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異世界序列のシムワールド ~玄関開けたら2分で半壊……しょうがないから最下位から成り上がる~  作者: タック@コミカライズ2本連載中
第四章 神槍精製

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89話 星の中心へ(トモダチ百匹できました)

 頻繁に遭遇エンカウントするピンクラビットを使い魔にしつつ、奥を目指して歩く。

 たまに鉱石らしきものが壁から飛び出しているが、それらの質が段々と変わってきた気がした。

 最初は明かりとして残されていたライトクリスタルと岩石だったが──。


「この辺りは鉄鉱石も多くなってきましたね」


 独特の茶色い石、これが鉄鉱石らしい。

 イメージとしては加工後、鉄のピカピカしている感じを思い浮かべていたので、意外と地味だ。

 だが、鍛冶としてはよく使う鉱物の一つだと思う。


「よし、お土産として持って帰るか」

「さすがに量が──」

「帰還用の転移は許可されてるから、ケンの家の庭辺りに送っておく」


 通り道にある鉄鉱石を手辺り次第に転移させる。

 きっと、戻る時にはケンの家の庭が大変な事になっているだろう。


「個人で転移魔法って……そんな高度な事が」

「他にも使えそうな鉱石があったら、教えてくれ。ここではケンがエキスパートだ」

「は、はい。魔神様」


 道中の敵を気にせず、ノンストップで星の洞窟を制覇していく。

 だけど……これ以上、奥に進むことで懸念がある。

 ピンクラビット程度では平気だが、それより強い奴がいる場合。


「なぁ、ランドグリーズ」

「なんでしょうか?」

「一発芸的な自爆技が発動しちゃうのって、どれくらいの攻撃を受けた時なんだ?」


 爆発反応装甲のように、自分を犠牲に装着者を助けるという馬鹿げた技。

 ロールプレイングゲームでいうのなら、自分が砕け散って誰かが生き返るアレみたいなものだろう。

 さすがに使わせるわけにはいけない。


「一発芸扱いとか酷くないですか……。いえ、酷いです。断言します」

「わ、悪い」

「ご安心下さい。全力の映司さんが、エーテルを含めた即死状態でも食らわない限り、1発目で発動はないですから。ここでは、フェリさんが可能なくらいですね」


 ……フェリを怒らせる事だけはやめておこう。


「フェリさんは謙遜していますが、対神性能は現状で最強ですから。初代オーディンですら、真っ正面からでは戦えず、搦め手でどうにかなるか程度です」

「えーっと……俺、いつかフェリに勝てるようになると思う?」


 ──数瞬の間が開く。

 ランドグリーズは鎧に戻っているため、その表情は分からない。


「映司さんが望むのなら……いつか勝てるようになるかも知れません。ですが……その……」

「ど、どうしたんだ?」


 妙に含みのある言い方だ。


「私は……私は……」

「ランドグリーズ?」


 気のせいか、悲痛な声に聞こえる。


「……いえ、何でもありません。今は先に進むことに集中しましょう」

「そうだな、わかった」


 良く分からないが、ランドグリーズの辛そうな声なんて聞きたくないしな。

 またしばらく進むと、前方に動く何かを発見した。

 馬を一回り大きくしたようなサイズだが、シルエットはかなり違う。


「魔神様、気を付けてください。アレはロックイーターです」

「名前的に、……鉱石を食ってる?」

「そうです、特性としては──」


 鉱山内に住み着く小型の竜。

 その姿は翼無い竜、すなわち恐竜のラプトルのような格好だ。

 ただ、その表面には岩石のようなデコボコとした物が張り付いている。


 移動する時は二足歩行で、攻撃する時は前脚の爪と、鉱石を噛み砕く牙を使ってくる。

 この世界の戦闘職である、戦闘炭坑夫(マイナーズ)の死傷率が一番高い相手。


 こいつに道を塞がれていた場合は、餌である鉱石を囮にして逃げるか、魔剣などを持った熟練のパーティで倒すしか無いという。


「お、俺ももらった魔剣で戦えます!」

「ケンは下がっててくれ。念のために防御魔法もずっとかけているし」


 さてと、やはりコイツも同じように──。

 俺は、エーテルを調整に調整を重ねて放出。

 中級第三位くらいから徐々に上げていき、ロックイーターの方向にだけ圧力をかける。


 相手が怯え、服従の意思を示した辺りで──。


「俺に従え、言葉を解さぬ獣よ」


 使い魔使役の契約を結ぶ。

 その後も、ロックイーターとかなりの数、遭遇した。

 ひたすら使い魔の契約。


 数え切れないくらい契約してしまったが、月額契約料的なものがあったらどうしようか。

 いや、そんなの無いはず……。

 たぶん。


「そういえば、ファンタジーの世界なのにドラゴンは弱いんだな」

「これは下級のドラゴンですからね」


 当たり前です、という感じで答えるランドグリーズ。


「上級ともなれば、普通に宇宙とか溶岩の中で活動するような、神に近い存在のドラゴンもいますよ」

「それは……会いたくないなぁ」

「そうですね。スヴァルトアールヴヘイムなら、ミスリルを食らい、自らの鎧としているフルメタルドラゴンとかですね」


 何か、歩いている内に鉱石の色が変わってきているのに気が付いた。

 銀に淡い青みを足したような、不思議な鉱石。


「あ、すごい。ここらへんはミスリル鉱石ですね。もうかなり深くまで来ています」


 敵を無視して進んでいるとはいえ、まだ一日も歩いていないのに星の中心の近くなのだろうか。

 確か地球基準だと、中心はすごい遠かったような……いや、ここはそのために作られた異世界なので色々と空間がねじ曲がっているのだろう。

 それよりも、だ──。


「なぁ、先に見える大空洞っぽいところ、ヤケにメタリックで巨大な足が見えているんだけど」


 進路上には、最初にあったような大空洞の明かり。

 その中に見えるのは──。


「説明が省けました。あれが天上の階位でも上位に位置する──蒼霊銀装甲竜(フルメタルドラゴン)です」


 速攻でフラグ回収おつ……。







【素材獲得:鉄鉱石80トン】

【使い魔獲得:生皮剥ぎ兎(ピンクラビット)×68】

【使い魔獲得:鉱石喰い竜(ロックイーター)×34】

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