。
「ヒナ」
「………はい」
「俺のこと、嫌いか?」
「え?」
「嫌いになってもいいよ。でも、これだけは覚えていてほしいんだ」
絶対に犠牲にしないために。
俺は改めて、ヒナに宣誓する。
「もしヒナに嫌われたとしても、俺はお前を守るよ。そのために頑張ってきたんだ。絶対に死なせない。みんなのこともだけど………プロジェクトに全部を注いでいるなかで頭のなかにいたのは、お前だよ。ヒナの笑顔だった。俺は………それを守るためなら、俺の全部を懸けてやる。お前の笑顔、俺が絶対に守るからな」
「………」
ヒナは振り向かなかった。
そして無言で去っていった。応えがあったということは聞こえていないということはない。
きっと届いている。
「絶対に………守るからな」
ヒナが去ったあと、広域のあるレクリエーションルームで、俺はひっそりと独りごちた。
今日も無事7回更新することができました!
皆様の応援のお陰です。ありがとうございます!
明日もできる限り7回更新を目指します。何卒応援をよろしくお願いします! というわけで次回の更新は0時頃に行います!
作者からのお願いです。
この作品は皆様の温かい応援で成り立っております。ブクマ、評価、感想、リアクションなどのありがたい応援を、ガソリンのごとく注入していただければ、作者は尻尾があれば全力でぶん回しつつ筆を加速させることでしょう。何卒よろしくお願いします!
誤字脱字報告、ご質問も大歓迎です!




