第69話 大激変する俺の学校生活!?
「おはよー葵くんっ!」
「おはよ」
バス停にて、バスから降りてきた花音と合流。
「おはよ」
「おはようございます」
流れで種田さんとも一緒となった。
流石に数日こうやって3人揃って登校をしていれば、とやかくいうやつはほとんどいなくなる。
俺たちは短い道中を主に"森のカフェ"の運営に関して、あれこれと話しつつ進んでゆく。
「あ、あのさ2人とも……今日のお昼、例の"おみやげ"に関して相談があるんだけど……種田さんもお昼一緒にどうでしょうか?」
教室の手前で俺は、勇気を持って花音と種田さんへそう問いかける。
すると種田さんはちょっと驚いた表情を浮かべて、
「え? 良いの? あたしが2人のお熱い、お時間の、お邪魔しちゃって?」
「も、もうタネちゃん! 変なこと言わないでよぉ!」
花音は顔を真っ赤に染めって、大きな胸をプルプルさせて抗弁している。
俺も俺とて恥ずかしくて、何も言えずにいる。
「まっ、あたしは良いわよ?」
「おみやげの話なんでしょ! うんっ、私もオッケー!」
「じゃあ、今日のお昼は……」
そんな会話をしつつ、教室の扉へ手をかけると……
「あ! お、おはよう、香月くん!」
「は……?」
思わず硬直してしまう俺。
何故ならば、花音や種田さん以外の女子に高校に入って初めて、挨拶をされたからである。
それから挨拶してきた女子とつるんでいた他の女子も次々と挨拶を投げかけてきて……たしか田中さんだっけ……?
そういや田中さんやそのお友達も昨日の雑木林整備に協力してくれてたっけ?
「ど、どうも、おはようございます……!」
でもいきなり声をかけられてびっくりしてしまった俺は、一応挨拶を返してそそくさと自分の席に座る。
なんか花音と種田さんは、嬉しそうにクスクス笑っていたような……?
ふぅ……これで一安心だ。さぁて、先生が来るまで惰眠を貪ると……
「よ、よぉ! 香月!」
「は……!?」
机に突っ伏そうとしたところ、今度は頭上から男子の声が降りそそでくる。
ガタイがすごく良くて、爽やかな笑みを浮かべいるのは、たしかラグビー部の剛田くんだっけ?
そういや彼も、後から合流して雑木林の整備を手伝ってくれっけ。
「あ、お、おはようございます……! あの、なにか俺に御用で……?」
「あのさ、香月におり言って相談があってだな……」
「なんですか……?」
「実はうちの爺様が使ってる刈り払機とチェーンソーがずっと調子悪くて困ってるんだよ」
「そ、そうなんですか……? でも俺、修理とかそういうのは……」
俺は日々のメンテや、安全に扱う手法しかわからない。
よって業者のように修理をすることは難しいので、期待に応えられないのではと思う。
「いや、そこまでは良いんだ。むしろ香月の口から、うちの爺さんに現実を突きつけてやって欲しくてよ!」
「現実を、ですか?」
「俺から見てもその刈り払い機、明らかにボロなんだわ! でも爺さん、頭硬いから"使える!"の一点張りでよ……だから、香月の口からガツン! と言ってやってほしんだ。"危ないから買い替えろ!"て。昨日、爺さんに香月の話をしたら"刈り払い機を見てもらいたい"って乗る気だからさ!」
「そ、そういうことでしたら……!」
「うっし! まぁ、文化祭が落ち着いてからで良いから頼む。んじゃRINE交換しようぜ」
「あ、はいっ!」
なぜか剛田くんとRINEを交換することなってしまった……。
「んじゃ、俺もよろ〜」
と剛田くんの背後からひょこっと姿を現したのは、ひょろっとした男子の骨川くん。
剛田くんとはいつも連んでる、結構気の良いやつだ。
「香月ってさ、カブ乗りなんだろ? 実は俺もカブ乗りでね! 剛田もさ!」
「マジで!?」
まさかこの学校に、しかもこんな近場にカブ乗りがいただなんて!
