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俺Tueeee物語  作者: おおきなダディ
12/13

カイエン殿

 剣士1人、魔法使い1人、あと姫騎士1人か。

 姫騎士という職業はいまいちよくわからないけど、魔法剣士みたいなものだろうか。

 前衛が2人、後衛が1人だ。

 イルヴァ様は肉弾戦できるかもしれないけど、とりあえずは考えないでおく。


 さて、ダンジョンを攻めるのには、普通どれくらいの人員が要るものなのだろうか。

 私たちの目的はダンジョン最深部にあるという封印の鍵によってダンジョンの再封印を行うことだ。

 最深部までいければ途中で無駄な戦闘をする必要はない。

 つまり、あまり大人数で行くよりは、少人数で隠密行動を取る方が望ましい。

 鍵開けや罠を解除できる人員も必要だ。


 冒険者ギルドの職員に向かって言う。


「トラップ解除とか、鍵開けができる人員が欲しいんだけど、心当たりとか無い?」

「少々お待ちください」


 職員は分厚いノートを取り出すと、パラパラとめくり始めた。


「該当する人ですと、職業がシーフ、アサシン、レンジャー、ニンジャ、などございますが、如何致しますか?」

「ニンジャで」

「かしこまりました」


 思わず即答してしまった。

 ニンジャって、この世界にもいるのか。

 侍とかもいそうだなあ。


「それでは、連絡先はこちらになります。交渉はご自分でお願いいたします」

「あ、はい」


 連絡先わかるんだ、ニンジャ。

 メモ書きの紙を渡される。



【フンボルト領風の通り道1番街3丁目15号

 風雲ニンジャ城城主、カイエン・ハットリ


           ご用の方は当屋敷まで】



 ……なんだこれ。





 冒険者ギルドの職員に風雲ニンジャ城までの道を教えてもらった私達は、そこに向かった。


「ねえ、アンネローゼさん。カイエンさんってどんな人か知ってる?」

「カイエン殿ですか。語尾にゴッザァールとかよく付けている、不思議な方ですわ」


 そりゃたしかに不思議だ。

 ていうか、カイエン殿って。殿って。


「パーティを組んだことはありますが、器用な方ですわね。隠し技をたくさん持っていますし、トラップを仕掛けたりなんかも得意です。真っ向から戦えばわたくしは負けることはないと思いますが」

「戦闘なんかは得意そう?」

「音もなく魔物の首を落とすのが得意な方ですわね」


 そのへんはちゃんとニンジャなのか。


 教えてもらった場所に行くと、普通の家屋に行き当たった。

 外からの見た目は、他の家と変わるところはほとんどない。

 しかし、1ヶ所だけ普通ではない箇所がある。

 その家の前には、風雲ニンジャ城、と書かれた看板が立っていた。


「やだ、なにこれ」


 思わずつぶやいた。

 アンネローゼが気にせず扉をノックする。


「カイエン殿ー! アンネローゼですわ、いたら返事してくださいまし!」


 その声に反応して、扉の向こうから妙に可愛らしい女の子の声がした。


「……山」

「そういうのいいですから、開けて下さらないかしら」

「アンネローゼ殿は相変わらずマイペースでござるなー」


 扉を開いて出てきたのは、小さな女の子だった。

 身長は150センチも無いのではないだろうか。


「えっと、カイエンさんの娘さんか何かですか?」

「何を言ってるでござるか。拙者がカイエンでござるよ。ニンニン」

「お、おう」


 ニンニンってお前。

 いや、この世界のニンジャにとっては普通なのかもしれないけど。


「相変わらずおかしなしゃべり方ですわね」

「拙者の勝手でござる」


 違ったようだ。


 カイエン殿は視線をアンネローゼから外し、私とイルヴァ様の方を向きなおした。


「で、おねえさんたちは何者でござるか?」

「私は伊藤キサラギ。剣士をやっているわ。連れのこの子はイルヴァ。魔法使いよ」


 とりあえず名乗る。

 イルヴァ様を呼び捨てにしたが、勘弁してもらおう。

 ほっとくと勇者と神だとか言い出して話がややこしくなりかねない。

 

 しかしあれだ、小さい女の子におねえさんって言われるとなんかキュンっとくるな。


「ふむ。拙者に何用でござるか」

「ダンジョン攻略の仲間を探しているのだけれど、カイエン殿、私達の仲間になってほしいのよ」

「そうでござるか。して、おねえさんはなにゆえダンジョンなどに潜るのだ」

「魔物を封印する為よ」

「ふむ……。封印の鍵、でござるか?」

「知っているの?」

「我々ニンジャの古くからの言い伝えにあるでござる。古のダンジョンは女神によって魔物を封じるために作られた、と。今では封印は薄れたが、封印の鍵自体はまだダンジョンの最奥に眠っていると。お伽話のようなものだと思っていたのでござるが」

「ニンジャってすごい」


 説明の手間が省けて助かる。

 他にもいろいろ、私の知らないことも知っていそうだ。


「そうなんですの?」


 アンネローゼが聞いてくるので、肯定する。


「ええ、そうよ」

「封印の鍵、らしきものは拙者もダンジョンの奥深くで見たことがあるでござる。しかし、その時はなんら反応しなかったでござるよ」

「大丈夫よ。イルヴァが封印の鍵を復活させられるの」


 もう心のなかでもイルヴァと呼び捨てにしてしまおう。

 いいよね? イルヴァ。

 あと、私のことも勇者じゃなくて名前で呼んでください。


(まあ、構いませんが……)


「ふむふむ。事情はわかったでござる。拙者の力で良ければお貸しするでござるよ」

「ありがとう。それじゃあ、よろしくね」

「こちらこそよろしくでござる」


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