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【WEB版】退屈嫌いの封印術師  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化
第三章 封印術師と万物を喰らう者

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第八十三話 アドルフォスの独白

 雲を上から眺めながら、アドルフォスは去っていった旅人たちを頭に浮かべる。


 封印術師シール=ゼッタ。

 太陽神の呪い子シュラ=サリバンとアシュ=サリバン。

 バルハ=ゼッタの孫娘レイラ=フライハイト。

 騎士団の大隊長にして天敵の一人ソナタ=キャンベル。


(面白い面子(めんつ)が集まってやがる。

 引き合わせたのはアンタの存在なんだろうな、バル翁……)


 特にアドルフォスの頭に残るのは恩人の弟子の顔だった。


「シール=ゼッタか……まさか、アンタが弟子を取るなんてな」


 アドルフォスはバルハより聞かされていた。弟子を取る気はない、と。封印術は継がない、その代わりに自分の代で再生者を全て封じると――


 結局、バルハ=ゼッタは七体の再生者の内、四体を封じるのが限界だった。


 残り三体はどうする気なのか……それを聞きに、アドルフォスはバルハに『来るな』と言われていたのにも関わらず、ディストールの牢屋を訪れた。いや、本音は違う。アドルフォスはバルハを牢から解放するためにディストールを訪れた。


 なのにバルハはアドルフォスの誘いを断った。

 つい最近までアドルフォスはバルハの真意をわからずにいたが、シールを見て、アドルフォスはようやくバルハの真意を理解した。

 


『私は役目を果たせない』



 ディストールの牢屋で、バルハはそう言った。



『ならその役目、誰が引き継ぐ?』



 そんなアドルフォスの質問に対し、バルハはこう返した。



『誰も引き継ぐ必要はない』



 アドルフォスは牢屋での会話を思い出し、天を見上げて微笑んだ。


「アンタは継がせる気無かったみたいだが……」


――『だけどまぁ……目に付いたら片付けておいてやるよ。――暇つぶしにな』


 軽い口調で、そう言い放ったシールの目には強い覚悟が秘められていた。


「アイツは継ぐ気満々みたいだぞ……バル翁」


 バルハ=ゼッタがアドルフォスの誘いを断り、最後の時間を使って育成した弟子。

 彼がこの先なにを想い、なにを成すのか。


 アドルフォスは期待せずにはいられなかった。

第三章 完



評価やブクマ、レビューがあればモチベーションアップにつながりますので、お手数でなければお願い致します。


今回の章で出て来たアドルフォス主人公の外伝『パーティメンバーを喰いつくしたら強くなれました。』も是非ご覧あれ。


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Twitterなどで応援してくださった方々、誤字報告をしてくださった方々、感想をくださった方々、本当にありがとうございました。励みになりました!!


それではまた第四章で会いましょう( ´艸`)

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