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〜ランダム〜  作者: 志貴
2/10

命令文

いつも通り、すれ違う人々に視線を逸らされながら、重々しい足取りで学校に着く。

そこまでは今まで通りだった。

しかし、学校では必要最低限以外のことは一言も、いや、もしかしたら必要最低限な事も一言も喋らない自分の靴箱に、突然ハートのシールで封がされている置手紙があったら、訝しげにはいられない。


新手の嫌がらせか?いやいや、この学校で俺にそんな事をする勇気のある奴はいないだろう。


じゃあ果たし状?微妙だ。そんな内容が書いてある手紙がこんなにキュートであるはずが無い。


俺が勝手に見てる幻覚?頬を抓くってみる。痛い。目を擦って見る。ゴミが取れたみたいだ。


やっぱりラブレター?・・・・・・・・・・・・悲しい願望は止めておこう。


手紙の裏を見てみると、そこには倉元亜紀くらもとあきと書かれていた。

はて、そんな名前の人は俺の知り合いにはいないはずだ。もちろん聞いたことも無い。

きっと、学年が違うのか、クラスが違うのか、もしくは偽名だろう。

中を見た方が早いと考えて、トイレでこっそり内容を拝見する。

こんなに心拍数が上がったのは人生で初めてでないのだろうか。

ハートのシールを丁寧にはがし、封を開ける。予想通りというか当然と言うか。そこには一枚の紙切れが入っていた。

それを手に取る。

ドクンドクンと心臓が高鳴る。

それを抑えるために二回深呼吸をする。

すー、ふー、すー、ふー。よしっ。

二つ折りにされた紙を開ける。そこには。



『今日の放課後、体育館裏に来いっ!!』



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・やたら命令口調だった。

しかも十人中十人がこれは女子の字だ、と言えるような丸々として可愛らしい文字だったので、それが書かれている内容と見事にアンバランスだ。

ミスマッチで不気味だ。

率直に素直に端的にそう思った。

だって仕方が無いじゃないか、もはやこの学校でまともに自分と話を出来る人なんていないと言うのに、この手紙、何かの陰謀を感じだってしょうがないでは無いか。

いや、待て待てそう決断を早めなくてもいい。そう、もう一度深呼吸だ。

すーふーすーふ。

よし、改めて考えてみよう。

これは女の子の字だ。まずそれは間違いない。

そして、この内容。秘密の呼び出しっぽいが命令形の口調がどきどき感を台無しにしている。ラブレターではない事は間違いない。

そこから考える結果は。

報復。

え、でも何の?

自分の出した結論に疑問を覚えてしまった。

ちなみに言うが、俺は今まで一度も口論をしたことも無ければ、人様を殴ったなんて事もした覚えなど無い。

外見こそ恐がられているが、それに似合うような悪事は働いていない。

断言してやる。

俺は無罪だ!!



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