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魔王をシカトしないで。

「ココカラハ王ノ都。オ前タチモ警戒シロヨ」


「どうしてですの?」


「既ニ我ラノ事ハ、王ノ耳ニモ届イテイルダロウ。イキナリ姿ヲ見セテハコチラガ不利。ココハ一旦住民ニナリスマシ、都ニ入ルガ得策」


 都を目前にして魔剣は刀身にオーラを纏うと、その中から白いローブを三着ほど取り出した。


「コレデ修道女ニナリスマセ」


「着いたー!よし、さっそく支配開始!魔王だぞー!」


 馬車が到着したとたんにメルルは魔剣を握って馬車から飛び降りた。

着替えようとしていたスライムとサキュバスも、到着と同時に飛び出していく魔王に遅れまいと、そのままの姿で都へと姿を現した。


「メルル。話ヲ聞イテイタカ?」


「聞いたけど、めんどくさい」


「アノナ…」


「だってさー魔王だよ?魔王がわざわざ身を隠して現れるとかダサくない?」


「勝利スルタメニハ小サナ事ヲ重ネル必要モアルゾ」


 駆けだした町は煌びやかだった。街にはいくつもの芸術品やアートが整備された空間に置かれ、行きかう人々も今まで行った町とは比べ物にならないほどに上品な出で立ちでいる。


「皆金持ちそうだね」


「貴族ナノダロウ」


 貴族たちは急に現れた三人を見て驚きも興味もなさそうだった。

少し物珍しそうに見ても、一回見ただけでそれ以降は見ようとしない。


「魔王が来たってのに、みんな無関心だね」


「少シ変ダナ」


 せっかくの登場に対して視線が集まらずにメルルは腹が立った。

魔王が直々に来たというのに、貴族たちは冷たく一切の反応を示さない。


「ねぇねぇ、魔王が来たんだよ。なんでシカトしてんの?」


 通り過ぎの一人を捕まえると、メルルは首をかしげて詰め寄った。


「魔王だから何だというんだ。低俗な魔族の相手をするほど私らは暇じゃないんだ。さ、手を放してくれ」


 通りすがりはメルルを見下したように離れると、ネクタイを締めなおしてさっさと通り過ぎていこうとした。

カチンときた。

低俗?暇じゃない?

こちとら支配しに来てんだよ。シカトこいてんじゃねぇよ。喉元まででかかった言葉を飲み込むと、代わりに魔剣を振るった。

 さっさと去ろうとした貴族はその背中を大きく斬られ、血飛沫をあげながら絶命した。


「キャアアアアアアア!」


 人が一人殺されたことでやっと悲鳴があがった。

やっと貴族たちは自分たちに危機が迫っていると感じ取ると、叫び声をあげながら逃げ惑った。


「そうそう!それでいい!全くさー、いちいち斬られないと物事がわからないなんて。リスク管理が出来てないね」


「魔王様、リスク管理ってなーに?」


「自分たちが危険な目に合いそうだってわからないんだよ」


「そうなんだ」


「だから、スライムちゃん。分裂して人間を襲ってらっしゃい。リスク管理の大事さを教えてあげなきゃだ」


「はーい」


 スライムは分裂して数を増やすと、逃げ惑う貴族に襲いかかり都はさらにパニックとなった。

聞こえる悲鳴、割れる窓、どこかで爆発すら起こっている。


「あー支配してるって感じするわ」


「魔王様、このまま城に攻め込んじゃいましょ!」


「よーし、行くかー!」

 

 喧騒の中をメルルとサキュバスは駆けだした。目指すは城にすまう王の首だ。

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