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セブンス  作者: 三嶋 与夢
やっちまったな八代目
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【幕間】 歴代当主+奥さん

※幕間になります。本編とは関係ありません。

本編の毎日更新とは別で用意しました。

「歴代当主の奥さん」が出てこない理由をここで書いております。



※別件ですが、作中に出て来た種族で謝罪します。

知らずとはいえ、ホ○ットが著作権を所持しているのに作中で使用しました。

深く反省しております。

ホ○ット→ノームに変更しました。

感想欄でご指摘頂き、大変ありがとうございます。また、お騒がせして申し訳ありませんでした。

―第一章―


―宝玉内の歴代当主との出会い編―


 宿場町の宿屋に泊まることになった俺は、宝玉から聞こえる声に従って部屋の外に出た。


 周囲を見ると、廊下に椅子が置いてあった。


 そこに座り、しばらく時間を潰すことにする。


(なんだか、最近疲れが酷いな)


 妹であるセレスに負けて、実家であるウォルト家を追い出された。今は、ノウェムという元婚約者に助けて貰っている。


(凄く眠い……)


 ガタガタと揺れる作りの悪い椅子に座ると、そのまま目を閉じるのだった。






『起きろ、この野郎!』


「え、あ、え!?」


 怒鳴り声を聞いて、目を覚ました俺は周囲を見渡した。


 そこは丸いテーブルの中央に大きな青く丸い石がはめ込まれた円卓が置かれていた。周囲に椅子が同じ感覚で十四も配置され、そこには男女が隣り合って座っている。


 俺のところだけ、俺一人が座って隣に椅子など用意されていなかった。


 目の前に座った獣の毛皮を頭部からかぶった、どう見ても蛮族スタイルの男性が俺を睨み付けて言うのだ。


『死んだ魚みたいな目をしやがって! 見ていれば、ナヨナヨ、クヨクヨ……お前、それでもウォルト家の男か! いいか、ウォルト家はワイルドさが売りの――オフッ!』


 怒鳴り始めた三十台くらいの男性を、二十台後半の女性が拳を振り下ろして黙らせた。


 周囲も、なんとも言えない感じで叩かれた男性を見ている。


 頭を押さえ、男性は女性を見ながら。


『あ、あのな、これは子孫に活を入れるためであった、何も本気で怒っているとかそんな事はないから。……ないから』


 茶髪で癖のある髪を、ポニーテールにした女性は男性の胸倉を掴み上げ、ボディーにきつい一発を撃ち込んで黙らせた。


(……え、何コレ?)


 すると、俺の隣にいた女性が立ち上がり、俺に抱きついてくる。


『こんなに大きくなって……ライエル、私を覚えている?』


 女性を見て、俺は驚く。驚くほどに、俺のお婆さまに似ていた。だが、年齢は二十代後半辺りである。


 それに、お婆さまは亡くなっている。


「え、でも……そんなのは」


 オロオロとしていると、ポニーテールの女性が俺を見て笑う。


『ハハハ、随分と可愛いじゃないか。まさか、私の子孫がこんなに恰好いい男だとは思わなかったよ。よくもまぁ、ウォルト家からあんたみたいな子が生まれたね』


 すると、俺に抱きついていたお婆さまが、その女性を睨み付けた。


『……ちょっと待ちなさい。ライエルは私の血を引いているのよ。つまりは王家に連なる正統な血筋。偉そうにしているけど、騎士爵程度の夫人がどういう事?』


 ポニーテールの女性が、額に青筋を立てて反論する。


『あ? 年下のくせに生意気ね。そもそも、私がいないと、ここにいる面子は揃わなかったのを分かっているのかしら? ほら、アンタたちからも何か言いなさいよ』


 すると、ポニーテールの女性は、隣にいた夫婦らしき人たちに話を振った。よく見れば、全員が夫婦の関係に見える。


 狩人の恰好をした男性が。


『いや、その……お袋、落ち着こうか。ほら、子孫のライエル? も困っているし』


 だが、女性の方は違う。


『私、前から言おうと思っていたんですけど――』


 緑色のストレートロングの髪を触りながら、狩人姿の男性の隣にいた女性は言う。


『――お義母様のスープ、絶対に味が濃いですよね』


 ……何を言っているんだろう?