急に共通のワードが出てきてめちゃくちゃ嬉しい俺だった。
「おう! 俺がハンターカブで、骨川がリトルカブなんだわ」
「文化祭が終わったら、軽くツーリングでも行こうぜ!」
「ぜ、ぜひ!」
と、いうわけで骨川くんともRINEの交換をする。
一気に2人も登録が増えた……しかも男子で、同じバイク乗り……!
「あのさー剛田と骨川、そろそろ良い? ウチらも香月くんにようがあるんですけどー?」
次いで脇から声をかけてきたのは、ちょっとギャルギャルした雰囲気の女子グループのリーダー各の吉川さん。
ちなみに彼女たちは、用事があって昨日の雑木林整備には参加していない。
「昨日は参加できなくてごめんねー。でも、これからは参加できるから安心してねー!」
「そ、そうですか。それは助かります……?」
「でさぁ、参加できなかった分、ウチらカトラリーのアイディアを考えてみたんだー!」
カトラリーとは、食卓用の刃物類の総称である。
おそらく、森のカフェで使うもののことだろう。
そして吉村さん達が提案してくれたアイディアとは、カトラリーを木材の廃材から削り出して作るというもの。
「キャンプ本読んでたら、これ良いなって。なんか、香月くん、そーいうの詳しいらしいから、実現可能かどうか聞きたくてねー!」
「あ、いや、でも、俺はあくまでアドバイザーなんで、まずは花音と種田さんへ……」
「もち、その筋は通すよ。でも、その前にあの2人の負担を極力減らすために、まずは香月くんからこの案に関してアドバイスをもらいたくてさ!」
「そ、そうことなんですね。わかりました。ただ、ちょっと今すぐには難しいので、確認してからお話しします……」
「おっけ〜んじゃ! 連絡先交換でいいよね?」
と、吉川さんもスマホを差し出してきたので、とりあえずRINEを交換。
「じゃあヨッシーが交換するならウチも!」
「ウチも!」
次々とスマホを差し出されるので、言われるがままRINEを交換し……なんか一気に登録者が増えたんですけど……
しかしここにきてちょっと、花音が今の俺をどんなふうにみているのか気になり……
"良かったね!"
俺が視線を送ると、花音は口だけを動かして、笑顔でそう言っているように見えた。
そして何故か、そんな花音の脇腹を、種田さんがニヤニヤした笑みを浮かべながら肘で小突いている。
ーーでもみんながみんな、俺に対して好意的に接してくれているわけじゃない。
昨日、意図せずとはいえ、恥をかかせしまった袴田くんは、ちょっとキツめの視線を俺へ送っている。
それにこのクラスに点在する、中学の頃の同級生達も、ヒソヒソと何かを囁き合っていた。
たぶん、俺の中学の頃の振る舞いに関してだと思われる。
まぁ、彼ら、彼女らはまた俺が"暴走する"とでも思っているのだろう。
でも、同じ轍はもう2度と踏むものか。
俺だってちゃんと反省はしているし、それに今俺の側には"暴れろ!"と背中を押してくれた種田さんとーー
花音『おめでと!』
花音『ようやくみんな、葵くんの良さをわかってくれたね!』
花音『私、自分ごとみたいにすっごく嬉しいよ!』
こうして俺のことを1番わかってくれる、支えてくれる花音が側にいてくれる!
だったら、俺のことをとやかくいう輩などなんそのそのだ!
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「花守 花音先生? 今の心境はいかがでしょうか?」
いつもの東屋に、俺と花音以外に種田さんがいる。
なんだかとても新鮮な光景だ。
「心境って?」
「香月 葵が急にモテだした件に関して」
「い、良いことだと思うかな……?」
「ほんと〜?」
「も、もうやめてよタネちゃん! そろそろ真面目な話しよ!?」
確かにこのままでは本題へ入る前に雑談で昼が終わってしまいそうだと思ったので、
「れいのおみやげの件になんですけど、2案ありまして……まずは……」




