Ꮚ・ω・Ꮚメー(49:配信のお仕事)
特別配信が終わったあとは、週末の特番の収録が始まりました。
石壁などの単純な構造物については群馬ダークの建築スキルでどんどん修復が進んでいますが、トラップや撮影機材の再設置などについてはまた別の技術や知識が必要です。
ヘルメットをかぶった設営担当のオークやゴブリンたちがあちこちに足場を組んだり、穴を掘ったりして、カメラや落とし穴などを設置して行きます。
「ここは三竜の石迷宮の修復作業現場です」
ヘルメットをかぶり、マイクを持った皆頃シエルがカメラに向けて話し始めます。
「見た感じ、そこまで壊れていないように見えると思うんですが、実はここ、今日の朝は瓦礫の山でした。今朝撮影した映像がこちらになりますね」
皆殺シエルは大型のウィンドウを展開し、無惨に破壊された石壁の残骸の映像を出しました。
「ご覧の通りの惨状だったんですが、地元の有力な生産系冒険者の方の協力で、本当にびっくりするようなペースで修復が進んでいます。前回の放送のコメントでももう名前が挙がっていたんですが、正式にご紹介させていただきます。東京大迷宮建築物十選のひとつ、多摩丘陵ドンレミ農場の建築者にして農場長の群馬ダークさんです!」
横に移動する皆殺シエルを追いかける形でカメラが動き、待機していた群馬ダークの姿をフレームに収めます。
東京大迷宮はもちろん、インターネットも経由して全国、全世界に配信されるはずの映像ですが、群馬ダークは元々東京大迷宮でも指折りの知名度を持つ有力配信者です。『ダンジョンエクストリーム』のカメラを向けられても、緊張するような様子は見せませんでした。
「お世話になっております。修復作業についてはもう朝からお世話になってるんですが、ここからは『ダンジョンエクストリーム』という番組のゲストということになります。改めてよろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
「ご存じの方も多いかと思いますが、群馬ダークさんは東京大迷宮の有名配信者のひとりで、群馬復興活動の運動家でもあります。今回の配信が終わりましたら、群馬ダークさんのドンレミ農場チャンネルをチェックしていただければと思います」
皆頃シエルは手の上に群馬ダークのドンレミ農場のアドレスを表示しました。
あとで編集されてリンクが張られたりするのでしょう。
「では、今回は群馬ダークさんと一緒に、三竜の石迷宮の修復作業を振り返って行きたいと思います!」
皆頃シエルが明るい調子でそう告げて。
「カット、撮影終了です。ありがとうございました」
皆頃シオンがそう告げました。
振り返る映像がまだ仕上がっていないので、続きは後日別撮りだそうです。
皆頃シエル曰く。
「色々自転車操業状態ッス」
とのことでした。
配信のお仕事も大変なようです。
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