終わりと始まりの出会い(エピローグ)
──十数年後。
私は地球、都内某所にいる。
ビルから無謀にも飛び降りる、黒髪の少年が見えた。
私も一緒に落下する。
「初めましてです! 私の名前は──フリ……じゃなくて……主神候補生の『盾を振り回す者』こと、リンディです!」
一緒に落下中の黒髪の少年は、信じられないと言った感じで私を見ている。
おお、そうだ。
落下中だという事を思い出した。
愛を好むという面倒臭い彼女から、この黒髪の少年を助けて欲しいとお願いされていたのだ。
エーテルを操作して、空中での軌道を調整。
黒髪の少年をキャッチして着地する。
「スタッ! 10点満点!」
効果音を口で言ってしまうのは、きっと彼のコメディ癖が移ってしまったのだろう。
お節介で、心の強さだけで主神まで上り詰めて、そのまま結婚して電撃引退した彼。
ふと、黒髪の少年の顔を見る。
私と同じ中学生くらいの年齢で、その顔はどこかで見た事がある。
女の子と食べ物の時だけは本気出すとか言い出しそうな……。
「な、なんで助けたんだよ! 俺はもう死にたかったんだ!」
黒髪の少年はそんな事を口走る。
これは困った、どうしよう。
──映司ならどうするだろうか?
「どんな風に助けてくれたのかは知らないけど、もう放っておいてくれ!」
「んーと、君の名前は?」
「尾頭、一太郎……」
黒髪の少年は、私に背を向けて去ろうとする。
私は──その手を掴んだ。
そして、振り返り驚いたその顔に、にっこりと笑顔を向けた。
160話超えの作品にお付き合い頂きありがとうございました!
後日、短めの幕間を投稿するかもしれません。




