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Brave and Partners Online  作者: 岩越透香
第五章 王都セントル

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復魂祭再び

 魔の森攻略の後、王国に何が起こったのかは分からないからレベリングしつつ続報を待つしかない。次のイベントは復魂祭だろうから、それまでには補助魔法士のレベルをカンストさせ、回復魔法士になれたら良いな。


 イベントの終了に伴い「創世神話4 〜悪魔の誕生〜」が読めるようになったため、読んでみることにした。



 裁きを与えられてもなお、人々は争いをやめなかった。和の神は絶望し、彼らを戦わせる根本たる七つの欲の化身を作り出し、世に解き放った。


 欲の化身――悪魔は各地の生き物を凶暴化させ、仲間すなわち魔物を増やしていった。人々が団結し、力を合わせてもなお、悪魔と魔物を倒すことは叶わなかった。



 BADEND感が出てきた……。創世神話の中で一度世界が滅んでしまうのではと心配になる。和の神殿が今の所出てきていないのは闇堕ちしてしまったからだろうか。


 七つの欲の化身と言っているのに今の所二つしかないから、戦いはまだまだ続くんだろうな。森を浄化できれば王国の脅威は去ると言っていたけど、俺にはそうは思えない。


「……気にしても仕方ないかあ」

考察とか苦手だし。俺は予定通りレベル上げに向かった。



 数日後。補助魔法士は二十レベルになったものの、回復魔法を二十レベルにするにはまだまだかかりそうだった。上位の魔法を使えば早いのか、それとも単純に回数をこなす必要があるのか……。


 回復術士にはなれないまま、次の復魂祭の時期になった。公式サイトには「少し早い一周年イベント」と書かれている。……β版を考えると一周年なのかもしれない。長いような短いような時間だ。


 告知は公式サイトとゲーム内で同時だったようで、ログインするとイベントムービーが見れるようになっていた。


『私は王国騎士団団長を務めているウィリアム・ロビンソンだ。この前の放送では少々……のハプニングがあったな。すまなかった。今回は前回伝え忘れた感謝を伝えるための放送だ』

少々とは言えないハプニングだったな……。彼の目の下にはうっすらと隈があり、疲れているようだった。ハプニングはまだ続いているのかもしれない。


 となると告知はそのハプニングに関係するものだと思っていたが。


『異界からの勇者たちよ。この三年弱、よく戦ってくれた。君たちのおかげで私たちと魔物どもの戦いに光が差した。感謝してもしきれない。……次の復魂祭は我々の勝利を祝うような……盛大なものとなるだろう。各々好きな町へ行ってくれ。特に山の神殿を除く四大神殿では大きな催しを開催予定だ』

予想に反してただの宣伝だった。復魂祭が開催できるなら、ハプニングは大したことはなかったのか? いやでも、なあ……。


 騎士団長の様子は少し気になるが、彼の言う通り楽しませてもらおう。時・鏡・海の中なら、神官に転職した場所でもある時の神殿が一番馴染み深い。まずは時の神殿で復魂祭に参加しよう。時間があれば、復魂祭の時期に行っていない鏡の神殿にも行ってみたい。


 四月のイベントと言えば……イースターかな? パートナーと宝探し……Partners社らしいな。宝は敵ではないだろうけど、索敵スキル持ちの小夜は活躍できそうだ。イースターなら兎型のユキは主役だな。


 復魂祭期間は四月終わりから五月の始め――ゴールデンウィーク期間だから、こどもの日もあり得そうだ。


 どんなイベントなのか、楽しみにしていよう。



 復魂祭の日がやってきた。鏡を使って時の神殿へ行く。


「町みたいだ……」

そこには大量の屋台があり、人の多さも含め、町のようだった。前回行った時は町が復魂祭のメインだったが、今回は騎士団長が言っていた通り、こちらがメインらしい。


「一日じゃ回りきれなさそうだ」

とはいえ、鏡の神殿も見てみたいから、今日は軽く回ってみることにした。


「フランクフルト売ってるよ!」

「たこ焼きはいかが?」

「りんご飴、美味しいよ!」

定番メニューはもちろんのこと、


「お兄さん、スイカ食べてみない?」

小玉スイカが丸ごと売られていたり、


「タコスはどうだい?」

「さあさあ、トムヤムクンだ!」

「飲み物には愛玉子オーギョーチーがおすすめ!」

と様々な民族料理が売られていたりした。いくつか聞いたことすらないようなものも混ざっていた。


 トムヤムクンなんて食べ歩き無理だろうと思っていたが、屋台の裏に飲食スペースが置かれていた。考慮されているらしい。


 食べたことも聞いたこともない民族料理は気になるけど、祭りなら定番メニューを食べ歩きたい。


 少し迷ったが、ゲーム内では満腹になることはないため、食べ歩きもしつつ、気になったものは全て食べてみることにした。量が多くても、パートナーたちも食べられるものなら大した量にはならないし。


 配慮されているというのか、商魂逞しいというのか、屋台の料理はパートナーも食べられるものが多かった。



 次の日は鏡の神殿に向かった。狭い敷地でも時の神殿同様に華やかにやるのかと思ったが、そうではなかった。


「綺麗……」

鏡の神殿に行くとそこには幻想的な光景が広がっていた。


 入り口からは大理石の石畳が神殿に向かってまっすぐ伸びており、それ以外の地面には薄く水が敷かれているのだが、水が光を反射し輝いている。水の上にはいくつも鏡が置かれていて、それらと繋がっている場所の景色も見える。時の神殿は昨日と変わらず賑わっていて、海の神殿では大規模な大会が行われているみたいだ。


 神殿内部も同じように鏡が置かれていた。この場所の鏡はお店や休憩所に繋がっているみたいだった。時の神殿よりは少ないようだが、かなりの数の店が揃っている。店から休憩所へ移動している人が漂わせているのか、祭りっぽい良い香りも漂っている。神殿の雰囲気には少し合っていないような気もするが、それもそれでいい。


 現実にはないザ・異世界な祭りだ。この形態なら小さなスペースでもできるし、店の料理だから屋台よりは本格的になる。鏡の神殿らしくて面白い。


 そういえば、いつも鏡の神殿の鏡は今いる礼拝所に繋がっているのに、今回は外に繋がっていたな。外の幻想的な風景を見てほしいということなのだろう。



 鏡の神殿の祭りを楽しんだ後、礼拝所の外でログアウトした。次は海の神殿を覗くか、時の神殿をもっと深いところまで楽しむか、どっちにしようか。


 と昨日は思っていたのだが、ログインして景色を見て絶句した。


 綺麗だった鏡の神殿は見るも無惨に変貌していた。何かが降ってきたようで、鏡は全て割れ、先頭の跡なのか、石畳も所々欠けている。


「危ない!」

黒いもやを纏った魔物が俺に向かってきていた。

投稿が遅れました。すみません。

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