聖書
久しぶりの最新話投稿。
未完成の上に分割中ということで、ここまでぶった切ってお送りします。
亡霊×少年少女
第二十五話『太陽の魔女』
これは遠い昔の話であり、いまの話であり、未来の話である。
美しく淑やかなお伽噺でも聖書でもなく、先人たちが代々脈々と綴った徐々伝でもない。
白銀の月は幾千にもわたってゆっくり瞬きを繰り返し、遠き【かの地】を温かくときに優しく懐かしそうに見つめている。
太陽は沈み、國は怒りで狂ったように燃えている。
籠人は汝らの敵となり、神となり、友となり、運命となるだろう。
國と【かの地】を結ぶ《福音の詩》が、広く澄みわたった空にたかだかと鳴り響いている。これはまさに、天恵をいただく民の絵図と喩えられよう。
————ここは箱庭。
————我らその小さき天地を生み出し、かの地を七日にて創造す。
————全能の創造者たる我らは月詠の夢現を以て、かの地に汝らを残す。
————いざ征かん、我らが生地。
————流れ落つれば、乃ち『解放』。
彼が遺した詩は【かの地】に深く深く染みついて、やがて彼女のための道しるべとなる。
すべてはそう、《ボックスガーデン・プロジェクト》のために。
彼らに残された猶予は、人間換算でおよそ24時間。
『そのとき』は、もうすぐそこ。
ラストスパート!!