 話が繋がっていない上に、何やら言ってスッキリした表情を緑色の髪を持つ女性はしていた。


 狩人姿の男性が、フォローに回る。


『おい、違うだろ。ここでそういうのを聞いている訳じゃないだろ!』


『何よ! 最後まで言えなかったんだから、ここでくらい言わせてよ! これがウォルト家の味とか言って、不味いって言わない貴方も悪いんだからね!』


 ポニーテールの女性が、指を鳴らして狩人姿の男性とその隣の女性を睨んでいた。


『ほう……そんな事を思っていたのね。悲しいわ。クラッセル、その水っぽいスープを作る女に、本当のことを言いなさい』


 どうやら、ポニーテールの女性は、狩人姿の男性の母親のようだ。年齢は狩人姿の男性が少し上に見えるので、不思議な光景だった。


 俺に抱きついたお婆さまが、俺に説明してくれる。


『辛かったわね、ライエル。でも大丈夫よ。ここにいるのは、ウォルト家の祖先たち……あまり役に立つとは思えないけれど、スキル持つ者たちだからライエルの助けになるはずよ』


 そして、若かりし頃の祖父が立ち上がり、お婆さまに言うのだ。


『お、おい! あまりそういった事を言うんじゃない! 歴代の方々は、武に通じた方も多いんだぞ。それを言えば……』


 お婆さまに意見をしたのは、隣で我関せずの姿勢を見せる男性の隣に座っていた女性だった。


 小柄な男性の隣で、立ち上がると俺たちの方を見て。


『王家とは言っても、そもそもの元凶は貴方でしょうに。良いですか、ライエル君。その人が嫁入りの時に持ってきた宝玉が、全ての元凶なんですよ』


 我関せずの男性も、隣で小さく頷いていた。


『……そうだな。というか、流石に王家とかどうよ』


 俺は訳が分からず、周囲を見回した。


(あの、理解出来ないです)


 飄々とした男性が、ポニーテールの女性と緑色の髪を持つ女性の間を取り持っている。


『お婆ちゃんも、母さんもそのくらいで。ね? 僕のお願いだから』


 二人が、それを聞いて渋々と引き下がると、彼の奥さんが。


『いつもそうやって上手くやって……本当に要領は良いのよね。マークスが、あなたのせいで苦労したというのに。ねぇ、マークス? そんな気の強そうなチンチクリンを嫁に貰ったばかりに、フレドリクスが歪んで……』


 眼鏡をかけた男性が、冷や汗を流してオロオロとしていた。小柄な女性が円卓に両手を叩き付けて立ち上がった。


『五月蝿いわね! こっちは子爵家の娘として、色々と頑張ったのよ! 何よ! 私のフレドリクスが歪んでいるってどういう事よ!』


 我関せずを決め込んでいた男性が、オロオロと言うのだ。


『マ、ママ、お願いだから止めて。おい親父!』


 父親には強気の男性だが、眼鏡の親父と呼ばれた男は。


『俺にどうしろと言うんだ! どっちにも逆らえないんだから、父さんみたいにお前が丸く収めるんだ!』


『ふざけんなよ、このクソ親父!』


 喧嘩をし始めると、同じように小柄な女性も喧嘩腰の女性と取っ組み合いの喧嘩を開始した。


 大きな体で、一見するとワイルドそうな男性に俺は視線を向けた。


 だが、その大きな体を小さくして、椅子に座って隣の女性を気にしていた。


 金髪碧眼の綺麗な女性は、ドレス姿でどこか冷たい印象があった。


『五月蝿いですね。まったく、これだから辺境の田舎貴族は嫌だったのよ』


『いや、お前だってそれなりの暮らしをさせてだな。そういう言い方は――』


 ワイルドそうな男性がそう言うと、女性は男性を睨み付けた。


『五月蝿いわね、この嘘つき! 何が惚れたよ! 私以外の女を囲っておいて……大体、義父に言われてそのまま女性を囲っておいて……主体性がないのよ、貴方には!』


 ワイルドそうな男性が、小柄な男性に助けを求める視線を送った。


『……いや、妾を持つようには言ったが、それは跡取りが出来ない場合だぞ。無理して何人も抱える必要はなかったのに、お前が』


 ワイルドそうな男性が俯くと、祖父がその女性に言う。


『母上、もうその辺にしませんか。ライエルも見ていますし』


 女性が俺の方を見た。


 緊張して背筋を伸ばすと。


『まぁ、近くで見ると本当に可愛いわね。きっと、この人とは違う女泣かせになるわよ。良いこと、ライエル……この人のようにはならないでね?』


 ハイライトの消えた目で見つめられ、そう言われた俺は何度も頷くのだった。


 俺に抱きついた祖母が、言う。


『それよりライエル、ノウェムの事なんだけど』


「え、はい?」


『あの子、何か怪しくないかしら? なんかこう……女の勘が囁くのよ』


「あの、でもですね。俺についてきてくれた訳ですから。それに、俺はこれからどうするべきかを決めていない訳で……」


『それなら大丈夫!』


 祖母が俺から離れ、両手を広げた。


『ここにいる十四人! そのスキルと応用であるスキルを合わせて全部で【四十二のスキル】が、ライエルの物だから! なんなら、国盗りとかやってみる? 私、今の王家とか嫌いだから、全力で手を貸すわよ。ねぇ、貴方?』


