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13 商団団長「俺はつえぇよ」

 エーティルのことが大好きだということを隠そうともしないリタは男爵家の三女である。


 リタの実家の男爵家にはしっかり者の長女と跡継ぎの長男と気立てのいい次女がいる。少し年の離れた末っ子のリタは家族に可愛がられたが貧乏男爵家なので子供たちも幼い頃から手伝いをすることが当然であったため日の高いうちは誰もリタを相手にする時間がなかった。そこで男爵は七歳になったリタに昼間は教会に併設されている孤児院の手伝いをさせるようにする。本当に手伝いをさせたいのではなく子どもたちと遊んでいていいという考えだ。リタは同じ年頃の子どもたちと遊びながら年下の子どもたちの面倒も見て、夜になれば男爵家に戻り家族に愛されるという男爵の考え通りの日常を送っていた。


 その孤児院を取り仕切るシスターの中でも一際若く美しいシスターにリタはとても懐いていた。

 リタが八歳の年のある日、真夜中の孤児院に強盗が数名入ったのだが強盗たちは十分に調査していたらしく金目のものなどないことを承知で押し入ったようで何にも目もくれずそのシスターを拉致していった。


 翌日そのことを知ったリタは大変に嘆き父親の男爵にも談判した。


「シスターは? シスターを助けてくれないの? パパ! 酷いよっ!」


 貧乏な男爵家が自警団など持っているわけもなく防衛手段として牧師の派遣を教会本部にお願いすること以外には何もできなかった。


 しかしさらに翌日に奇跡が起きる。


 小さな商団がその強盗たちに山で襲われたのだがそれを返り討ちにし強盗たちを一掃するためにアジトへ行ってみたところシスターが檻の中に囚われていた。どうやらシスターはどこぞの金持ちに見初められてしまったらしく強盗たちは金で雇われ誘拐のためだけに孤児院へ押し入ったらしい。不幸中の幸いであるがシスターには一切手は出していなかった。

 それでもシスターの抱いた恐怖心は無くなることはなく震えるその肩を商団の女性従業員に守られるように抱かれていた。


「彼女は王都の教会本部へ預けようと思います。我々は王都へ向かいますので同行させるつもりですがよろしいですか?」


 年若そうな商団団長が男爵と交渉する。


「是非彼女のためにお願いはしたいところなのですが、残念ながらそちら様にお願いする予算がありません。なのでしばらくは男爵家で預かり様子を見ようと思っています」


「金銭のことは気にしなくて大丈夫ですよ。教会本部から徴収しますから。シスターだけの教会に護衛も置かないなど教会の怠慢ですからね。きっちり責任をとってもらいます」


 ニヤリと笑う男の教会にケンカを売ることも厭わないような口振りに男爵は驚きを隠せない。

 男爵がシスターを商団へ預けることに了承し話し合いを終えた団長は男爵家を出ようとするとその玄関先にはリタが仁王立ちで立っていた。


「貴方は強いの?」


 団長はびっくり眼になったがすぐにケタケタと笑い出した。


「そりゃつえぇよ。でなきゃ野盗たちを負かせられんだろう?」


「なら私に孤児院の子たちを守る方法を教えてよ」


「強くなるのは簡単じゃねぇぞ。チビスケのお前にできるとは思えねぇな」


「やってみなくちゃわからないじゃないっ! これでも孤児院の男の子たちに負けたことないのよっ!」


 聞いたことのない話に目を丸くしたのは男爵家の家族たちだ。年の離れた三女がまさか男の子たちとケンカをしていたなど思いもしていなかった。

 男爵家といえど一応はご令嬢だ。長女も次女もそれなりに弁えて育ってきた。三女もそうであると思いこんでいたのだ。

 だが、下町にある孤児院で揉まれていればご令嬢らしくなどなるわけがない。リタは気は優しくて行動は豪快な女の子になっていたのだった。

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