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ダンジョン作成記  作者: MS
第三章
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三章第十五話前編

 三月十九日、20時に改訂した改訂版と差し替えさせて頂きました。

 ダンジョンマスター(DM)が魔物(モンスター)を創作すると、一体(一群)につき支度金として、地下迷宮(ダンジョン)の執務室にてのみ使用可能な資金である仮想銀貨が千枚支給される。

 他にネームレスが解明した仮想銀貨を稼ぐ方法は、襲撃や略奪やらで奪った物資、生産した作物などと交換する方法だ。

 交易路での二度におよぶ襲撃で強奪した物資の大半は、仮想銀貨化されており地下迷宮の運転資金と化していた。

 骸骨兵や小鬼(ゴブリン)の身を守る硬化革鎧(ハード・レザーアーマー)は仮想銀貨350枚する。

 身長の平均が百六十の骸骨兵でも、百二十のゴブリンだろうと、体長が三十の枝悪魔(インプ)であっても、一律に(仮想)銀貨350枚だ。

 鎧の防御力を落とさずに小型化する故の値段なのだろう。

 インプ達に鎧を買い与えていないのは、かなりの速度で飛行可能でそうそう被弾しなさそうだという事に加え、装備に必要な体力値(ST)が足らなかった為でもある。

 しかし、ネームレスは新たに創作した豚人(オーク)スチパノ用の武装購入時に、防具の改造(カスタム)項目が追加されているのに気付いた。

 これまでは、自動的に個々の体型に合うサイズに調整するだけだったのだが、重量を増やし防御力を上げたり、逆に減らす事で防御力は落ちるが必要体力値を下げる事が可能に。

 重量を増やすのも減らすのも装備ごとに限界値はあるが、幅か広まった事に違いはない。

 それに伴い、値段を多少調整可能にも。重くすれば追加料金が、軽くすれば値引きされた。これらの新規カスタムは武器にも適用される。

 骸骨兵とゴブリンの大半の主力武器である(スピア)は優秀な武器だ。

 細かくいえば、ショートスピアに分類され片手でも両手でも扱え、投擲も可能という万能武器である。

 しかも、銀貨40枚と安く購入可能な事も、質と数を両立して揃えなければならないネームレスとしては大きい。

 ちなみに一〜二メートルの長さの槍がショートスピアになり、二メートル以上の物はロングスピアと分類される。

 ついでに説明すれば、骸骨兵長イースの獲物である片手半剣(バスタードソード)は銀貨650枚、骸骨兵スゥが担う騎士剣(ブロードソード)が銀貨500枚だ。

 骸骨弓兵の近接武器の小剣(スモールソード)は銀貨400枚、小楯(バックラー)は銀貨25枚する。

 そして主力武器の小弓(ショートボウ)は銀貨130枚、(アロー)が一本銀貨2枚で十二本セットで本来銀貨24枚のところを銀貨10枚と格安に。

 何故かは謎だが、助かるのでネームレスは突っ込まない。誰に指摘なり(しら)せれば良いか解らない上に、それで次回からは銀貨24枚、とか、今までの差額を請求されるのも嫌だからだ。

 セット価格故の値引きだろう、とネームレスは半値以下になっている事から目をそらす。

 槍を使う骸骨兵一体の武装が、槍40、硬化革鎧350、中型楯60と合計総額銀貨450枚となる。

 これだけなら、支度金も半分は残るのだが、槍の手入れ用の砥石や革鎧修繕用の(にかわ)等も必要でもう少し銀貨を使う。

 それに骸骨兵長イースとスウが槍でなく剣になり、イースが銀貨1070枚と支度金だけでは足りず、スウは銀貨910枚となんとか予算内だ。

 弓兵だと弓130、機械式弓(クロスボウ)260、(ボルト)(一本5)五本25、小剣400、鎧350、楯25、矢を十本収納可能な矢筒(やづつ)10、矢(一本2)が十本20で合計銀貨1220枚と支度金だけでは足りない。

 その上やはり、武具の整備や手入れ用の道具、弓の予備弦(つる)などで金が飛ぶ。

 骸骨兵が十一体で支度金は銀貨一万千枚、武装だけの単純計算で総額銀貨9880枚となり、残金は銀貨1120枚となる。

 ゴブリン勢内八人の装備が槍40、手斧40、鎧350、楯60で累計銀貨490枚だ。

 格闘型のディギンが柔軟革鎧210、手甲40、脚甲40で290銀貨、ランがネット20、弓130、鎧210、矢筒10、矢20の銀貨390枚である。

 ゴブリン族長フジャンの武装は鎧210だけだ。

 これはフジャンが様々なカスタムのテストケースだった事と、魔法系スキル付与にポイント(P)を消費して、接近戦用のスキルまでまわらなかったからでもある。

 フジャンすら前衛にならなければいけない時点で詰みであり、ならばスキル付与の必要はない。

 こういうネームレスの判断からでもある。

 ゴブリンも骸骨兵と同じく、十一名で支度金合計一万千枚だ。

 そしてゴブリン武装購入総金額は銀貨4810枚と、支度金は銀貨6190枚も残る。

 骸骨兵と同じく、手入れ道具も必要であり、矢はセットで買ってなるべく安く用意したりしているので誤差があるが。

 だが、地下迷宮内でのイースからの厳しい指導による修練によって、修復が不可能な程に破損した武具の買い替えで武装をすでに数度交換していた。

 安いとはいえ槍の消耗が激しく、ネームレスの胃を痛めつけている。

 それよりも被害の大きい鎧の破損だ。これに関して訓練中は骸骨兵の鎧を装備させないようにしておさえていた。

 不死者(アンデット)である骸骨兵は、そんな無茶が可能だが、生者のゴブリンにそんな事はさせられず。

 骸骨兵もゴブリン達も、一応注意を払ってはいるのだが、実戦を想定した訓練にそんな余裕はなく。

 訓練に熱が入り過ぎて壊しちゃいました、そう報告を受けたフジャンが、申し訳なさそうにネームレスへ再配給を願うのだ。

 他にも弓や機械式弓の修練に矢も消費する。訓練せねば技量は上がらないので仕方ない事だが。

 訓練に使った矢も、回収可能な物は再利用して、なるべく浪費せぬ努力はしている。

 襲撃や偵察、調査に野外活動用の外套(マント)や毛布に地図製作用の羊皮紙なども購入していた。

 戦闘班の支出が大きいので目立たないが、内政班も農作業用具、洗剤や石鹸などの生活用品、調味料を中心とした食料品、下着やら衣類の購入にも使われている。

 もっとも、人造人(ホムンクルス)エレナとネブラ、水精霊(ウンディーネ)ミール、デンスを筆頭としたインプ七匹、動く石像(ガーゴイル)ロッシュ……、これらの武装が不要な魔物や、非戦闘員の支度金があるので運転資金には余裕があった。

 あった、あるが、あるけれど……

 


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