Ꮚ・ω・Ꮚメー(24:群馬ダーク)
従魔マンドラゴラの契約者にして動画配信者の群馬ダークに接触し、謝礼の言葉と桃を受け取った私は、群馬ダークと肩を並べて多摩丘陵生産村に向かいました。
マンドラゴラ救助の謝礼がてら、地元民としてガイドをしてくれるとのことです。
「あの黒い子、見たような気がするんやけど」
近くを飛んでいるレストレイドの姿を見上げた群馬ダークが言いました。
乗っていた馬『前橋号』の背中からは降りて、一緒に歩いています。
「アークシャークとグレーターグリフォンの動画に出ていたバロメッツですか?」
「そう、それ、見とる?」
「はい、あれで群馬ダークさんのことを知りました」
「うあー、いちばん恥ずかしいの最初に見られとった……普段はあそこまでポンコツと違うからね?」
群馬ダークは冗談めいた調子で嘆きの声をあげました。
「それで、どうなん? 実際のところ」
「はい、彼です」
誤魔化しても仕方がなさそうです。
「アークシャークに彼が食べられかけてしまって、救出の為に気を引こうとしているうちに、群馬さんの農場の上を横切ってしまったようで」
今は紅のベレーの上に乗っているホームズを示しました。
「そういうことやったんか」
「お騒がせして申し訳ありませんでした」
「ううん」
群馬ダークは首を横に振りました。
「実際の被害はなかったし気にせんといて。スパチャもかなり入ったし、焼けてへんのに焼け太った、みたいな感じ」
そういえば私も投げていました。
「せやけど、なんであんなレベル高そうなのががいきなり出てきたのかは結局謎ってこと?」
メェ(非公開施設の防衛用特殊個体がトラブルで迷い出たようだ)
頭の上に乗ったホームズが回答してくれました。
「非公開施設? そんなものあるん?」
メェ (非公開なのでね、詳細は伏せさせてもらいたい)
メメェ(守秘義務が発生している)
「オーケー、詮索せんとこ」
ゴーゲー。
唇に指を当てた主人の群馬ダークと一緒に、その肩の上のマンドラゴラも口元に根っこを当てました。
そのまま山道を進んだ私達は、多摩丘陵生産村のはずれに立地する群馬ダークのドンレミ農場に入りました。
例の動画に映っていたトウモロコシなどの穀物、野菜類を栽培する大農場で、労働力としてマンドラゴラや、農業機械の役割を果たす中型、小型のゴーレムなどが動き回っています。
個人経営としては東京大迷宮最大の農場で、ここ以外にも果樹園、わさび田などを経営しているそうです。
農場のあちこちにはライブカメラが設置されていて、農場を動き回るマンドラゴラやゴーレム、農場にやってくるモンスターや野生動物の様子を24時間配信しています。
一種の癒やし動画、作業用映像として一定の人気があります。
「そこらじゅうライブカメラだらけなんやけど、映っても平気?」
「はい」
ライブカメラに少し写り込む程度なら特に困ることはないでしょう。




