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第九十三話:第二と第五

第九十三話です。


よろしくお願いします。


反撃開始です(´∀`)

 

 魔王の気配が二つに別れた事にバーンは気付いていた。

 片方の行き先は南、恐らくギンダークだがもう片方はこちらに向かっている。


「二つ現れた時はどうしようかと思ったが、これなら作戦通りいけそうだ」


「だな……あいつに連絡は?」


「もう配置についてますっ!」


「バーン様、いつでも行けますわ」


「よし、俺達も配置につくぞ」


 魔王はこれまで必ずバーンを狙ってきていた。

 いきなり現れる魔王に対し、これまで後手に回っていたが今回は違う。

 ここからは魔王を討つ闘いを始める。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 太陽国家ギンダーク。


 太陽神を信仰するこの国は、独自の宗教風土により他国とは一線を引いた方針で動いていた。

 一年中温暖な気候のこの国は、作物が豊富に取れる為、他国の力を借りずとも国を維持する力を持つ。

 そんな環境故か冒険者達は一年中活発に行動し、優秀な人材を多く育むこの国には八英雄が三人もいた。


 第二魔王ゾブングルはギンダーク王都に単独で突入した。

 これは彼の驕りだった。

 勇者はメルギドにおり、ここには自分と真っ当に闘う力を持つ者などいないという慢心。


 せめてギンダーク国内の魔物を集めてから攻めればこうはならなかっただろう。


「貴様ら……!」


「どうしたどうした! まだまだ俺はやれるぜぇぇぇぇぇえ!?」


 頭から血を流し、かなり体力を消耗している筈の男はゾブングルを挑発する。

 ゾブングルの大魔法が直撃した直後には既にゾブングルの背後に回り込み斬りつける。

 そのタフな八英雄にゾブングルは困惑していた。


 八英雄序列第八位〝熱血のバカラ〟。

 彼が八英雄たる理由はその頑丈さ。

 どんな攻撃を受けても立ち上がる姿に、相対した相手は恐怖を覚える。

 加えてその性格が、徐々に相手の心をへし折って行く。

 確実にダメージはある筈だが、全く効いていないように感じてしまうのだった。


「魔王どうしたぁ! 逃げてちゃ勝てないぜぇ!」


「舐めるな小僧……! 地殻魔法〝大地の軋轢(ディープガイア)!」


 第二魔王が操る地殻魔法。

 大地を操るその力は、嘗てヴァンデミオンを隔離したあの岩を出現させた。

 国一つを覆う力も、無にされては意味がない。


「……対抗魔法〝万物の追逆(エレメントループ)〟」


 ゾブングルが放った筈の、岩盤で相手を封殺する魔法は途中で発動が止まる。

 使った魔力は戻らずに、ただ無意味に削られていった。

 二人目の八英雄の力の前に、魔法を封じられたゾブングルは防戦に回るしかない。


「ちぃっ……」


「……無駄」


 八英雄序列第七位〝反魔法のミリア〟。

 彼女が使う〝対抗魔法〟は魔法の発動を全て無効にしてしまう。

 肉体的には彼女は弱い存在であるが、あとの二人が前衛に出る事でそれはカバーされている。

 さらに、魔法を打ち消すだけではない。


「返すね……地殻魔法〝大地の軋轢(ディープガイア)


