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パンと弾丸とダンジョンと  Ꮚ・ω・Ꮚメー(パンは銃より強くておいしい)  作者:
多摩丘陵の群馬さん

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23/81

Ꮚ・ω・Ꮚメメメー(23:赤い頭の人間)

 ゴゲー!  (ぼすー!)

 ゴゲゲー  (いたよー!)

 ゴゲゴゲー!(こっちこっちー!)

 ゴゲゲー! (無事だったー)


「無事やった? 良かったー」


 多摩丘陵エリア各所に農場や果樹園などを持つ農場経営者にして動画配信者、そして群馬解放活動家として知られるダークエルフの生産系冒険者、群馬ダークは愛馬前橋号(まえばしごう)の背に乗り、従魔としている山岳マンドラゴラたちに合流した。

 山岳マンドラゴラは名前の通り山岳地帯に棲息するマンドラゴラの亜種で、通常のマンドラゴラに比較して温和で活動的、代わりにマンドラゴラ種の大きな特徴である薬草、あるいは毒草としての効力が皆無という特徴を持つ。


 ゴゲー  (助けてもらったー)


「そうなん? どんなひと?」


 ゴゲゲー (赤い頭の人間とバロメッツー)


「赤い頭? 髪の毛の話? そういう帽子?」


 群馬ダークは首をひねる。

 マンドラゴラは個人識別能力が低く、男女の区別もろくにつかない。ひどいときにはトロールを目撃しても「人間」と証言したりする。


「どっち行ったかわかる?」


 ゴゲー (あっちー)


「わかった。みんなは先に戻っててくれる? 探して挨拶してみる」


 従魔を助けられたとなると、主人として知らん顔はできない。


 ゴーゲー(おーけー)


 遭難していたわさび田担当マンドラゴラだけを肩の上に乗せ、群馬ダークは再び前橋号を走らせる。

 やがて前方で、銃声が轟いた。

 銃を使って狩りをする冒険者は珍しくないので驚きはしなかったが、タイミングからすると例の『赤い頭』が発砲したのかもしれない。

 注意をしながら進んで行くと、空に小さな影が見えた。


「バロメッツおる」


 灰色をしたバロメッツが一匹、群馬ダークらの様子をうかがうように上空に浮いている。


「さっき言っとったバロメッツって、あれのこと?」


 ゴゲー(あれー)


 噂の赤い頭の人間は見当たらないが、試しに手を振ってみると、灰色のバロメッツは高度を落とし、群馬ダークの前までやってきた。


「こんにちはー」


 群馬ダークのほうからそう声を掛けた。


 メェ (こんにちは、何か御用かな?)


 返事を期待したわけではないが、マンドラゴラたちより対話能力が高いらしい。従魔契約をしていない相手とも普通にコミュニケーションが取れるようだ。


「この子を助けてくれた人とバロメッツを探しとるんやけど、きみたちのこと?」


 メェ (そういうことになるかな)


「ありがとう。人間のひとは一緒?」


 メェ (私の主人になるが、面会したいということだろうか?)


「そのつもりで来たんやけど、迷惑やったら、これだけでも渡してもらえへん?」


 マンドラゴラ遭難の連絡が来る前に収穫し、アイテムボックスに入れていた桃の箱を出した。

 アイテムボックス系スキルがあれば邪魔になるものではないし、食べなくてもバザールに出せばそれなりの値で売れる。


 メェ (少し待ってくれ。連絡を取ってみよう)


 灰色のバロメッツはどこからか小型のトランシーバーを取り出して無線をつないだ。

 間もなく、


 メェ (会うそうだ。森を移動しているから少し待って欲しい)


「はい、御迷惑おかけします」


 ゴゲゲー。


 馬を降り、灰色のバロメッツと話をしながら待機する。


「そういえば、『赤い頭の人間』に助けられたって聞いたんやけど、どういうことかわかる? 赤い頭って。髪の毛?」


 メェ(紅のベレー帽のことだろう。先日入手したものをそのまま身に付けている)


「紅のベレー帽かー、ええねー。イケメンさん?」


 メェ(回答は差し控えておこう。私の評価基準は君のそれとは違うはずだ)


 そんなやりとりをしていると、木々の向こうから人影が姿を見せた。

 赤い帽子にライフルのソルジャー系装備、白いバロメッツを従えた――。


 ――女の子やん。


『赤い頭の人間』の性別を確認し忘れていたことに、群馬ダークはようやく思い至った。

 年頃は十五、六位だろうか、銃火器主体のソルジャー装備を違和感なく身に付けた、涼やかな佇まいの美少女だ。群馬ダークのダークエルフのような容姿への補正があるのかも知れないが、息を呑むほど清澄な美しさがあった。


 ――なんか、顔、良すぎん?


「お待たせしました。ソル・ハドソンです」


 携えたライフルをアイテムボックスに片付けた少女は紅のベレーを外して一礼をしたあと、少し驚いた様子で群馬ダークの顔を見た。


「……群馬ダークさん、でしょうか?」


「リスナーさん?」


 動画の視聴者のようだった。

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