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Brave and Partners Online  作者: 岩越透香
第三章 時の神殿

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料理人を目指して

リン視点です。

リックが神殿で特訓をしている時の話です。

 BPOに職業システムが追加されたらしい。現時点で確定しているのは、戦闘職の神官のみみたいだけど、NPCに聞いた人によると、大きなギルドで就職? することができるらしい。多分、最近追加された町にいくつかありそう。戦闘力が低い私は行くことが出来ないけど……。


 私が所属しているギルドは料理と服飾と冒険者。バースの冒険者ギルドと服飾ギルドで何かの職業になれるなら、もっと話題になっているはずだから、私には縁がない。料理はそもそも話題に上がらないからなあ……。


 ……隣の村の料理ギルドって結構大きかったような気がする。新しい子のレベル上げも兼ねて、行ってみよう。


 新しい魔物――おはぎの種族はシルクスパイダー。兄に貰った奴から出た位階三の魔物だ。体から出る糸が生糸になっていて、私にぴったりな子。


 生糸を作るために沢山エネルギーを使うのか、おはぎはよく食べる子だ。職業に就けなくても、空気も料理も美味しい良い村だから、おはぎもきっと気に入ってくれるはず。


「カルチ村を目指して出発だよ! しらたま、おはぎ!」



「お疲れ様、しらたま。回復魔法をかけるね。おはぎもナイスサポートだったよ」

二匹に頑張ってもらって村への道を進んでいく。おはぎは位階三の魔物ということもあってか、すぐに戦いに慣れた。しらたまとのコンビの息はぴったりだ。


 おはぎは生産でもレベルが上がるから、無理して戦う必要はないかな。バースの隣の村――カルチ村が見えてきた。


「こんにちは!」

「こんにちは、リン。今日は依頼? それともその子の歓迎会?」

受付で暇そうにしているアンが私を見てやってきてくれた。最近は復魂祭があって、バースに篭りっきりだったから会うのは久しぶりだ。三倍速で進むゲームの中の彼女なら尚更だろう。


「今日はここで料理人になれるのかを聞きにきました。もちろん歓迎会もやります!」

「あら、意外。リンは服飾の方が本職だと思っていたよ」

「そうですけど……。転職も可能だと聞いたので」

「料理人は通過点ってことかい? ふふっ本職の前で大胆なことを言うねえ?」

彼女はグッと顔を近づけて聞いてきた。迫力があって一瞬怯んでしまったけど、彼女の口元は弧を描いていた。


「からかってますね? その通りですけど」

「本心も混ざってはいるけどね。でもリンなら大歓迎だよ! さあ、こっちにおいで!」

彼女に連れられてやってきたのは厨房。何度か利用させてもらっている場所だ。


「こんにちは、ミールさん。ここで何をやるんですか?」

「……作る」

「置いてあるのは肉とにんじんとじゃがいもと玉ねぎ……? あ、鍋もある! カレーは調味料が無いから違うか。じゃあ、シチュー?」

どの選択肢にも首を振られてしまった。この材料だとカレーかシチューか肉じゃがだと思ったんだけどな……。


「ちょっと、ミール。その雰囲気で伝われ! っていうコミュニケーションは止めなさい。慣れてるリンだからまだ良いけど、初めての人は確実に困惑するのよ。今回に限っては全く伝わっていないじゃない!」

「……すまん」

「まあいいわ。代わりに私が説明するわね。職業に就くためには試験をして、神様に力を示す必要があるの。これはどの職業でも同じね。ここでの試験は予想通り料理。ただし、食材も自分で集めなければならないわ。そこに置いてあるのはミールが使おうとしている食材だからあなたの試験には全く関係ないわ」

「……シチューを作る。だから正解」

「なんでどうでも良い時だけほんの少し饒舌になるのよ……」

二人は相変わらず仲が良い。ほとんど話さないミールとあそこまで意思疎通できるのはアンくらいだ。


 ……アンは材料を自分で集めろって言ってたけど、やっぱりフィールドから集めるのかな。ベリーと肉しかない気がする。あ、知らなかっただけでキノコとかも生えてるかも!


