レベルアップ1
草原で、遠くに設置した的に向かい、細長い魔道具を構える。
ドガァーーーーン!!
細長い魔道具から放たれた、ロックバレットが、的を貫き通し、的の後ろにある岩を粉砕する。
「うーん、やっぱり加速の術式を加えると、普通のロックバレットとは威力が段違いだな。ちょっと魔力を込め過ぎたか。これなら、上位種でも楽に斃せそうだな」
ユキト達は、街の外れの草原で、イリス達に使わせる、遠距離攻撃用の魔道具をテストしていた。
結局、土魔法、氷魔法、火魔法、雷魔法の四属性を切り替えれる様にした。イリスとティアには、ロングサイズの物を、アメリアには小型軽量化した、ショートサイズの物を作成した。
当初、ロックバレットとアイスバレットの二種類で作成していたが、魔物によっては苦手属性が様々なので、攻撃する属性は多い方が良いと、バーバラやアイザックからアドバイスを受けて、四属性の魔法を切り替えて使える様に改造した。
「はい、イリス、ティア、アメリアちゃん」
「「ありがとうございます」」
「ユキトお兄ちゃんありがとう~」
ユキトが、最終チェックした魔道具をイリス達に渡す。
イリスとティアが、ユキトから渡された魔道具をチェックしている横で、アメリアがニコニコしながら撃つ真似をしている。
「じゃあ、ジーブルがイリスを、ヴァイスがティアを、ルドラはエリンと一緒にアメリアちゃんのレベルアップを手伝ってあげて」
『『任せて下さい』』
『クルゥ』『キュー』
ジーブル、ヴァイス、ルドラ、エリンがそれぞれ、任せておけと自信満々に返事する。
ジーブルがイリスを肩に乗せて走りだし、ヴァイスがティアを乗せて走る。ユキトがアメリアちゃんをルドラに乗せると、エリンと供に魔物を求めて飛び発った。
何時でもサポートに廻れる様に、ユキトとサティス、ゴーレム馬のアルスヴィズに乗ったバルクが、見晴らしの良い丘の上で、待機している。
魔物の領域の近く、森の側にある丘にジーブル達に連れられて、イリス達が来ていた。
『もう直ぐ、正面に見えて来ます。用意して下さい』
魔物の気配を捉えたジーブルが、イリス達に準備を促す。
「「はい!」」「は~~い!」
イリス、ティア、アメリアが返事をして、ショットロッドを構える。
少し離れて、ヴァイスに乗ったティアもショットロッドを構える。その数メートル離れて、ルドラに乗ったアメリアが、ショットロッドショートバレルを構える。
やがて、森の中からエリンが飛び出して来た。少しして、森からオークの群れが現れる。
エリンが、オークをイリス達の方に、引っ張って来る。
『二十位ですね、集落でも出来たのかもしれませんな。エリンが背後に抜けたら、撃って下さい』
ヴァイスが、イリス達に言う。
『キューー!』
エリンが、スピードを上げて皆んなの間をすり抜ける。
ダダダァーーーン!!!
イリス達が、一斉に法撃を放つ。
オークの群れに、法撃が降り注ぐ。
二十数匹のオークの群れを、あっと言う間に斃していく。
『撃ち方止め!』
ジーブルの制止の合図で、法撃が止む。
法撃が止み、オークの死体が散乱する中を、ヴァイスが生き残りが居ないか確認して、息のあるオークをイリス達が、仕留めていく。
「からだが、あつい~!」
身体に力が溢れるのか、アメリアが嬉しそうに叫ぶ。
『急激にレベルアップした所為でしょう』
ジーブルが心配ないと言う。
『キュー、キュー』
エリンが、何かを訴えかけてくる。
『エリンが、森の奥にオークの集落を見つけた様です。丁度いい規模の集落みたいですから、潰してしまいましょう。それで、少なくともレベル三十は超えるでしょう』
ジーブルがエリンの報告を受けて、オークの集落を潰すことを告げる。
『今、ユキト様に許可を頂いた。ユキト様とサティス様、バルクもフォローして下さる様だ。後、斃したオークの後始末もして下さるとの事だ』
ヴァイスが念話でユキトに、オークの集落討伐の許可を取ったようだ。
イリス達は、再びジーブル達に乗ると、エリンの先導で森の中に入って行った。
「やっぱり、ジーブルやルドラ達が居ると、危なげなく戦えるね」
イリス達から少し離れて、後ろをついて行くユキトが言う。
「そうですね、魔道具の性能もあるでしょうが、この近辺の魔物では、万が一もありませんね」
サティスが、何時でもフォロー出来るように構えていた弓をおろす。
そこにアルスヴィズ(ゴーレム馬)に乗った、バルクが近付いて来る。
『オークの後始末は、任せて下さい。ユキト様は、皆の方をお願いします』
「ありがとうバルク。そうさせて貰うよ」
ユキトは、バルクにその場を任せて、サティスと皆の後を追う為、森の中に入って行く。
ユキトが索敵しながら森を進みながら、オークの集落を探る。
「……なんか凄い勢いでオークを狩ってるな」
ユキトが感じる魔物の気配が、もの凄い勢いで消えて行くのを、呆れながらサティスと森を進む。
「なんか、レベルアップが楽しいみたいですね」
サティスも魔物の気配が凄い勢いで、消えて行くのを察知しているみたいだ。
ユキトとサティスが、オークの集落が観える場所にたどり着いた時、思わず声をあげてしまった。
「……うわ~」




