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決戦

 現れたグレーターデーモンの姿は異常だった。


 通常の腕の他に、背中から二本、肩から二本、横腹から二本の八本の腕が生え、凶々しい蝙蝠の羽の様な翼が生えている。太い蜥蜴の様な尻尾があり、身体表面に動物の毛皮の様な部分と、鱗のある部分が混在していた。その体躯も3メートルを超えている。頭から捻れた二本の角を生やし、口は裂け牙が並んでいた。



「サティス!翼を!」


 ユキトが叫ぶ!


「はい!」


 ドンッ! ドンッ!


『グゥワァーー!!』


 弓矢の音とは思えない着弾音が響き、グレーターデーモンの翼に穴を穿つ。

 空を飛ばれると厄介なので、サティスに翼を潰して貰う。



 ザンッ!


『ガァーー!!』


 ルドラから飛び降りたユキトが、グレーターデーモンの腕の一本を斬り飛ばす。


 唐竹割りに斬り裂くことを狙ったが、腕で防がれてしまった。

 斬り飛ばした筈の腕が再生し始めている。


 ユキト目掛けて振り下ろされる腕をかいくぐり、距離を取る。


 ザンッ!


 背中の腕が一本空を飛ぶ。


「爺ちゃん!」


 いつの間にか駆けつけたノブツナが、一撃離脱を繰り返す。


「気を抜くなユキト!」


 ユキトとノブツナが波状攻撃を繰り出すが、グレーターデーモンの再生速度が速い。


 ドガッ!


 グレーターデーモンの胴体に、強烈な正拳突きを叩き込んだのはヴォルフだった。


「たたみ掛けるぞ!」


 ヴォルフが叫ぶ。


 ユキト、ノブツナ、ヴォルフが怒涛の攻撃を仕掛ける。その攻撃の隙を埋める様にサティスの矢が襲う。

 フィリィポスがバフをユキト達にかけて支援する。アイザック達は、聖域結界の力を増幅して、グレーターデーモンの動きを鈍らせる。


 バーバラ達は、グレーターデーモンが苦し紛れに放つ魔法を魔法障壁で防ぎきる。



 ガキッ! ギンッ! ズバッ! ドガッ!


 グレーターデーモンの周りを高速で走り抜けながら攻撃を加えるユキト。

 虚実を織り交ぜグレーターデーモンを翻弄するヴォルフ。

 間合いを読み切り、的確にダメージを重ねるノブツナ。

 近接戦闘する三人のサポートに徹するサティス。


 時折、ルドラが風の刃を飛ばして加勢する。




 ドォーン!


 キングエイプのジーブルの持つ棍が、グレーターデーモンの肩を撃つ。


『助太刀します』



 ザンッ!


 グレーターデーモンにランスチャージで一撃離脱するのは、ゴーレム馬アルスヴィズを駆るスケルトンロードのバルク。


『聖域結界の中でもユキト様の召喚体ならば、スケルトンロードでも問題ない様です』



 バシュ!


 巨大な狼の爪がグレーターデーモンの脇腹を抉る。カイザーウルフのヴァイスが高速で駆け回る。


『主人に仇なすモノを殲滅せん』




 ユキトが斬り、ヴォルフが蹴り、ノブツナが突く、サティスが狙撃し、ルドラから風の刃が飛び、ジーブルの重い打撃が襲う、バルクが騎馬突撃し、ヴァイスの爪が斬り裂く。


 嵐の様な攻撃にその身を晒され、段々反撃が出来なくなるグレーターデーモン。


 徐々に再生のスピードが遅くなってきている事を、全員が理解していた。

 グレーターデーモンの放つ魔法も頻度が少なくなってきている。

 それでもグレーターデーモンは、八本の腕と太い尻尾を振り回してユキト達を攻撃し続ける。


 グレーターデーモンの斬り落とされた腕や、抉られた肉片は地面に落ちると、聖域結界サンクチュアリィフィールドの力で浄化され消えていく。


 ユキトは心なしかグレーターデーモンの身体が小さくなってきている様に感じた。

 グレーターデーモンのその変化は、闘いが始まり1時間を過ぎた頃、誰の目にも分かるくらいだった。3メートルを超えていた、その体躯は2メートルを少し超える程度まで小さくなっている。


 やがてグレーターデーモンとの戦闘が2時間を超え、ユキト達にも疲労が蓄積し始めた時、要約グレーターデーモンに最期が訪れる。


 その姿は既に人と変わらぬ大きさまで縮み、八本あった腕は二本にまで減り、太い尻尾は斬り落とされたまま再生せず、蝙蝠の羽の様な翼も斬り落とされ、黒い身体と捻れた二本の角が人ではない事を主張していた。


「ユキト!トドメだ!」


 ノブツナが、グレーターデーモンの残る腕の一本を斬り落とし叫ぶ。


「あゝ、早くやっちまいな!」


 ヴォルフが残る腕を根元から跳ばす。


「行きます!」


 一瞬で間合いを詰めたユキトが刀を一閃する。


 ボトッ!


 グレーターデーモンの頸が落ちる。


 頸と腕を失った身体に、ヴァイスが爪で切り裂き、ルドラも急降下してその爪で切り裂く。

 ユキトとノブツナもグレーターデーモンの身体を細切れにしていく。


 やがて全ての肉片が、浄化され消え去り、その場に巨大な魔石が遺された。


 その魔石は濃密な瘴気に侵され、禍々しい気配を放っていた。


「この聖域結界のなかで、よく浄化に耐えているね」

「さっさと浄化してしまいましょう」


 アイザックとフィリッポスが近付いて来た。


「じゃあ浄化を重ねますよ」


 フィリッポスの合図でアイザックとユキトが浄化を掛ける。


 魔石に残された瘴気が霧散すると、魔石はその形を保つ事が出来なくなり崩れ去った。


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