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主人公じゃない!  作者: ウスバー
第六部 全てを知るモノ
135/184

第百三十一話 協力者

死んだ(エタった)作品の魂が現世に戻ってくる」「なろう第二のお盆」「おいwww 死者蘇生デッキ使ってるの誰だよwww」「うおおおこの作品なつかしいいい! ……とりあえずブクマ外しとくか」と、何かと騒がしいなろうの年末に、数々の新規要素と追加キャラクターを引っ提げて、あの「主人公じゃない!」が帰ってきた!





「主人公じゃない!」充実の追加要素


1.新たに書き下ろされたシナリオ!

「主人公じゃない!」のメインコンテンツはストーリーだ、という信念のもと、脚本を担当するウスバー氏がシナリオを大幅に追加!!

あの不朽の名作と言われたテト〇スや初代マ〇オすらも軽く凌駕する圧倒的な文章量で、「主人公じゃない!」の物語を鮮やかに彩ります!



2.新規ダンジョンやフィールドで大きく広がる冒険の舞台!

「主人公じゃない!」は、同じダンジョンやコピペイベントを延々と周回するような退屈な「作業」とは無縁です!

第六部では舞台を一新! 全く新しいダンジョンやフィールド、さらに凶悪になったモンスターやトラップが多数登場します!



3.気になっていたあのキャラクターが仲間に?

前章にて人気を博し、熱い支持を受けた個性豊かなキャラクターたち。

「彼らを仲間にしたい!」という皆様の夢が第六部では叶います!

さらに、新しいキャラクターの登場も……?



4.基本無料!!

そんな無数の追加要素をふんだんに敷き詰め、大幅にパワーアップした「主人公じゃない!」が、な、なんと! 今なら無料で楽しめてしまいます!

もちろんお金を払ってでもみんなと差をつけたい、というお友達も安心!

書籍①~②巻および漫画①~②巻は現在好評発売中です!(こそせん)








とまあそんな感じで連載再開です!

いやぶっちゃけ今日はもうちょっと余裕をもって更新する予定だったんですが、突然この茶番告知思いついて書いてたら二時間かかったのでこの時間になりました!


では前置きがクソ長くなりましたが、最後に「もう話忘れちゃったよぉ!」という人のために恒例のあらすじなんかを置いておきましたので適当に流し読みでもして、本編をお楽しみください!



【たぶん十数秒で分かる、これまでのあらすじ】

器用貧乏なサブキャラに転生したものの、〈魂の試練〉を利用したステータス振り直しによって魔力極振りの「純魔スタイル」になることに成功したレクス。

これまでにない圧倒的な火力(と紙装甲)を手に入れ、とうとうこの世界の「主人公」でもあるルインとも協力関係になって万々歳、のはずだったが……。


「おはようございます、師匠!」


 部屋の扉が開かれた気配に顔を上げると、満面の笑みを浮かべた「弟子」と目が合った。


「あ、ああ。時間通りだな。おはよう……『ルイン』」


 屈託のないその態度に、しかし、それに応じる自分の声がわずかに動揺を含んだものになっていたのは、昨日の「告白」を思えば仕方がないことだろう。



『――オレの、ううん、わたしの本当の名前はフィン。ルインの『妹』なんです』



 昨日の「ルイン」の言葉が、耳に蘇る。


 全てをひっくり返すあの衝撃の告白から一夜明け。

 それでも俺は、いまだに明かされた事実を消化しきれずにいた。


(あの日「ルイン」と出会って、やっと「主人公」を見つけたって、そう思ってたのに……)


 何の因果か、昔やり込んだこのブレブレの世界に脇役として転生してしまったその瞬間から、「主人公」の発見は絶対に成し遂げなくてはいけない悲願だった。


 だから、「主人公以外に攻略されないはずの遺跡を攻略して」、「DLCで追加された主人公と同じ名前を名乗っている」「主人公にしか扱えないはずの〈光輝の剣〉を発動させた」、「主人公以外が装備したら呪われる〈魔王〉の装備を平然と身に着けた」「主人公と同じ素質値二十五」の「ルイン」を見つけて、「こいつこそが主人公だ!」と信じ込んでしまったのだ。


(……いや、どう考えても条件そろいすぎだろ! 誰だって勘違いするわそんなもん!)