 岩盤がゾブングルを圧殺せんと、襲い掛かる。


「ぬぐあっ! ガキどもがぁぁあ!」


「オラァッ!」


 バカラの一撃がゾブングルの腹部を抉る。

 青い血が飛び散り、動きが鈍った。

 更にギンダームの兵達が一斉に魔法をゾブングルに叩き込む。

 完全に多勢に無勢、ゾブングルはミリアによって肉体のみで闘うことを強制されていた。

 勿論何度か隙を見て魔法を放ったが、全てバカラに受け止められてしまう。


「がふっ……! おのれぇぇぇぇ!」


「ゾブングル、太陽は好きか?」


「なあっ!?」


 振り返ったそこには、巨大な火球が自身を飲み込まんと迫っていた。

 回避しようと飛んだ先に、三人目の八英雄が立ち塞がる。


「さらばだ魔王。貴様の魂を勇者リオンに捧げよう」


 彼の太陽剣カリバーンの一振りが、魔王の眉間を突き刺した。


「きっ……さま……! 馬鹿な……」


 ゾブングルはそのまま地上に現れた太陽に飲み込まれ、この世から消滅した。


「勇者バーンに感謝せねばな。よく知らせてくれた」


 八英雄序列第四位〝太陽のスターク〟。

 ギンダーク最強の英雄である彼が使う太陽魔法は、地上に太陽を創り出し全てを焼き尽くす。

 太陽の国を象徴するような彼の力は強力だが、発動にはかなりの時間を要する。


 八英雄の序列は個人の力で決められている。

 彼ら三人はずっとパーティを組んでおり、完璧なコンビネーションがその強さを何倍にも引き上げていた。

 それに加え、守りを固めるようにメルギドから連絡を受けたギンダークは、全ての戦力を王都に集中させていた。

 魔王の慢心と万全の体制が勝利をもたらしたのだった。


「やったなスターク! 後は勇者だな!」


「……連絡待ち?」


「そうだな二人とも。今は彼らの武運を祈ろう」



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「ちぃっ……」


 アドヴェンドは聞いていた話と違う現状に困惑する。

 確かに勇者は強いとは聞いていたが、自分達に比べればまだまだ格下の筈だった。

 一対一なら負ける筈のない相手だと、先に行った魔王二人が言っていたがそんな事はない。


 今まさに、メルギド城近くにある広場で二人は一対一で闘っていた。

 明らかにバーンが押している。

 アドヴェンドは既にかなり力を出していた。

 魔王一の巨躯を持つアドヴェンドは肉体を硬化させバーンに迫るも、攻撃は空を切りバーンのラグナロクの前にその巨躯は切り裂かれていく。

 驚異的な回復力をもつアドヴェンドだったが、バーンの前に全く歯が立たない。


「〝雷刃二閃ソードオブザライトニング〟!」


「がはぁっ!?」


 強烈な一撃がアドヴェンドの身体に突き刺さる。

 神の鉱物(オリハルコン)の二振りに魔力を込めた魔法剣の前にアドヴェンドは遂に追い込まれた。


「お前……何があった……」


「習った事は勇者としての在り方さ。後は魂を引き継いだ。それだけだ」


 もはやバーンの強さは過去の勇者達を超え、遥かな高みに到達しようとしていた。

 激闘を乗り越え、勇者の魂を引き継ぎ、自分の力をただ信じる。

 既に出来ていた肉体に、勇者の精神を乗せたバーンは、もはや慢心した魔王アドヴェンドが手の届かない存在となっていた。


「グハハ……確かに強い。だが、魔王を舐めるなよ!」


 アドヴェンドの身体が膨れていく。

 四方八方から黒い煙がアドヴェンドに吸い込まれていった。

 周りに存在する魔物の力を吸収し、自身の力に変える。

 傷は癒え、再び魔王アドヴェンドはバーンに拳を振り下ろす。


「白銀魔法〝白銀の咆哮(シルバーレイ)〟!」


「なっ!?」


 いつの間にか現れた白い少女の魔法が、アドヴェンドの身体に突き刺さる。

 途端に力が抜け、魔王は再び大地に膝をついた。


「ば、馬鹿な……なぜ……!」


「お前は舐めすぎた。この世に生きる俺達を」


「ぐっ!」


 アドヴェンドは飛翔し空に逃げるーーが。


「がはっ!?」


 既に空中には無数の剣が出現し、逃げ場を奪っていた。

 ディライトの創造魔法〝棘の空竜(レイピアワイバーン)〟の前にアドヴェンドは地上に落下する。


「さらばだ魔王。時空魔法〝刻の終焉(クロックエンド)〟」


 落下するアドヴェンドの姿がバーンの生み出した時空の狭間に飲み込まれていく。


「グオオオオオ!? き、貴様らぁぁぁぁぁぁ!」


「消えるがいい。この世にお前は必要ない」


 断末魔を残し、アドヴェンドは世界から消えた。



「さぁ、今度はこっちの番だ」


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