表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パンと弾丸とダンジョンと  Ꮚ・ω・Ꮚメー(パンは銃より強くておいしい)  作者:
《第一部》ようこそ東京大迷宮へ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/81

Ꮚ・ω・Ꮚメー(14:敬意と信頼)

 電磁トラップに二つ目のチキンステーキサンドを設置し、スタンバイモードに。

 間もなく白いバロメッツ、続いて黒いバロメッツ、最後に二匹の大型モンスターが姿を現しました。


 索敵スキル警告:

 レイド級モンスター『グレーターグリフォン』出現。


 メメェ(よーしこっちだ! ついてこいついてこい!)


 チキンステーキサンドを抱えた黒いバロメッツが二匹を挑発し、時間を稼いでいる間に、白いバロメッツが飛んできます。


 メエェ!(餌を!)


「これを!」


 三つめのチキンステーキサンドを私の手からかすめ取った白いバロメッツが再び上昇し、大型モンスター二匹の分断にかかります。

 予定外のグレーターグリフォンのほうが先行してしまっていて、肝心のアークシャークのほうは遅れてしまっています。


 メメェ(おまえさんはこっちだ!)


 後方のアークシャークに狙いを定め、誘導にかかる白いバロメッツですが、反応は芳しくありません。


 メエェ(ダメだ! こちらに気付かない!)


 新しいチキンステーキサンドが目に入っていないようです。


「グレーターグリフォンに閃光弾を使います。ブラック、そのままグレーターグリフォンを電磁トラップ近くまで誘導してバスケットの投下を!」


 アイテムボックスから閃光弾を引き出しながら指示を出します。


 メメェ(了解した! 降下する!)


 黒いバロメッツが軌道を変え、電磁トラップに向けて疾駆。

 チキンステーキサンドのバスケットをトラップの中心部へと投下すると、グレーターグリフォンも急降下に転じます。


「閃光弾、投擲します!」


 警告の声をあげ、ピンを抜いた閃光弾を投げます。

 投擲スキルとストレンクス効果の乗った閃光弾は狙い通りグレーターグリフォンの頭部をとらえて炸裂、閃光を放ちます。

 視界を奪われたグレーターグリフォンは、そのまま勢いよく地面に激突、何度も跳ね転がって地面に倒れました。

 仕留めたのではなく、少し目を回した程度のようですが、少しの間おとなしくしてくれていれば、それで充分です。


 シャアァァァークッ!


 少し遅れて飛来したアークシャークが、独特の声と共にトラップ内のチキンステーキサンドに突進して行きます。

 餌に食らいつくタイミングに合わせ、電磁トラップの無線スイッチを入れました。


 ドン!


 重々しい音とともに電磁トラップが作動、落雷のような光がトラップエリア内を駆け回ります。


 シャ! シャ、シャシャシャシャシャ!? シャァーックーッ!


 どこかコミカルな悲鳴を上げ、ビリビリと痙攣をしたアークシャークは、そのままどさりと地面に落ち、おとなしくなりました。

 電磁トラップの放電時間は三秒、その後の麻痺時間は七秒程度。

 安全が確保できる時間はほとんどありません。

 放電終了のタイミングを見計らってアークシャークに駆け寄り、


 メメメメメメメメメメメメメメメメ……。


 と声を上げている灰色のバロメッツを歯と歯の隙間から助け出しました。


 メエェ(よし!)

 メメェ(すぐセーフティーエリアに!)


 あとはセーフティーエリアに戻れば作戦終了、なのですが、逆に言うとセーフティーエリアに戻るまでは作戦継続中です。


 シャァァァークゥー……。


 電磁トラップのショックから回復したアークシャークが低い唸り声を上げて再び動き出します。


 グリィィィィィィィィッ!


 目を回していたグレーターグリフォンも目を開けて動き出しました。

 サメといいグリフォンといい、本当にその鳴き声でいいんですかと聞いてみたくなります。

 もう一度閃光弾を使って逃げようと思ったのですが。


 シャァァァァァ――ーック!

 

 グリィィィィィィィィーッ!


 アークシャークもグレーターグリフォンも私たちに興味を示すことなく、電磁トラップの真ん中で焼け焦げているチキンステーキサンドの残滓に飛びついていきました。

 ちょうど一匹にひとつずつ、一口で呑み込んでしまいます。


 シャークシャーク。


 グリーグリー。


 電撃で大分焦げてしまっていますが、食事効果は残っているようです。二匹のモンスターの体が光って、ダメージが回復して行くのが見て取れました。

 アークシャークは空中に静止し、グレーターグリフォンは地面に鎮座する恰好で動きを止めます。

 その間に私達は、セーフティーエリアへと離脱しました。


 メエェ(ゲームセットだ)

 メメェ(怪我がなくて良かった)


 二匹のバロメッツが戻って来ます。

 目を回していた灰色のバロメッツも息を吹き返しました。


 メェ (ここは……)

 メエェ(気がついたようだな)

 メメェ(サメの口の中はどうだった?)

 メェ (得がたい体験だったよ。君らも試して見るといい)


 そんな言葉をかわした三匹は、くるりと私の方に向き直りました。


 メェ (ありがとう、レディ)

 メエェ(厚意に感謝を)

 メメェ(勇気に敬意を)


 私の前にふわふわ浮かんだ三匹の体が、きらきらした光の粒子を放ちます。

 蛍の光のように動き、寄り集まった光の粒子は、二つの光の塊となり、一方は水晶のような、もう一方は黒曜石のような色と質感をした、ふたつの結晶に姿を変えました。


 メェ (秘石『敬意』)

 メエェ(秘石『信頼』)

 メメェ(感謝の証しとして受け取って欲しい)


 敬意と信頼というのは概念的なものではなく、本当にそういうアイテムがあったようです。

 手を触れてみると、一ウィンドウが開き、アイテムの説明文らしきものが表示されました。


 秘石『敬意』『信頼』

 レアリティ:シークレット

 トライスター・バロメッツとの友誼の証し

 ・ゾディアック装備アリエスの生産素材として使用可能。

 ・このアイテムを持つ者は《アリエス》属性のモンスターの先制攻撃を回避できる。

 ・二点同時に使用することでテンポラリモンスター、トライスター・バロメッツのパーマネント化、従魔化が可能(※この情報はテンポラリモンスター、トライスター・バロメッツには認識できない)

 バザール出品不可

 譲渡不可


 メェ (実を言うと、我々の敬意と信頼は隠しアイテムなのさ)

 メエェ(チュートリアル段階でこの報酬を獲得したのは君が初めてだ)

 メメェ(達成可能期間が極めて短いのでね)


 してやったり、という風な調子のバロメッツたちですが、一番重要な部分については理解していないようです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

◆新作のお知らせ◆
怪異を相手に“解体屋”として奔走する物語。
解任社長、怪異を解体す。
こちらもよろしくお願いします。

+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