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異世界序列のシムワールド ~玄関開けたら2分で半壊……しょうがないから最下位から成り上がる~  作者: タック@コミカライズ2本連載中
第一章 異世界を手に入れたので、名所や特産品使って序列300000位上げ(仮)

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21話 困った時は大体、温泉回(混浴)

「困ったな……」

「ん? どうしたの?」


 我が尾頭家のリビング、昼食後の出来事だった。

 俺は腕組みをしながら……眉根にシワを寄せて苦悩していた。


「非常に困っているんだ……」

「いや、だから映司お兄ちゃん何を悩んでるの……。異世界序列もポーンと上がって10万位くらいまできたし」


 妹である風璃が話しかけてきているが、どれだけ切迫している状況かは理解していないようだ。

 この深淵たる悩みは女人には通じないものなのだろう。


「うぅうぅむ……」


 もう三日三晩考えている。

 考えに考え抜いているのだ。

 ──そして、針に糸を通すかの如く、やっと捻り出した結論。


「そうだ! 困った時は温泉だ!」


 正に名案であった。

 だが、後に地獄を見ることになるとは、誰も予想が付かなかったのであった。


* * * * * * * *


 というわけで、俺達は異世界アダイベルグへ再び降りたっていたのだった。

 何故か?

 ──簡単である。


 尾頭家で一緒に住んでいるのに、触れる事すら出来ないフェリ。

 せめて、その素肌だけでも見たい。

 家の風呂で覗きをして、フリンに目撃されたら教育上良くないだろう。


 そこで、温泉……しかも混浴なら自然である。

 ガン見しても自然である。

 視界に入るのだから仕方が無いと、眼球に五重くらい焼き付けても自然である。


 これを名案と言わずして何という。

 早速、ユグドラシルオペレーターさんを呼び出して、エーデルランドに混浴が無いかと聞いてみた。

 汚物を見るような目で見られた気がするが、エーデルランドには無くてもアダイベルグにはあるという情報を得た。


 巨人族はトレーニング狂が多いため、こういう施設が好まれるらしいという事でオタルが造ったらしい。


「混浴エリアまで用意するとは、何という有能さだろう」

「お褒めにあずかり光栄です。映司様」


 いかんいかん、心の声がダダ漏れていた。

 俺達は、温泉施設の中に到着して、内部を物珍しげに見ていた。

 巨人用の高い天井を見上げる風璃、売っているフルーツ牛乳に興味津々なフリン、土産物屋の木刀エクスカリパーと温泉饅頭を両手に持つフェリ。

 

 それと、俺にピッタリとくっついている少女──オタル。


「内装などは、真の支配者である映司様が住む日本をイメージしてみました」

「いや、真の支配者って……普通にオタルが管理者だから……あと近い」

「何と? 支配の証として、このオタルに権力的な暴力を利用して──ネットリと──追い詰めるように──手込めにしにきたのではないのですか?」

「どんな勘違い!? フリンがいるからそういう生々しいの本当にやめてぇっ!」


 くつくつと笑うオタル。


「冗談です。この前、先に住人を転移させて、人的被害をゼロにするなどの紳士的な対応からも分かっております。むしろオタルから手込めにして欲しいと頼みたい所存です」

「お、俺にはフェリがいるから……まだ片思いだけど」

「そうですか。胸ですか。残念ですか」


 オタルは、自分のペタンとした部分に手をやって溜息をついた。

 なぜ俺の……マイフェイバリットポイントがバレたのだろうか。


「我は小さくても需要があると聞いた事がある。ドンマイだ、オタル!」


 いつの間にか人間サイズのベルグ様が横に立っていた。

 初対面の時とは違い、頭のメカメカしいヘルメット以外は浴衣姿のおっちゃんだった。

 そして、オタルの肩にポンと手を乗せて慰める仕草。


五月蠅うるさいです、中途半端な安物コスプレみたいなベルグ様。人の恋路を邪魔するとスレイプニールにほふられるというコトワザを実践してみますか?」

「ひぃっ」


 オタルの眼力にひるむベルグ。

 以前の威厳はゼロである。

 現在、異世界アダイベルグはオタル主導で、ベルグが補佐という形に収まっている事もあるのだろう。


 成長した娘に足蹴にされる、中年の父親という感じである。

 きっと服も一緒に洗ってもらえないのだろう。


「映司お兄ちゃ~ん、先に温泉入っちゃうね~」

「おう、後でここに合流だ」


 のれんの先へと消えていく我が家の女性陣達。

 計画の第1段階は成功だ。

 まず、俺はここが混浴である事など知らないフリだ。


 そして、偶然にも中に入ったら混浴で合流してしまった! という装い。

 そんな誰にも予想出来ないハプニングだったら、フェリの肌色が視界に入りまくっても事故だ。

 はっはっは、ごめんごめん。と爽やかに謝れば済むだろう。


 フリンから見ても、爽やかな俺は保たれるし、教育上も何も問題ナッシングである。

 もちろんカメラ等の無粋なものは持ち込まない。

 人間には脳という優秀な記憶媒体があるのでガン見するだけである。


 仕方なく視界に入ってしまったのでガン見するだけである。

 想像するだけで鼻血が出そうになるくらい興奮してきた。


「あの、鼻息が異常に荒くなっている映司様。今回の計画に協力するのはいいのですが」

「ど、どうしたハァハァ……オタル……ハァハァ」

「ここはトレーニング狂の巨人達の温泉です。混浴へは、魔力を一切使わず己の肉体のみで地獄の難関アスレチックを突破しなければなりません」


 ……何かそんな展開になりそうな予感はしていた。

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