この期に及んでまだ誘う?-2
車出すから久しぶりに知人に会いに行こうよと妹から電話が。――ちなみに知人が住んでいるのは「念佛宗」のセミナーがあったのと同じ県です。
ちらりと「まさかねえ?」とは思いつつ、その件ははっきり断ったんだし、子どものころから可愛がってくれていた知人には会いたいしで、了承した私。
出発日の数日前に、タイムスケジュールを電話で確認したところで驚きの回答が。
「午前中にお寺の掃除をするから、朝早いよ」
いやいやいやいや、え?
濡れ落ち葉の妹の旦那がついてくるのは予定調和として、寺の掃除ってどういうこと?
「アンタたちが掃除するのは勝手だけど、その間アタシはどこで時間をつぶせばいいわけ?」
「え?」
妹の中では私も一緒に掃除をすることになっていたんだそうな。
清掃の参加は三人一組でという決まりだから、らしい。どこまで本当なんだか。
「じゃあ行かない」
すかさず「(私が行かないと)知人が悲しむ」と食い下がってくる妹。
知人をダシにどうにかセミナー会場に連れ込もうってか、悪知恵の働くことで。
「――分かった。じゃあ私は高速バスで行くから、掃除が終わったアンタたちと合流すれば良いでしょ。何時に掃除終わるの?」
すると「それだと三人一組ガー」とかグズグズ言い出した妹。
すぐさま高速バスのサイトを確認して、到着予定時間を読み上げ、勝手にタイムスケジュールを決めていく。
「じゃあ、チケット取るよ?」
結局、行かないことになったらしい。
あれ? 行かないと知人が悲しむんじゃなかったっけ?
――ああ、口から出まかせか。
洗脳ってすごいなあ。




