ヒカリ番外編1
「銭君お疲れ様」汗だくで疲れた顔をしている銭君を労わって声をかける。
「ああ、ヒカリありがとう」
銭君は今野球部に所属している。4番でピッチャーだから凄くカッコ良くて見惚れてしまう。
「今日もホームラン打ったしノーヒットノーランだったね」と物凄い活躍ぶりに敬意さえ持ちながら、ちょっとビクッとしながら声をかける。
「梨園高校は弱小チームだからキャプテンの俺が活躍しないと甲子園なんて夢なんだ」
その噂は聞いている。何やらプロのスカウトもみんなドラフト1位指名するだろうと地元の新聞に載るくらいのちょっとした有名人である。
銭君は言った「ソフトテニスの方はどうだ?」
ヒカリは「全国は難しいかな 予選で結構苦労したし」と答えた。
そして「それにしても暑いね」と。
銭君も軽く息を切らして変な咳をしている。「私、ジュース買っ」
言い終わる前に「あ、俺 飲み物買ってくるよ、うん」と言って疲れた身体に鞭打ってしまうのでは? と心配になる程ダッシュで自販機コーナーに向かった。銭君ホントに優しいな。
「ヒカリ、ゴメン自販機に一本しか売ってなかった」
「そうなんだ」と答えた、がヒカリの妄想がここで全開になる。
(分かってるの、男心は。銭君カワイイ。私と間接キスがしたいんだよね)
銭はそんな事全く考えてない。そもそもこのお話は……
「ほらヒカリ、飲み掛けだけど、大丈夫?」
「うん! ありがとう」
えーと銭君がペロッとしたところはここかー! いただきまー!
って なんじゃこりゃー! ヒカリは目覚めて、そして洗面所に大量に消化されてない酢豚ごとゲロゲロ吐いた……。
そこに爺が来てニヤニヤしながら「ヒカリ 媚薬の効果はどうじゃった?」
「爺 お前のせいか 死ねー」と爺さんを夜空の星にした後、死ね 死ね 死ね と 石黒銭と書かれた藁人形に5寸釘ぶっ差して何度も打ち付けるのを繰り返した。「全くなんてディテールに込んだ夢なんだ。大体私がソフトテニスなどやるわけがなかろう! スコートの中身を覗く男どもが大挙して私のバージン狙うだろ! 超絶美少女なんだから」
これは誰にも言えない夢だ…… だが仲間に秘密を作るのは良くない 学校で銭を半殺しにしよう。
はぁはぁと息を切らせながら遅刻せず学校に行って銭の顔がパンパンに腫れるまで殴った。
「ヒカリ 俺が何かしたかよぉ」
銭は生まれて初めて泣いた。