 祖母が祖父を見ると、祖父は俯いて。


『う、うむ……国の一つや二つは、容易に取れると思うが……でも、これまでの歴史とか、大義名分とかだな』


 小声でボソボソと言う祖父に、祖母は腰に手を当ててどこから取り出したのか、お気に入りの扇子を広げた。


『何かしら? ウォルト家の男たちがいて、国一つ盗れないの? はぁ、情けない。バンセイム最強と謳われたウォルト家の歴代がいてこの程度とは』


 すると、腹を押さえて蛮族スタイルの男性が立ち上がった。


『ちょ、ちょっと待て。あのな、今はそいつに一人の兵もいない状態で、どうやって国盗りをだな』


 意外と正論を言うと思うと、男性陣は消極的だった。


『だよな。親父と同じ意見なのは嫌だけど、国に喧嘩を売るとか少し……』

『面倒だと思うし、どこかに逃げて新しく開拓でもしようよ』

『あ、俺はお金儲けとか得意よ』

『動物飼おうぜ、動物!』

『いや、悪かったからもう許してくれよ』

『わし、王家の相談役という立場だったんだけど?』


 一人だけ嫁に平謝りをしており、国盗りに興味がないようだった。だが、男性陣の奥様方は意見が違う。


 好戦的だった。


『いいわね! 私の血がバンセイムを倒して王家に……その話、乗った!』

『ここにいる全員のスキルを使用すれば意外に早いでしょうね』

『騎士爵から伯爵家にまで上り詰めたんですから、少し飛ばして王家でもいいわね。というか王家とか消えろよ。夫が死んだのは、絶対のあの野郎の責任だろうが……嫁を紹介したから何? その後の面倒とか押しつけやがって……』

『いいわね! あのいけ好かない王の子孫とか、目に物見せてやるわ!』

『夫がどれだけ耐えてきたか……そんなウォルト家を台無しにしたセレスは許せません! それに、周辺貴族を放置した王家に忠誠心など微塵もないわ! 貴方、頑張りましょうね』

『……ストレスの発散には丁度いいかしら。やるのよね、貴方?』

『それなりに付き合いのある家もあるのよ。王家に不満を持つ貴族も多いから。大丈夫、私たちがライエルに王位をプレゼントしてあげる』


 あげると言われても、欲しいと思う以前に。


「あ、あの……セレスにも勝てないんですけど」


 すると、蛮族スタイルの男性が。


『だからお前は情けな――ブヘラァッ!』


 ポニーテールの女性に殴り飛ばされ、黙らせられると女性陣は旦那の説得を開始する。


 甘え、時には脅し、そしてネチネチと嫌味を言って男性陣の許可を得た。


 俺はその光景を見ていることしか出来ず――。


 祖母が言うのだ。


『さぁ、ライエル……国盗りを始めましょうか』


「あ、あの――」


 そこまでして、俺はノウェムの声が聞こえた。






「ライエル様、こんなところで寝ては風邪を引きますよ」


 部屋で髪を洗い、体を拭いたノウェムは俺を心配そうに見つめてきた。


 俺は涙目で、ノウェムに抱きつく。


「ど、どうしたんですか、ライエル様!」


 慌てるノウェムに、俺は言うのだ。


「どうしよう、ノウェム……国盗りをする事になった」


「……は?」


 流石のノウェムも、俺の言葉に唖然とするのだった。


いかがだったでしょうか?


進まないよ。宝玉内に十四人。そんなにいたら本編がまったく進まないよ! それに、スキルが四十二個とか扱いきれないよ。最初からライエルはらいえるサン状態だよ!


いつか、奥様たちだけバージョンも幕間で書こうかな。

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― 新着の感想 ―
喧しいけど、女性は強いよね
[良い点] 死ぬほどやかましくて笑う
[一言] 男の子のらいえるサンではなく、女の子のライエラちゃんならあるいは。
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