「俺は悪くねぇっ! 俺は悪くねぇっ!」とばかりに内心で錯乱気味に現実逃避していると、


「し、師匠、大丈夫ですか?」


 不安そうな顔をしたルインから心配されてしまった。

 まさか、「お前が元凶だから」とも言えなかった俺は、とっさに話を逸らすことにした。


「いや。それより本当に前のままでいいのか? もう、男のフリをする必要はないんだろ?」


 あの告白のあと、彼女は自分を今まで通りに「剣士のルイン」として扱ってくれと頼んできた。


 彼女が兄の名前を名乗って世界最強の剣士を目指していたのは、彼女をかばって死んだ本物のルインの「夢を叶えて」という言葉を聞いて、その願いをかなえようとしていたためだ。

 だが、ルインの言葉の真意を知った以上、彼女にはもう兄のフリをする必要も、世界一の剣士を目指す必要もなくなった。


 もちろん、本物のルインを殺した相手であり、育ての父でもあるその仇は、おそらくはDLCによって追加された〈魔王〉だ。

 凄まじい力を持っていることは想像に難くないし、何よりゲームに出ていなかったため、俺にとっても初見。

 ゲームシナリオによって、そいつと高確率で遭遇することが予想される以上、彼女が力をつけることは悪いことじゃない。


 だが、そうは言ってもわざわざ性別を偽ったり、無駄につらい修行をしなくたっていい。

 極端な話、今この瞬間から全てを忘れて普通の町娘として生きていくことだって選択肢としてはありだ。


 けれど、彼女は迷いない動作で首を横に振った。


「そんな心配しなくても平気ですよ、師匠! いいんです。大事な人が、本当のわたしのことをきちんと覚えていてくれたら、それで」


 そう口にする彼女の口調に、淀みはない。

 それから、ちょっと悪戯っぽく笑うと、


「それに、僻地の島でずっと暮らしていた田舎者だから、むしろ今さら女の子としてやってくのもきついなってちょっと思ってるんです。お洒落とか、恋とか、そういうのはまだピンと来なくて。それより今は、師匠と修行している時が一番楽しいんです!」


 なんて、健気なことを言ってくれる。


(……だけどまあ、その気持ちは分からなくもないな)


〈魂の試練〉で基礎能力をそのままにレベルだけが下がった彼女は今、強力な強さを維持したまま、成長の余地だけを残している。

 つまりは敵を倒せば倒すだけ、努力すれば努力するだけ強くなるような、そういうフィーバーモードに突入していると言える。


(ゲームでも自分の成長が目に見える時が一番やる気出るもんなぁ)


