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パンと弾丸とダンジョンと  Ꮚ・ω・Ꮚメー(パンは銃より強くておいしい)  作者:
ダンジョンエクストリーム

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38/81

Ꮚ・ω・Ꮚメー(38:止められる者がいるとすれば)

「あのときのグレーターグリフォン?」


 群馬ダークもそう呟きました。


「そうみたいです」


「『ダンジョンエクストリーム』に出るってこと?」


 メェ (いや、それは考えにくい)

 メメェ(グレーターグリフォンはレイドバトル用モンスターだ)

 メエェ(『ダンジョンエクストリーム』のレギュレーションには合わない)


 バロメッツたちがそんな見解を述べる中。

 地上のグレーターグリフォンに迫ったレッドドラゴンは口腔を輝かせ、眩い炎の吐息を浴びせかけました。

 皆頃シスターズを一息で焼き尽くし、リスポーンさせたレッドドラゴンのブレスは、地滑りでなぎ倒された地表の木々を瞬く間に焼き尽くしましたが、グレーターグリフォンにダメージを与えることはできませんでした。


 グリィィィィッ!


 炎の中で咆哮したグレーターグリフォンは地面を蹴って跳躍、空高く跳ね上がると、空中のレッドドラゴンの顔面を張り飛ばすように一撃し、あっさりと吹きとばします。


「えええええ、なに、なにあれっ! どこから来たのあんなのっ!」


 皆頃シエルが驚愕の声を上げます。

 番組内のサプライズイベントという雰囲気ではなさそうです。

 羽根を備えているグレーターグリフォンですが、今回は跳躍して攻撃をしただけで、そのまま地上へと着地しました。

 空を飛ぶことが出来なくなっているようです。

 片方の羽根の付け根のあたりが、何かにえぐり取られたように傷つき、羽根全体も不自然に垂れ下がっているのが見て取れました。

 ひどく殺気だって、獰猛な様子に見えるのは、その傷のせいでしょう。

 グレーターグリフォンに一撃されたレッドドラゴンは、それだけで戦意を喪ったようです。吹き飛ばされ、地面に転がった状態から翼をひろげ、三竜の石迷宮のほうに戻って行きます。

 決着はついたように見えましたが、グレーターグリフォンのほうはそれで終わりにするつもりはないようです。

 山肌を巨体に似合わない俊敏さで駆け上り、レッドドラゴンを追跡していきます。


「ヤバイ! ヤバイヤバイヤバイって! どうすんのアレ!」


「と、とにかく避難しましょう! 退避です! 石迷宮から距離を取ってください! 総員退避ーっ!」


 悲鳴をあげた皆頃シスターズがカメラを回したままスタッフと共に石迷宮前から避難して行きます。


「これ、本当に事故っとる感じ?」


 メェ (そのようだ)

 メメェ(手傷を負い、狂乱状態になっている)

 メエェ(何者かに攻撃を受けたようだ)


 レッドドラゴンが石迷宮に舞い戻り、それから一分もかからないうちにグレーターグリフォンも石迷宮の前まで到達します。


 グリイィィィィーッ!


 動画を介さなくても、直接農場まで轟く咆哮を放ったグレーターグリフォンはゲートを飛び越えると、迷路の壁の上を飛び渡るようにして駆けてレッドドラゴンの祭壇に突っ込んで行きました。

 空中に舞い上がる間もなく飛びかかられたレッドドラゴンは死に物狂いで抵抗します。

 レッドドラゴンとグレーターグリフォン、二匹の大型モンスターの格闘は石迷宮の壁を次々と粉砕し、倒壊させて行きます。

 外敵の侵入に気付いたブルードラゴン、イエロードラゴンの二色の竜が空中に舞い上がり、グレーターグリフォンに挑みかかります。

 ですが、三匹がかりでもまともなダメージを与えることもできず、吹き飛ばされて行きます。


 メェ (やはり歯がたたないか)

 メメェ(あのランクのドラゴンでは相手になるまい)

 メエェ(止められる者がいるとすれば――)


 バロメッツ達が意味ありげな視線を向けてきました。


「……私、ですか?」


 メェ (ああ)

 メメェ(君は彼を餌付けしている上、星石所有者でもある)

 メエェ(君ならば、あれの狂乱を止められる可能性がある)


「理屈としてはわかりますけれど」


『ダンジョンエクストリーム』という番組の関係者でもない私が手を出して良い場面なのでしょうか。

 そんなことを思っていると、音声通話の着信を示す小さなウィンドウが空中に開きました。

 背脂所長からのようです。

 バロメッツたちと庭先に出て通話を受けます。


「ソル・ハドソンです」

「背脂だ。緊急で君に指名依頼を出したい」

「グレーターグリフォンの件でしょうか?」

「そうだ。『ダンジョンエクストリーム』を見ていたのか?」

「はい、今は多摩丘陵エリアの農場にいます。遠目ですが、現場を目視可能な距離です」

「ならば話が早い。グレーターグリフォンの狂乱を鎮め、研究所まで連れ帰ってもらいたい。報酬として百万PP支払う。必要経費があれば別途支払う」

「『ダンジョンエクストリーム』のほうはどうしましょう」

「こちらで話は通しておく、応援としてアークシャークをそちらに送る。合流して現地に向かってくれ」

「わかりました。ところで、なにがあったんでしょう? どうしてこんな状況に?」

「詳細はまだ確認できていないが、研究所の敷地に冒険者が侵入し、高火力の攻撃をかけて怒らせたようだ」

「わかりました。ここで待機していて大丈夫ですか?」

「座標情報を送ってくれ、三分以内には到着できるはずだ」


 座標を送ると三分でアークシャークが飛来するようです。

 群馬ダークに大急ぎで話を通しておく必要がありそうです。

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