表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/124

第84話 窓辺でお茶を



 ◇ ◇ ◇




 北の森でのトレントとの防衛戦が一旦終わって、気がつけば私がこの世界に来てから一ヶ月半ほど経っていた。


 ボトルゴードの町は相変わらず平和で、今日も落ち着いた日常が始まっている。



 つい最近まで森の侵略騒ぎが起きていたにも関わらず、ここまで通常通りなのはやはり、この町の様々なギルドの働きによって直接的な被害が少なく済んだからだろうか。

 それとも年間を通しての、不定期に繰り返される迷いの魔樹を先方とした森の侵略が、わざわざ言うほどでもない辺境の常識となっているからだろうか。これから先も収束宣言は出せても終息宣言は出せない状態が続くんだから……。


 まあ、あれこれ細かいことを気にしてもしょうがない、今の平和を楽しむのが一番ってことかもしれないね。




 しかしあれだけ毎日、北の森を駆けずり回って魔物や魔樹と格闘していたにも関わらず、期待したほどステータスが上がっていない。


 ラグナードは格上なので、私の『鑑定Lv1』では本人の協力があってもステータスを見れないから、私とリノの二人分のみになっちゃうけど、改めてステータスを確認してみたら……。




 種族 エルフ


 名前 ローザ


 年齢 16才


 武術スキル 『短剣術Lv1』←new!『棒術Lv1』←new!


       『投擲Lv1』←new!


 魔法スキル 『火魔法Lv2』『水魔法Lv1』


       『聖魔法Lv2』『支援魔法Lv1』


       『風魔法Lv2』←level up!


 身体スキル 『魔力感知Lv3』←level up! 『魔力操作Lv3』


       『魔力強化Lv3』『身体強化Lv1』


       『隠密Lv1』『俊足Lv1』『暗視Lv1』


       『精神耐性Lv1』『幸運Lv1』


       『味覚強化Lv1』『嗅覚強化Lv1』


       『視覚強化Lv1』『聴覚強化Lv1』←new!  


 技能スキル 『鑑定Lv1』『索敵Lv1』『採取Lv1』


       『マップ作成Lv1』『料理Lv1』



 一応、順調に増えてはいる。


 魔法が得意な種族なのに基本魔法の内、『身体強化』だけは中々レベルアップしないのは何でだろうとは思うけど。


 劇的に強くはなっていないけど、念願だった武術スキルも三つに増えたし、身体スキルもずっと欲しかったスキルの内の一つである『聴覚強化Lv1』が新たに取れていたからよしとしよう。


 まあ、聴覚スキルについてはアレだよね、スライム製の全身タイツという名の絶対防御スーツを着た時に、耳まですっぽり覆い隠しちゃう仕様だったから、よく音を拾おうとして感覚を研ぎ澄ませていた結果だよね。

 着用するのは恥ずかしかったけど、こんな副産物があるなら着て良かったんだと思おう。


 そろそろ『忍び足』スキルも取れてるかと思ったんだけど、そっちはまだダメだったみたい。う~ん、これもまた引き続き頑張るとしますか。





 そして、リノのステータスは……。



 種族 人族


 名前 リーノ


 年齢 15才


 武術スキル 『短剣術Lv1』『棒術Lv1』『長剣術Lv1』←new!


       『投擲Lv1』←new!


 魔法スキル 


 身体スキル 『魔力感知Lv1』『魔力操作Lv1』


       『魔力強化Lv1』←new!『身体強化Lv1』←new!


       『暗視Lv1』『幸運Lv1』


       『味覚強化Lv2』『嗅覚強化Lv2』


 技能スキル 『解体Lv1』



 という結果になっていて、新たに増えたスキルは同じく多い。地道な練習と実戦での経験が積み重なり、習得を早めているんだろう。

 ずっと目標にしてきた基本魔法の習得残り二つ、『魔力強化Lv1』『身体強化Lv1』もようやく取れたしね。よかった。




 ただ私と比べると、スキルの伸びがいまいちだなあ。いや、本人はこんなに短期間で増えるとはって、すごく喜んでいるんだけどね。結構スキルの数に差が出てきたというか……?


 まあ、推察は出来ますけどね。私の方が増えていっているのは多分あれですよ。

 エルフという、種族的には八十歳が成人なのに私が十六歳で、まだまだ育ち盛りの幼女だから……ですよね多分っ。いまだにお子様扱いは慣れないし、受け入れがたい事実ですけどっ。


 生まれ歳はひとつしか変わらないのに、人族のリノは十五歳で成人済みだから成長しにくくなっているってことで……。



 努力は裏切らないって世界で、やればやるほど結果が出るとはいえ……う~ん、渋いよねぇ。


 二人で毎日頑張ってるんだけど、一ヶ月くらいでは中々目に見える強化は難しいなぁ。

 少し努力すれば割と簡単に新スキルは取れるとはいえ、レベル1だと多少器用になった程度で目に見えて強くなる訳じゃないし。せめてレベル2にまでは、サクサク上げていきたいんだけどね。


 でもまあ、全く何も変化がないっていうわけじゃないし、挫けずに少しずつレベルアップ目指して努力していこうと思う。







 ――さて、今日は冒険者の仕事をお休みする日。


 迷いの魔樹に始まる森の侵略から町を守るのに忙しい日々を過ごしていたので、このところは三日に一度、休日にするようにしている。


 早朝に一件、用事を済ませてから、採れたての白チーズ茸を持って久しぶりに本屋のシルエラさんのところに向かう。

 色々と心配かけたからね、エルフらしく茸好きな彼女のために、このお土産を選んだんだ。きっと喜んでくれると思って……。




 ブラブラと一人で町中を歩き、ほどなくメイン通りにある目的の本屋さんに着いた。

 盗難防止の魔法陣が刻印されたドアを開け、明るくきれいに整理整頓された店内に入るとすぐ来店に気づいてくれる。


「あら、いらっしゃい。お久しぶりね」


「はい。お久しぶりです、シルエラさん」


 相変わらず神々しくてお美しいですね! お声までうっとりするほどの美麗さで、一言お話するだけで至福の時を味わえます……もう、素敵っ。




 さっそくいつものように、カウンターの奥にある小さな中庭が見える小部屋に通してくれた。


 お土産の白チーズ茸を渡し、すごく嬉しそうに受け取ってもらえて満足したところで、涼しげな風が通る窓際のテーブルでお茶をいただくことに。


 今回ご用意していただいたお茶は、紅茶にドライフルーツを入れて蒸らして作る、ホットドライフルーツティー。

 蒸らされて少しふっくらしたドライフルーツごと丁寧にカップに移してくれた。


 飲み物としてもフルーツとしても楽しめる、デザートティーをシルエラさんと二人でゆっくりといただけるのって、本当、贅沢だよねっ!


 口に含むと、さわやかな香りとほのかな甘みが上品で……。


「とっても美味しいです!」


「よかった。私のお気に入りのお茶なの」


 シルエラさんも向かいの席でニコニコと微笑みながら、ゆったりとカップを傾け、じっくり味わっているのが分かる。本当にお好きなんだなぁ、美味しいもんね、これ。


 紅茶の中のフルーツも華やかできれい。でも、これも食べられるので、スプーンで掬って食べてみる。


「半生の食感が楽しくって、クセになるおいしさですねぇ」


「ふふっ、ローザも気に入ってくれて嬉しいわ。そうそう、こちらも食べてみてね」


 そう言ってお茶請けに、初めて目にする果物をいくつか出してくれた。



 ――これがまた、とっても美味しかったんだよね!!






いつもお読みいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