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第65話 新学期開始! 種田 菜種の無茶振り!

「お、おはよう花音!」


「おっはよう、葵くんっ! 今日から新学期だね! よろしくねっ!」


 久々に見た制服姿の花音は、大きな胸をばいんばいんと揺らしつつ、バスから降りてくる。

やはり夏服というものは、花音の爆乳をとても際立たせるものらしい。



ーーもしよかったら新学期からは、バス停で待ち合わせして一緒に学校へ行こう!ーー


 夏休み終了直前、花音からそんなRINEが飛び込んできて、素直に従うことにした俺なのだが……



「あれって、花守さんだよな……?」


「なんだあの男? あんなやつうちの学校にいたっけ?」


「アイツだよ、中学の時、女子をボコボコにしたって噂の……」



 なんだか周りはあることないことを勝手に言っている。


 しかも最後に聞こえたのは、かなり誇張されていて、結構傷つく……


「行こっ! 葵くんっ!」


「あ、ああ……」


「あんないい加減な噂、タネちゃんと私ですぐになんとかしちゃうんだから! 葵くんは優しくて、素敵な人だって知らしめてやるんだから!」


 どうやら花音にも聞こえていたようで、大変ご立腹な様子だ。


 意外と花音って、勇ましいところもあるんだなぁ、と思った次第である。


 そうして俺と花音はバス停近くにある、とてもオシャレな建物へ近づいた。


 腕がいいことで有名で、このあたりに別荘を持つ芸能人とかもよく通っているというーービューティーサロン・TANE


 その店先にはしゃんと背筋を伸ばして、凛々しく佇んでいる背の低い女子生徒の姿が。


「おっはよー! タネちゃん!」


「お、おはようございます……」


「おはよう、かの! 香月 葵も、おはよう! 新学期よろしくね!」


ーーやはりいきなり俺と花音が2人きりで登校すると、とやかくいう奴が現れかねない。

そこで暫くの間は、種田 菜種さんが一緒に登校してくれるとのこと。


 種田 菜種さんは我が2ーCの学級委員であり、生徒副会長であり、弓道部主将。

幼女のような見た目ながら、気の強さと物怖じしない性格から、一部からは"姉御"と慕われる人格者。

花音の"彼氏"なんて冗談で指す輩もいるほど、花音とは大の仲良しなのだ。


 花音の話では種田さんが、俺のために色々と用意してくれていると聞かされているが、果たしてなんなのか……


 そんなことを考えつつ、学校へ入り、始業式を終え、担任のホームルームも終わり、


「では早速、文化祭の出し物についての会議を始めるわ!」


 我が校では10月に修学旅行や中間テストががあることから、毎年9月の下旬に文化祭が催される。

よって新学期早々ではあるが、こうして動かねばならないのだ。


「まずは夏休みの間に、出し物に関して考えてきた人はいるかしら? いたら、この場で提案を!」


 しーんとしてしまう教室。


 まぁ、誰も考えるわけないわな。しかも、C組のクラス委員は絶対的な信頼を勝ち得ている種田さん。

そして今年の文化祭実行委員の我がクラスの代表はーー


「ないみたいね。じゃあ、こっからは、かの!」


「はーいっ!」


 文化祭実行委員のクラス委員である花音は、手にした模造紙をホワイトボードに貼り付け、


「C組の出し物として私は"森のカフェ"を提案します!」


 模造紙には、丸太の椅子などが無茶苦茶上手に描かれた、カフェのイメージ図が。


 途端、クラス内の熱気が高まったように感じる。


「んふふ……さすが我がC組ね。ノリが良くて助かるわ。みんな、普通の喫茶店とか、メイドカフェとはつまんないと思っているのね! さすがだわ! じゃあ、かの続きを!」


「はーい! えっと、この森のカフェは学校の敷地内にある雑木林を利用して実施しようと考えてます。出すのはもちろん、cafe  KANON提携のフィールドコーヒーと、バームクーヘン!」


 ここ最近、花音の実家であるCafe  KANONさんは、旅番組でも紹介されたりして、かなり有名になりつつあるのだ。

しかも提案者はそこの娘で、しかも人気者の花音。

だれもがもはや納得の様相を示している。


「椅子には丸太を切って利用し、荷物置き場にはテントなどを設置して、キャンプ場さながらの店舗展開をしたいと考えてます!」


「もちろん、これらの要素に関しては、みんなの承諾が得られれば、実行に移せるよう各種手配は完了しているわ」


 花音がビジョンを語り、種田さんが実現に尽力する。

この2人が会社を起こしたら、すごく成功しそうだと思った。


「ただやることはいっぱいあるわ! 雑木林を使う条件として、あたしたちの手で整備しなきゃならないの。他にも椅子を作ったりなど、色々あって大変だわ。でも、唯一無二の、いい思い出になることは確実よ! では早速採決! かのの森のカフェに賛成の人は拍手を!」


 まるで軍人のような種田さんの合図に、クラスメイトたちは迷った様子も見せず拍手をする。


 俺もキャンプっぽい題材だったら、なにかと力はかせそうだし、拍手しておこうっと……


「ありがとうみんな! やっぱりC組は、ノリが良くてとっても好きよ!」


「ありがとーみんな! 頑張ろうね!」


 いやいや、よかったよかった、花音と種田さんの案がすぐに採用になって。

2人が頑張るんだったら、俺も陰ながらお助けしないと……


「と、いうわけで……香月 葵っ!」


 壇上の種田さんがそう叫んだ途端、皆はシンと黙り込み、硬直している俺へ視線を寄せてくる。


「あなたアウトドアにかーなーり詳しいのよね? この森のカフェに関して、あなたに"実行アドバイザー"お願いしたいのだけれど!」


「お、俺っすか!?」


「あのね、みんな聞いて! 今年のゴールデンウィークさ、うちのお店で炭焼きバームクーヘンっての出したじゃん? あれって、葵くんが発案して作ってくれたものなんだよ!」


 花音がそう発言した途端、クラス内をさまざまな言葉が行き交う。


 しかしその多くが人気者の花音が、陰キャボッチの俺を"葵くん"と呼んでいることである。


「他にも夏休み前に私とかの、香月 葵とそのお友達の4人でキャンプをしたのだけれど、彼大活躍だったわ。彼のおかげで楽しいキャンプを過ごせたんですもの。彼ほど、この企画のアドバイザーに相応しい人材はいないわ!」


「きっと、葵くんなら、この森のカフェを成功に導いてくれるよ! だからお願いっ! みんな葵くんがアドバイザーになるの認めて!」


 おいおいおいおい! なんかもう俺が了承するテイになっているぞ!?


 ぶっちゃけ恥ずかしい。しかも、一瞬クラス全員の視線が集まった時、意図せず背筋がヒヤッとした。


 もしも前の俺だったら、こんな状況怖気付いて「できません……」と断ったかもしれない。


 だけどーー!


「あ、あ、えっと……み、みんなが良いって、言ってくれるなら……が、頑張ります所存です……!」

 

「では香月 葵くんを実行アドバイザーとすることに賛成する人は拍手!」


 たぶん、花音の人望と、種田さんの迫力に押されたのが大半なのだろうが、教室は万来の拍手に包まれた。


 まさか俺が今年の文化祭の中心人物になるとは……これが、花音の言っていた種田さんの仕込みかっ!?


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