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Brave and Partners Online  作者: 岩越透香
第四章 第二の町

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海の神殿

 クリスマスイベントが終わり、町の様子が元に戻った。二度目の復魂祭の後、多くの職業が追加され、次の町にも行けるようになった。追加された戦闘系職業は三つで、戦士は海の神殿、盗賊は鏡の神殿、魔法使いは次の大きな町で就けるようだ。神官のレベルも二十になって頭打ちになってしまったため、俺は戦士に転職することにした。


 戦士になるためには試練を受ける必要があった。試練は他のプレイヤーとパートナーなしで戦い――マッチングしない場合はNPCが戦ってくれるらしい――ポイントを集めることだ。合格に必要なポイントは五十ポイントで、勝利すると五ポイント、敗北すると二ポイントもらえる。つまり、最長でも二十五試合すれば良い。神官の時と比べてゴールが分かりやすくてやりやすい。


 試練で使ったスキルのレベルは上がりやすくなっているらしいから、負けてもそれはそれで良い。気楽に戦えるのは良いことだな。


 実装してすぐということもあり、すぐにマッチングして試合が始まる。PVPはほとんどしないから、全く歯が立たないのではないかと心配していたが、思っていたよりは善戦できていた。勝率は戦った総数が少ないからなんとも言えないが半分を超えていた。


リック

種族:人間ヒューマン Lv.49

職業:戦士Lv.1 【気合】(マスター:神官)

HP:50/50

MP:70/70

STR:20(+8)〈+4〉

VIT:12(+12)〈+2〉

INT:50(+3)〈-5〉

AGI:16(+5)

【スキル】

使役 槍術Lv.18 棒術Lv.5 索敵Lv.5 回復魔法Lv.5  強化魔法Lv.9 妨害魔法Lv.4 付与魔法Lv.1 毒術Lv.14  麻痺術Lv.14 料理Lv.1 解体Lv.7 鑑定Lv.4

【装備】

普通の槍 STR:+8 耐久:321

六花のチョーカー VIT:+1 耐久:298

神官のコート INT:+2 VIT:+3 AGI:−1 耐久:74

シルクのシャツ VIT:+3 INT:+1 耐久:797

シルクのズボン VIT:+3 耐久:20

エンジニアブーツ VIT:+2 AGI:+1 耐久:133


【気合】

戦士が持つ職業スキル。STRとVITを10秒間(0.3+(戦士の職業レベル)×0.01)倍する。さらに、HPが3割以下の場合、効果量が二倍になる。CT:60s


 せっかく戦士になったのだから、神官っぽい服装ではなく、戦士らしい服装にしてみるのもありかもしれない。例えば軽めの鎧を着てみるとか。セア港で防具を探してみよう。


 強さの面でいうと、神官の職業スキルがなくなってしまい、戦士に合ったステータス配分でなかったため、ステータスは下がってしまったが戦士の職業スキルは使い勝手が良さそうだ。能動的にステータスを高く出来るというのが、強敵との戦いで役に立ちそうだ。尤も、俺のSTRとVITが多くなったところで……というところではあるが。


 スキルの使い勝手を確かめるために引き続き戦うことにした。海の神殿では一対一のPVPが楽しめるようになっていた。


 マッチング形式は三つあり、レベルが近い者同士でマッチングするランダムマッチ、レートを元にマッチングするレート戦、フレンドと好きなルールを決めて戦えるカスタムマッチだ。レート戦は魔法なし・ありが選べるから、実質四つのルールで遊べる。


 今回は戦士の職業スキルがどれほど使えるのかを試すために戦ってみるから、ランダムマッチにすることにした。本来この用途にはレート戦を使いそうだが、実装初期ということもあって、近い実力のプレイヤーと戦える保証はないためだ。


『対戦相手が見つかりました。十秒後に開始されます』

ランダムマッチを開始してすぐにアナウンスが聞こえた。早いとは思っていたがここまでとは。もしかしたら戦士の試練の人ともマッチングしているのかもしれない。


『プレイヤー"Strings"との試合が始まります』

聞き覚えのある名前に驚いたが、それはもっと大きい驚きで塗りつぶされることになった。


 彼女が持っていた武器は弓。とてもじゃないが一対一の試合で使う武器とは思えなかった。


 Stringsだから弓を使っているのかそれとも逆なのか。なんて呑気に考えていると風を切る音と共に俺の頬に何かが掠った。HPはそれだけで三割ほど削れ、毒状態にもなっていた。


 ニ射目を大きく飛んで躱しつつ、毒を治してHPも全快にする。最初はある程度離れた位置からといっても数歩で詰められる距離だと油断していたが、そう甘くはないらしい。彼女は攻撃しつつも素早い動きで俺から距離を取っていく。


 希望的観測が含まれてしまうが、俊敏性の高い後衛職としてステータスを振っているのならVITは低いはずだ。装備もVITが高いようには見えない。だから一気に畳みかける。自信を強化する手段を全て使い、一瞬で詰めて一撃で倒し切るのが理想だ。俺のアドバンテージ――多様な補助系の魔法を生かして戦おう。


 三射目を斜め前に進みながら躱し、強化AGIを発動し距離を詰める。しかし、強化してもなお向こうの方がAGIは高いらしく追いつけない。円形上のフィールドを上手く利用して距離を詰めるしかないな。


 走りながらという難しい姿勢の中でも彼女はまっすぐ俺に向かって飛んでくる。避けるのは時間のロスだと判断し、気合と強化VITを使って、被弾覚悟でそのまま前に走り続ける。HP残り五。危なかったな。一応回復して万全の状態にしておこう。


俺が攻撃を受けてもなお向かってきたことが想定外だったのか、彼女はあらぬ方向に矢を放っていた。……このチャンス、絶対に逃さない!


「強突き!」

「……回避インベイジョン

スキルを使われて攻撃が避けられたが、回避スキルは連続して使えない。だから、彼女に次の攻撃は避けられない。


 強化STRを発動し、槍をすぐに持ち替える。速突きで胸の辺りを狙ったが少し避けられ、腕に当たってしまった。ダメージはそこまで入らないだろうが、弓使いが片手を使えないのはかなり致命的なはずだ。この勝負はもらった!


 彼女はそれでも攻撃してきたが、腕の負傷のせいか痛くない。HPを回復しておいて正解だった。


「とどめ……!」

「それはこっちのセリフですよっ」

俺の槍が彼女に届くよりも早く、俺の背中に一本の矢が刺さった。


追跡ハウンドアローです。弓使いと戦うなら死角からの攻撃にも気をつけないといけませんよ、リックさん」

「くっ、負けました……」

俺の体が地面に倒れ込み、『勝者"Strings"』というアナウンスが流れた。


 PVPをする時はどんなスキルがあるのかを前もって知っておくことが大切だと思った。


 Stringsさんとの試合の後、何戦かレート戦もしてからログアウトした。一対一の試合も面白かったが、俺はやっぱりパートナーたちと戦う方が好きだ。


 明日からは次の町に向けて出発だ!

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