第41話 魔力感知と身体強化
「じゃあリノ、明日からよろしくね」
「はい、ようやく一緒にパーティー組めますもんね! こちらこそよろしくです!」
「スライム講習会」が終わってすぐ、リノは念願だった武器を手に入れた。
ギルドを出て一番に、鍛冶屋まで引っ張っていったのは正確だったね!
でなきゃ、美味しそうな屋台の匂いに釣られまくっているリノが、武器を手に入れる前に、また食べ物に散財してすっからかんになってたよ!
講習会の参加料を受け取ったのにプラスして、スライムの素材を高額買取して貰えた事もあり、一時的にまとまった金額が手元にあったので、短剣を買う事が出来た。
最低限だけど装備を揃えられて良かったぁ。これで明日から一緒に冒険できるね。
いつのまにか両手に串焼き肉を持っているリノと、狩場の相談をする。
「せっかく学んだことだし、スライムの狩りに行く? 安全だし稼ぎもいいし……」
「あ、スライムだと食べれないしお腹すいちゃうんで、北の森でお願いします! 前にローザが話してくれた、果樹がいっぱいあるところ。そこに行って、お腹いっぱい食べてみたい! 私、お肉も好きですけど、甘いものも大好きなんですよっ。あー楽しみ!」
………………。
――食べ放題のお店に行く話してたんだっけこれ?
「……一応、メインは依頼をしに行く事だからね?」
「うふふっ、もう、分かってますよぉ。じゅるりっ」
……全然説得力がないんだけど大丈夫かな!?
「今日は魔法の練習は無してゆっくり休んで。北の森は危険だし、明日に備えよう、ね?」
「はいっ、分かりました! あとほんのちょっとだけ食べたら、私も帰って準備しますね!」
今度は、甘草を練り込んだお菓子を袋一杯買い込んで幸せそうにモグモグしながら、うんうんと頷いていた。
「ま、まぁ、程々にね?」
一抹の不安を残しながらも、明日は私の泊まっている宿で待ち合わせをしてから、北の森に向かうことを約束して、その日は別れた。
◇ ◇ ◇
宿屋での夕食後、今日借りてきた基本魔法教本を初めから読み始める。
まず、基本魔法教本を読み解いて訓練すると取れる、『魔力感知』『魔力操作』『魔力強化』『身体強化』の四つのスキル。
自力でマスターした『魔力操作』や、スキルポイントで取った『魔力強化』などすでに獲得済のスキルもあったけど、効率的な魔力操作の仕方や魔力上限値の増やし方など様々なことが書いてあり、興味深く読んでいく。
この世界の生き物は全て、四属性魔法の素質を持って生まれるが、魔力総量が極僅かなものが大半で、その人の魔力値を上回る魔法は覚えることはできない。
生物であれば生命維持の為に、血液と同じように体内魔力も使われるため、スキルとして覚えられるほどの魔力が残らないかららしい。
だがそれを覆す事が出来るのが、基本魔法の地道な訓練である。
体内魔力を空っぽになるまで操作して使い切る。それを繰り返すことで、魔力総量を少しずつ増やしていける。
ただし、魔力は生命維持に支障をきたす程、使いきることはできない、枯渇寸前で気絶などする前に、自然と使えない状態になる……。
と、限界が来るとどうなるのかが書いてあって安心した。
いままではそこら辺が分からず、怖くて無意識に少しの余力を残して使っていたんだと思う。
だけどこれを読んで、ギリギリまで使いきっても大丈夫だと分かったので、毎日寝る前に必ずやっていこう。
『魔力感知』は、魔力の核や魔力量を感じとれるスキル。
この世界の動植物及び魔物は全て魔力を持っており、多種多様な魔力を感知することができるほど、習得が早くレベルもアップするらしい。
魔物にする以外に、積極的にこれをやってなくて、特に人族は避けまくっていたから、人を感知するとか考えた事なかった。
シルエラさんにも指摘されたけど、これがスキルとして取れてなかった原因みたい。
なので今日の午後は、町を歩いている人達の魔力をこっそり感知してみたり、「スライム講習会」の時にも、人や魔物以外にも、動植物を魔力感知し続けていた。
そうやって鍛えた甲斐があって、気がついたら取れてたんだ、『魔力感知Lv1』が……スライム狩りの前までにね!
それまでも魔物のは感知出来てたんだから、すぐスキルとして取れる下地があったんだと思う。
魔物の中でも弱く魔力量が微弱なスライムも、魔力感知で弱点が分かり、一撃できれいに素材の損傷も少なく倒せた。いい値で売れたし、一石二鳥だったよ!
それに、初めて人を魔力感知したけど、何かみんな、見られてるって気付いてないみたい。レベル差で気づくとかあるかもしれないけど、今のところは大丈夫そうなので、これからもこっそり感知させてもらってレベルを上げていこうと思った。
『身体強化』については、他の三つのスキルがすでに取れている事と、魔法書があるので迷走しなくてすんだ。
特に問題もなく、一時間ほどであっさり取れたよ!
で、現時点での私のステータスは、こうなった。
種族 エルフ
名前 ローザ
年齢 16才
武術スキル
魔法スキル 『火魔法Lv2』『水魔法Lv1』
『聖魔法Lv2』『支援魔法Lv1』
『風魔法Lv1』←new!
身体スキル 『魔力強化Lv2』『隠密Lv1』『俊足Lv1』
『精神耐性Lv1』『幸運Lv1』
『暗視Lv1』『魔力操作Lv2』
『味覚強化Lv1』『嗅覚強化Lv1』『視覚強化Lv1』
『魔力感知Lv1』←new! 『身体強化Lv1』←new!
技能スキル 『鑑定Lv1』『索敵Lv1』『採取Lv1』
『マップ作成Lv1』『料理Lv1』
スキル、結構増えたねぇ。
こうやって少しずつレベルアップしていくのを『鑑定』で確認出来るのは、やっぱり楽しい。
もっと経験値を増やして、バンバン強くなって行きたいな――。
いつもお読みいただきありがとうございます。




