サキュバスに夜這いされたんだけど
風呂から上がると着ていた洋服はすでに片され、用意されていたバスローブに袖を通した。
シルクで出来ているのだろうか、偉く肌触りがよく身体の湿り気もすぐに乾き、上等なものを着ているという満足感にメルルは気分を良くしていた。
鼻歌を歌いながらバスローブ姿で元の玉座へと戻る。少し間を持って元の局部のみ隠したビキニ服をきたサキュバスはまだ顔を赤らめ物足りなさそうに人差し指を口に当てている。
「はーいいお湯だった。このバスローブもすっごく着心地いいよ」
「お褒めの言葉光栄にございます。あの…よろしければ寝室のご用意も…出来ております」
何故だかサキュバスは恥ずかしそうに顔を赤らめて視線を合わせようとしない。
乳を揉みすぎたせいかとメルルは思い、さすがにやりすぎたかと目を泳がせた。手にはまだサキュバスの乳房の感触が残っている。
返事のないメルルにサキュバスも黙ったまま。
せっかく寝床を用意してくれたのだから、これは見てあげたほうがいいのだろう。
それにバスローブがこれだけ上等なのだ。浴室も豪華だったし、寝室も豪華に違いない。メルルはどんな寝室なのだろうかと考えると、気持ちが弾んできた。
「せっかくだし見せてもらおうかな。それに今日は疲れたしもう休もうかな」
「はい!ぜひ!」
先ほどの嬌声とほど遠い威勢の良い声がサキュバスの口から発せられた。
しかし、その目はハートになっており、顔は火照りが収まっていないように赤い。
メルルにはそれが何故だかわからなかったが、サキュバスは細長く先端がハート型になった尾を満足そうに振りながら寝室へと案内した。
薄暗い部屋には天蓋カーテンのついた大きな白いベッドが置かれていた。掛布団も枕も装飾の施された如何にも価値のありそうなものだった。
さらに白いベッドの上には花びらが散らばり、人を酔わすような妖しげな、でもどこか心地よい香りで満ちている。
こんな豪華なベッドに横になったことなど当然ない。まるでお姫様になったような気分がしてメルルは心が弾んでいた。
「わーおっきーい!」
天蓋カーテンを開いてベッドに飛び込んだ。まるで粉雪に埋もれるように顔が沈む。ベッドはとんでもなく柔らかく体を優しく包み込んでくれる。大の字になって横になれば、今すぐにでも眠れそうな気がした。
「はぁー最高かよ。いい匂いがするし、柔らかすぎるし、こんなベッドがこの世にはあったんだね。まるでお姫様になった気分だわ」
「魔王様のために数種の花ビラを混ぜて散らしてあります。香りはそのせいでしょう。ベッド自体も王族が使う最高級のものを用意しております」
「素晴らしすぎる。大きなお城、大きなお風呂、大きなベッド。今日からここが私のおうち。まさかこんな人生になるとはなぁ」
「あ、あの、魔王様」
「ん、なぁに?」
うつ伏せになってサキュバスの方を見ると、手に茶色い編み籠を持っており、そこには数種の液体が入った瓶が収納されている。
「よ、よろしければ、あの…お疲れでしょうし、果樹より生成したオイルをお持ちしました。これでマッサージすると、肌ツヤがよくなり、血行が促進され、リラックス効果があるそうです。なので…良ければ…」
「なになに、マッサージしてくれるの?」
「ま、魔王様が良ければですが」
「いいの!?してして!」
「はい、ではローブを脱いでうつ伏せになってくださいませ」
言われたままにバスローブを脱ぎ捨ててベッドにうつ伏せになると、隣にサキュバスが腰かけオイルを手に垂らすとまんべんなく伸ばして、メルルの背を摩った。
「あ゛ー染みてる感じがする」
「不快な所はございませんか?」
「ぜーんぜん!むしろ超気持ちいい」
「良かったです。では、足もマッサージしますね」
手にオイルを足して今度は腰から臀部、太ももと手のひらを滑らせた。時折指先で太ももをなぞったり足裏をフェザータッチしていたが、サキュバスの手さばきにメルルは気持ちよくて、だらしない声が出てしまう。
「こんな生活毎日出来るのかぁ」
「魔王様がお望みでしたら、わたくし、毎日でもマッサージ致しますわ!いえ、毎日と言わず日に何度でも!」
「それはさすがに悪いよぉ。はぁー気持ち良すぎてなんだか眠くなってきたよ」
それから数分も経たないうちにメルルは夢の中へと旅立ってしまった。
寝息を立てるメルルにサキュバスは顔をのぞき込んだり、マッサージする手を強くして本当に寝たか確認すると、手を止めて目にハートを宿して顔をニヤつかせた。
「魔王様…寝てしまいましたか?」
反応はない。メルルはすでに夢の中に旅立ってしまっている。
するりとサキュバスは着ていたビキニ服を脱ぐと、メルルを仰向けにさせた。
女性にしては控えめな身体ではあるが、それでも白く若い肌は艶やかで、オイルを塗ったせいで余計に麗しく見える。
顔を近づければ幼くも女性らしい良い香りがして、サキュバスは胸いっぱいにメルルの香りを吸い込んだ。
下腹部の上にそっと跨ると、身体を被せてメルルの口に自分の唇を重ねた。
柔らかく潤んだ唇。
目の前に素肌のまま横たわる少女は、まるで眠り姫のように美しく思えた。
「魔王様。私……魔王様の子が欲しいです……♡♡」




