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「十八願に会え」?

 BAがドヤ顔で繰り返す「十八願に会え」。

 肝心の「十八願」とはじゃあ何なのかと言えば、浄土真宗が特に大切にしていると言われる「浄土三部経」の一つ、浄土真宗が特に重視する『無量寿経』の〈上巻〉に記載されている、四十八ある「願」(=誓い)の一つで、最も根幹とされている「願」でもあります。


 その原文は、

設我得佛(せつがとくぶつ)十方衆生(じっぽうしゅじょう)至心信楽(ししんしんぎょう)欲生我国(よくしょうがこく)乃至十念(ないしじゅうねん)若不生者(にゃくふしょうじゃ)不取正覚(ふしゅしょうがく)唯除五逆(ゆいじょごぎゃく)誹謗正法(ひぼうしょうほう)


 これを書き下し文にすると(諸説あります。今回は私好みのものをチョイス)、

()(われ)(ほとけ)()とも、十方(じっぽう)衆生(しゅじょう)至心(ししん)信楽(しんぎょう)して、我が国に(しょう)ぜんと(ほっ)し、乃至(ないし)十念(じゅうねん)()(しょう)ぜずば、正覚(しょうがく)()らじ。(ただ)五逆ごぎゃく誹謗正法(ひぼうしょうほう)とを(のぞ)く」


 これを私なりに訳すと、

「もし私に仏になれるチャンスがあっても、あらゆる方角あらゆる場所の一切の生きとし生けるものが、まごころをもって仏を信じ願い求め、浄土に生まれ(変わり)たいと望んだとして、乃至(ないし)十念(じゅうねん)、もし(その一切の生きとし生けるものが浄土に)生まれ(変わら)なければ(=望みがかなわなければ)、(私は)正しい悟りを得まい。ただ、五逆の罪と仏法を(そし)る罪を犯した者を除く」

 という誓いであることになります。「乃至(ないし)十念(じゅうねん)」をスルーしたのは勿論、わざとです。


 「乃至(ないし)十念(じゅうねん)」にこそ、法然(浄土宗)と親鸞(浄土真宗)の解釈の違いが表れているからです(独断と偏見)。


 ところで「十方(じっぽう)衆生(しゅじょう)」と言う時の「十方」は「四方八方」の「八方」に「上下」を加えたものですが、これにより「十方」は物理的な「十の方角」と、そこから転じて「あらゆる方角」という二つの意味を勝ち取ったようです(byコトバンク)。同様に「十念」もまた、物理的な「十回」の「念仏」(=南無阿弥陀仏のこと)と、そこから転じて「十分」な「念仏」といった二つの解釈が成り立つのではないかと思います(独断と偏見)。――実際には、「乃至(ないし)」と結びついた「乃至(ないし)十念(じゅうねん)」を「最低でも十回以上の念仏」と解釈するのが一般的であるようですが。

 ちなみに「念佛宗」が「念仏」を何かと十回ワンセットにしているのも、恐らくこの「十念」のせいだろうと(せめてその程度には経典を目にしたことがあるのではないかと)信じたい気がしないでもありません。


 ただ、法然は「往生には一心に念仏を唱え続けることだけが必要だ」(=専修念仏(せんじゅねんぶつ))と説いていますから、「十念」を「(往生するに)十分な念仏」、そして「乃至十念」を「最低でも(往生するに)十分な念仏」と解釈したのではないかと思いたいような(未練)。


 一方、自力(=往生目的で人が行なうありとあらゆる活動)を認めていない親鸞は、「十念」をあくまでも往生が確定した後の「報恩(=恩返し)の念仏」と解釈しています。こちらも「十念」を「(恩返しに)十分な念仏」、そして「乃至十念」を「最低でも(恩返しに)十分な念仏」と解釈したのではないかと思いたいような(未練)。


 何はともあれ、法然や親鸞が生きていた時代から既に浄土宗や浄土真宗にとって重要視されてきたと言えるこの「十八願」を、勝手に「オツムテンテン」と結びつけることで、さも自分たちだけにそのクリア方法が伝承されている誓いであるかのように、38万円も取ってドヤ顔で披露するのが「念佛宗」なのです。

 下手に独自の解釈とか披露すると、利用されそうで怖いな、と思いつつ。

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