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第31話 スキルが増えた



 リノが帰ってから、いつものように魔法の練習をする。


 今日はいっぱい魔力を使ったから、総残量も少なかったらしくすぐ使いきったので、少し早いけどもう休む事にしよう。




 さて、寝る前に、今の私のステータスを『鑑定』してみようかな。




 種族 エルフ


 名前 ローザ


 年齢 16才


 武術スキル


 魔法スキル 『火魔法Lv2』『水魔法Lv1』


       『聖魔法Lv2』『支援魔法Lv1』


 身体スキル 『魔力強化Lv2』『隠密Lv1』『俊足Lv1』


       『精神耐性Lv1』『幸運Lv1』


       『暗視Lv1』←new!『魔力操作Lv1』←new!


       『味覚強化Lv1』←new!『嗅覚強化Lv1』←new!


 技能スキル 『鑑定Lv1』『索敵Lv1』『採取Lv1』


       『マップ作成Lv1』『料理Lv1』



 

 ギルド登録を偽名で済ませてから、さりげなく名前の項目に偽名が表示されるようになったんだけど、これってどうなんだろ?

 定着しちゃったの? まあいいけどさ。



 スキルは順調に増えていってるね、うれしい。


 この街に到着して初めて取った『暗視Lv1』と『魔力操作Lv1』。


 それに加えて五感のスキルのうち、狙っていた視覚強化と聴覚強化はないものの、『味覚強化Lv1』と『嗅覚強化Lv1』がいつの間にか取れていた。


 何でだろ? 謎だ……。 


 取れたのは嬉しいんだけど、特に味覚と嗅覚は訓練してなかったんだけどなぁ?

『料理』スキルを持っている事とかが関係してて、取りやすかったんだろうか?


 そして今日もレベルアップしたスキルはなしか、残念。いまだに一つもアップしてないって……どんだけ経験値が必要なんだ、これ新しくスキルを取るより難しいよ。


 『索敵』、『隠密』、『マップ作成』なんかは、宿で一人になるとき以外、ほぼ常時発動させてるし、毎日ハーフマラソンぐらいの距離は『俊足』スキルを使って走ってるんだけど……まだまだ足りない、もっと努力しろってことなのかな?


 まあ頑張るけど、明日、から、ね……おやすみなさい……。




 ◇ ◇ ◇




 そろそろ視覚強化と聴覚強化のスキルを覚えたい今日この頃。


 中々計画も通りいかないけど、実地訓練も兼ねていつものように北の森に行きますか!




 毎日活動しているからか、段々と北の森のことや、そこで活動している冒険者たちの様子が分かってきた。


 冒険者の多くは、主に町の近くの森から活動拠点を伸ばしていっているので、10km 以上離れたところで活動している私と活動地域が被らないのは前にも確認済み。


 確かに森の再生能力や一度に持ち運べる量を考えると、それで十分やっていけるんだよね。

 

 それに活動時間も違う。


 大抵夜遅くまで有り金叩いて酒場で騒いでお昼前から活動し出すことが普通で、朝早くから冒険者ギルドで依頼の受付をしなくてよくなってからは、早朝から活動するのは珍しくなったみたい。


 10km先が稼げる狩場だったらこうはいかなかっただろうけど、近場と収入的には変わらないしね。


 午前中は魔物討伐をしながら採取するって決めてから、街道を行かずに巨木群のずいぶん手前から森の外周周辺に入り、移動するようにしている。


 巨木群につく前にいくつかの戦闘をこなしていくんだけど、よく出会うのはやっぱりゴブリンとポイズンラットの群れと、ホーンラビット。


 ホーンラビット以外は毎日狩ってるのに、全然減ってる気がしない。前は戦闘を避けてたけど今は積極的に狩りに行っているのにね!


 だいたい3体から6体で固まって移動しているのを狙って不意討ちするので、これくらいの数なら楽に倒せるようになってきたよ。

 

 今こうやって討伐している魔物は、弱いのばかりで単価も安い。


 数をこなさないといけないので労力に見合わないし、何より地味なので忌避されがちだけど、『索敵』で居場所を見つけて効率よく討伐出来る私にとっては無理せず比較的安全に狩れる都合のいい魔物なんだよね。


 常設依頼だし規定数に達したら買取に出すことにしている。

 数日前まで、余裕なくてすぐ売るしかなかったことを考えると、少しずつだけど前進しているんじゃないかな!


 

 今日はギルドから依頼された、迷いの魔樹を討伐しに向かってるんだけど、やっぱりというか、さっそく団体さんのお出ましですよ。


 前方にゴブリンの集団がいて、こっちに向かって来てる。


 いつものように『索敵』で見つけたんだけど、なんか一体だけ他の個体と違う。上位個体なのかな、初めて見たけど反応が強そうだ。


 でも、散々ゴブリンは倒してきたし、奇襲を掛ければいけるはず!


 まずはリーダーであろう、例の上位個体から倒す。強さが分からないので、私の持ってる中の最大魔法で先制する事にした。


 ここも下草が生い茂っているけど、あれから命中率も上がっているから、火魔法で一番威力の強いのを使うよ。


 来た。


 ロングソードを持ってるのか。ゴブリンソルジャーかな。接近戦にならなければ怖くない、なので……。


火炎噴射(フレイムジェット)』!


 先制して撃った攻撃がゴブリンソルジャーの上半身に命中し、炎を纏ったまま吹っ飛んでいった。


 おおっ、ちょっとやり過ぎちゃったか、『火矢』で十分だったのかも。

 魔石もどっかいっちゃたねこれは、後で探さなきゃ。


 リーダーを倒されて一瞬動揺したゴブリン達も、すぐに奇声を上げ、棍棒を振り回しながら押し寄せてきた。


 慌てず、一匹づつ『火弾』で倒していこう。


 なるべく頭部に当たるようによく狙って……。


火弾(ファイヤーショット)』!


 よし、命中した!


 やっぱり木の上からの攻撃っていいね。周りがよく見えるし向こうの攻撃が届かなくて安全だから、こうやって練習できるし。


 結局、一度も外すことなく全てを殲滅することができた。

 これはもう、ノーコン返上してもいいんじゃないかな! 腕を上げたんじゃない、私?


 飛んでいったゴブリンソルジャーからも魔石を回収し終えると、最後にロングソードを拾った。


 ゴブリンが持っているのにしてはいい状態の剣で、これは少し研ぎ直しに出せば使えるかもしれない。


 お金に替えてもいいし、せっかくだからこれも持って帰ろう。

  




いつもお読みいただきありがとうございます!

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