「リン、自分で集めると言っても、人から買うのもアリよ。そもそも料理人は基本的に自分で材料を集めないわ。たまに例外もいるけど」

「……自分で取ると新鮮」

「ベリーとかは採集してきても良いし、野菜類は自生してないから買った方が良いわね。自分で元々持っている物を使っても良いわ。私たちが美味しいと思えるものが出来たら合格よ」

「アドバイスありがとうございます! 行ってきます!」

「行ってらっしゃーい」

アンに見送られて料理ギルドを出る。買い物の前に、まずはメニュー決め。「美味しい」とさえ思わせたら良いなら、簡単な物が良い。でも、簡単すぎても味気ない。絶対に失敗しなさそうなものにしよう。


 サンドイッチはどうかな? 簡単だし、中身を変えれば色々作れて楽しいし!


 早速、材料を調達しよう。野菜とハムのサンド、卵サンド、フルーツサンド、ローストビーフとかも良いなあ。ツナは……魚自体をあんまり見ないから難しそう。これくらいなら、この村の中でも調達できる。



「出来ました!」

「サンドイッチだね。へえ、色々な味を作っているんだ。美味しそうだ」

「……いただきます」

二人が黙々と食べる。胸の前で手を組んでそれを見届ける。


「うん! 美味しいよ」

「……合格点」

「本当!? やったあ!」

思わずガッツポーズ。急に動いたせいでおはぎを驚かせてしまった。一方しらたまはなんてことはないと言っているかのように平常運転。しらたまがマイペースなのか、私の奇行? に慣れてしまっているのか……。前者だと思いたい。


「じゃあ着いておいで」

アンに連れられてギルドの裏側にやってきた。そこにはお地蔵さんみたいなサイズの像が置かれていた。


「ここで、神様に報告するんだ。ほら、目を瞑って祈って」

言われた通り、目を瞑って祈る。鶴の恩返しのように好奇心から台無しにするようなことはしない。何か暖かいものに包まれたかのような感覚の後、「目を開いてみて」と言われた。


「これで報告は終わり。まあ、リンにとっては料理人になったところで変化はないんだろうけど。ああ、料理人を経験したことがある人専用の依頼もあるから、良かったら覗いてみて」

彼女は必要なことだけ説明して、ギルド内に戻っていった。


「どうなっているのかな? ステータス、オープン!」


リン

種族:人間ヒューマン Lv.12

職業:料理人Lv.1 【料理の心得】

HP:20/20

MP:10/10

STR:5

VIT:5(+5)

INT:5(+2)

AGI:5

【スキル】

使役 仲間強化 生産効率上昇 回復魔法Lv.3 服飾Lv.16 調理Lv.5 細工Lv.2 解体Lv.2 MP回復Lv.5 

【装備】

ヘアバンド VIT:+1 耐久:400

キュートエプロン 作業効率上昇 耐久:23 

シルクのワンピース VIT:+2 INT:+2 耐久:72

編み上げブーツ VIT:+1 耐久:113


【料理の心得】

料理人の職業スキル。料理の効果を(1+(料理人の職業レベル)×0.05)倍する。【料理】のスキルレベルが上昇しやすくなる。


【生産効率上昇】

生産系スキル使用時、効率上昇。


 料理人になって得たポイントで一個良さそうなスキルを取る。五ポイントで取れるスキルが増えてる? 神殿奪還の後でアップデートしたのかな。


 今は五パーセントしか上がらない……。でも、最初の方はレベルが上がりやすいから、倍率も高くなってくれるはず。


 さて、おはぎ達に振る舞う料理を作ろうか! 現実と違って、食べちゃダメ、触れちゃダメなものがないのが、ゲームの良いところだよね!

【補足】

 イメージとしてはメイドです。しらたまもエプロンやネクタイを身に着けています。生産活動しない時はエプロンは外しています。

 ブーツは既製品、それ以外はおはぎが出した糸で作っています。


 リンが言った通り、いくつかスキルが増えています。修正が入ったスキルもあります。リックもリンもお知らせをあまり見ない人です。



 職業スキルの効果を上方修正しました。効果量五倍です。

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