3話
家に着き裏から車を入れると、商店裏口の倉庫から商店街のおばちゃんたちが異なるこちらを覗いてる。
どこで話が伝わったか分からないが、変な噂が広まらないことを願う。
「店長、私に任せて」
翔子さんが車を降りておばちゃんたちの元へ向かうが、翔子さんが街一番のスピーカーなので余計に変な噂が広まらないか心配。
「エマさん、おばちゃんたちにつかまると大変だから、トランクの荷物は俺が運ぶから先に家に入って、鍵これね」
「わかりました」
トランクから荷物を降ろしていると、おばちゃんたちが獲物を狙うように俺に近づいてきた。
「おばちゃんたち勝手に店のバックヤードに入らないでよ」
「きょうちゃん、おばちゃんたちきょうちゃんが心配だったのよ」
「きょうちゃん、可愛い子じゃないおばちゃん応援する」
「水商売のお姉さんより良いと思うなー」
「おばちゃんたち店はいいのかよ」
「大丈夫よー」
「きょうちゃん、社長に成ったんだから早く結婚しないと」
「勝也だって結婚してないじゃん」
「そうなのよ、きょうちゃん良い人居ないかねー」
あーだめだなに話してもおばちゃんたちのペースに持っていかれる。
「今は忙しいからじゃあ」
「きょうちゃん待って」
呼び止めるおばちゃんたちを無視して家に駆けこむ。
「クソババアども、下手なネットの炎上よりきつい、暇なら店先の掃除でもしてろってんだ」
玄関に入り靴を脱いでいるとエマが。
「右京さん、ごめんなさい」
「なにが?」
「私のせいで・・・」
「気にしないで、あの連中は救急車のサイレンの音が鳴ったって大騒ぎするんだから」
「そうなんですか?」
「それよりこの後、昔の連れが大騒ぎするけど、エマさんに絶対近づけさせないから」
「連れ?」
「昔からの友達」
「右京さんの友達なら大丈夫ですよ」
「いやいや、碌な奴らじゃあ無いから、エマさんは2m以内に近づいちゃだめだよ」
「はーい」
「エマさん始めて笑ったね、ここに居れば心配ないから」
「右京さんありがとうございます、助けてもらったのが右京さんで良かった」
やべーすっごく可愛い、惚れそう・・いや待て待て違うだろちゃんと親元に返さないと。
「エマさんの部屋を用意するから掃除手伝って、妹の使ってた部屋だからベットもあるし、昔の妹の物もあるけど自由に使っていいから」
「妹さんいるんですか?」
「居るよ、今は都内に住んでるよ」
「いいなー兄妹がいるの」
「エマさんは兄弟はいるの」
「いえ、私の種族は」
「種族」
「いえ、家族はお父さんとお母さんだけです、でも村の子供は兄弟みたいなものです」
「じゃあ、ここの商店街と変わらないな、だからいちいちジジババがうるさいんだよ、だから昔からの友達は遠慮がなくて、嫌なことされたら俺に言ってね電柱に縛り付けてやるから」
「大丈夫ですよ、私こう見えても強いですから」
「頼もしいね、じゃあ掃除して買った洋服しまおうか」
「はい」
2階の元妹の部屋見せると。
「わー可愛いお部屋ですね」
「ちょっと家具は古いけど机にドレッサーもあるから使ってね、たんすの小物や洋服も使って良いよ、ちょっと古いし妹と体型違うから部屋着にでも使って」
「大丈夫だよ、もう4,5年使ってないから、片付けろって言ったら捨ててだと」
「下着も有りますよ」
「ごめん、下着の引き出しはそのままで、変に触ると俺が妹に殺されるから」
「ここは封印しておきますね」
「そうしてくれる、俺掃除機かけるからシーツと枕カバーやっちゃて」
俺が掃除機をかけると、エマはじーっと掃除機を見てる。
「掃除機しらない?」
「はい、初めて見ました」
どんな田舎で育ったんだろベラルーシってどんな国かわからないない、後でネットで調べるか。
妹のアルバムを見つけては手が止まり、ぐちゃぐちゃなクローゼットの中身を使ってない部屋に移しなんだかんだで時計を見れば5時ちょっと前。
「ごめん、翔子さん帰る時間だから、ちょっと店に行ってくるね」
「はい、後は私一人で大丈夫ですから」
「ちょっと行ってくる」
「いってらっしゃい」
店に良くて案の定、今度は商店街のジジどもが来ていて、翔子さんが防波堤になっていた。
「おら、おじさんたち酒屋で油売ってないで仕事しなよ」
「一途前に言いやがって悪ガキが偉くなったもんだ」
「まったくだ、ちょっとこないだまで夜中までブンブンうるさかったのに」
「何年前の話だよ、それに勝也だって一緒だろ」
「なあ、美人の外人さんに挨拶させてくれよ」
「挨拶なら近いうちに行くから待ってろ」
「良いじゃんかよ挨拶くらい」
「うるせーな、商売の邪魔だよ、あんたらが居ると客が入ってこなくなる」
配送の山下くんたちも戻って来たので報告を聞いて明日の積み込みをして、当番以外は上がってもらう、アルバイトのさとみちゃんと交代で翔子さんも上がってもらうつもりが、勝手に俺の家にさとみちゃんと上がって行った。
「あいつら人の家を勝手に」
「社長、諦めましょう」
「まったく、俺の周りの女はエマさんは違うといいな」
「社長、心の声が漏れてます」
「上がれる奴は上がれ、俺はちょっと晩飯買ってくる」
今日は何にするかな、エマさんの好みがわからないからな、うんー卵は平気だったからかつ丼で良いかな、肉屋でかつを買って作るか。
商店街を歩いただけで捕まりそうになるが華麗なスルースキルで肉屋に到着、肉屋でも気にせずかつだけ買って逃げ帰ってきた。
八百屋の勝也が叫んでいたが華麗にシカト、あいつは近づけさせない、あいつは自分ところの売ったフルーツを高い金出してキャバクラで食ってろ。
家に入るとまだ2人が居るみたい、片付けの邪魔だろ。
「2人は何やってるの?翔子さん帰って晩御飯作るんでしょ、さとみちゃんも働かないなら時給減らすよ」
「はーい、社長玄関の鍵かけちゃダメですよ」
「なんでだ?」
「社長がエマさんに影響を与えるエマHなことしないように見に行くためですよ」
「しないよ、とっとと働け」
「やっと行ったエマさんごめんね、片付け終わりそう?」
「はい、もう少しで終わります」
「じゃあ、晩飯の準備しちゃうから、片付け終わったら来て」
「私手伝いましょうか?」
「いいよいいよ、今日は簡単な物で悪いけど我慢して」
「すいません」
さてと米を炊いてカツ丼を作るかな、サラダが無いなしょうがないカツ丼とおしんことインスタントのお吸い物で良いか。