 ブレブレ一周目、中盤に差し掛かって一気にやれることが増え、めきめきと強くなっていく自キャラを眺めながらレベリングをしていた時期が一番楽しかったかもしれない。

 ……まあ、ブレブレの場合はそこで欲望に任せて考えなしに育成すると取り返しのつかないことになって詰むんだが。


 新たにレベリングの沼に足を踏み入れた同志の出現に、俺がわずかに頬を緩めていると、



 ――コンコンコン。



 そこで、控えめなノックの音が響いた。


「お、来たか」


 振り向いてにやりと笑った俺に、ルインは怪訝な表情を浮かべた。


「ああ。今日は〈勇者〉について調査をしたくてな。協力者を呼んでおいたんだ」

「じゃあわた……オレは、留守番ですか?」


 不安そうに言う彼女に、俺は首を横に振った。


「いや、今日ルインを呼んだのはそのためなんだ。出来れば、調査を手伝ってほしい」

「オ、オレでよければ!」


 どこかほっとしたような様子で返事を返してくれるルインに、俺も胸を撫で下ろす。


 実際のところ、この「調査」はルインがいなければ始まらない。

 だってこれは、「彼女が本当に主人公ではないのか」を確かめるための検証なのだから。



 ……そう。

 実は俺は、いまだに彼女が「主人公」なのではないか、と疑っている。


 昨日まさかのどんでん返しをくらってから、一晩ずっと考えていた。


 確かに元々のブレブレのゲームには、女性主人公はいなかった。

 だがルインは「現実世界では未実装のDLCによってこの世界に追加された」という未知のキャラクターだ。


 ――例外的に「女性主人公」としてデザインされたキャラだったとしてもおかしくはない。


 女性だというカミングアウトをされた時は反射的に「主人公じゃない」と断定してしまったが、これについてはもう少し詳しく可能性を追っていく必要がある。


「それで、どんな人を呼んだんですか?」


 そう尋ねるルインは、少しだけ不安そうだ。

 しかし、いくら人間関係に疎い俺でも、あまり人と接したことのないルインと、いきなり強面の戦士のおっさんを対面させたりはしない。


「心配しなくても、人当たりのいい美人だから安心しろ」

「え? おんなの、ひと……?」


 なぜか驚いたような声を漏らすルインを不思議に思いながらも、まあ直接会わせる方が早いか、と思い直して俺は扉を開けた。

 扉の向こうにいたのは、まるで男性の望む理想の女性像を体現したような人物。



「――来てくれてありがとう、リリー」



 かつての因縁から、情報収集役として俺に付き合ってくれている吟遊詩人のリリーが、そこに笑顔で立っていた。


「レクスさん、お久しぶりです! 会えて嬉しいです!」


 わざとらしいくらいに再会を強調して、飛びつくような勢いで俺の手を握るリリーに苦笑はするものの、悪い気はしない。

 とにかく、その容姿は全てが俺のストライクゾーンにピッタリだからだ。


 リリーは本来のゲームなら、「理想の女性を演じる男の娘」だったはずの「女性」だ。

「男の娘」だと勘違いしてとんでもない暴挙に出てしまった相手だが、それが縁で、今はなぜか俺の情報収集役として色々と働いてもらっている。


 ……なんて事情を話す訳にはいかないが、奇しくも二人とも、ゲームでは男だった(かもしれない)人間同士、きっと仲良くなれるに違いない!


 というのは冗談にしても、リリーはもともと「男でさえなければ理想の女性」と言われた人物だし、あちこちを旅する吟遊詩人という職業上、コミュ力最強。

 出会った当初はいきなり王子に喧嘩を売るほどの狂犬だったルインも、余裕が出てきたおかげか、出会った頃からは考えられないほど人当たりがよくなってきた。


 少なくとも、この二人なら仲がこじれるようなことにはならないはずだ。

 それに……。


(俺の知り合いの中じゃリリーが一番女子力高いし、ルインにはいい刺激になるだろ)


 別に「男は男らしく」「女は女らしく」なんてことを言うつもりはない。

 ただ、ルインが今も男性として振る舞うのは、男所帯でばかり過ごしていたことにも原因があるんじゃないかと俺はにらんでいる。


(いまだに「オレ」を「わたし」と言い間違えるくらいだ。たぶん本心じゃ、「ルイン」も「フィン」に戻りたがってる気がするんだよな)


 なのにそれが出来ないのは、自分が変わることで今の環境を壊したくないか。

 あるいは女性としての振る舞い方に自信が持てないから現状維持を選んでいる、なんてことも考えられなくはない気がするのだ。


 まあ、この推測が合ってるかは分からないし、別にすぐに効果が出なくたっていい。

 だけど女性の知り合いを増やすことで、少しずつでも「ルイン」が自然に「フィン」に戻れる選択肢を増やせる可能性があるのなら、それもありかなと思ったのだ。


 調査を進めながら、同時にルインのケアもする。

 我ながら名采配だな、と内心自画自賛をしながらも、リリーを部屋に招き入れる。


「紹介するよ。この人が、今話した協力者のリリーだ。それで、こっちが……」


 そう言って、部屋の中を振り返った俺は、思わず言葉を失った。


 いつの間にほどいたのだろうか。

 そこには、いつもまとめていた髪を艶やかになびかせたルインが、薔薇のような笑みを浮かべて立っていて、



「初めまして、リリーさん。わたし(・・・)はレクスさんの弟子のフィン(・・・)です。よろしくお願いします」



 ……あの、話ちがくない?

炸裂するレクスの名采配!





【今後のお知らせ】

名残惜しいですが、長らく続いた2021年の更新も今回で終わり

これが、2021年最後の更新となります

再び更新を再開する日まで、しばしの休息を頂きたいと思います




更新再開時期は、2022年1月1日21時頃を予定しています

それではよいお年を!

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ちょっとした記入ミスで、登場人物も、世界観も、ゲームシステムも、それどころかジャンルすら分からないゲームのキャラに転生してしまったら……?
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― 新着の感想 ―
[気になる点] そういえばフィンの時は「そんなバカな!?」とか言いながら胸は掴まなかったな。 [一言] 初代マ○オだと、画面上の文書量は1play、2play、corporation、1958、Ⅰ、Ⅱ…
[良い点] 過去最高
[気になる点] > だが、ルインの言葉の真意を知った以上、彼女にはもう兄のフリをする必要も、世界一の剣士を目指す必要もなくなった。 言葉の真意を知ったのはいつなんだろう? 記憶を継いだときにはわから…
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