18話
勝也と別れ家に帰って来ると、リビングの電気が付いておりエマはまだ起きているようだ。
「エマ、ただいま」
「お帰りなさい」
台所で水を一杯飲んでソファーでテレビを見ている、エマの隣に座った。
「あれ、右京さんからなんか雌の匂いがする」
「えっ・・・・」
「どおいう事か説明してください」
「あーと、商店街の会合が終わってから勝也がどうしてもキャバクラ行きたいと言って聞かなくてしょうがなくちょっとだけ付き合って行った。だけど俺はエマが居るから勝也を置いて先に帰ってきた」
「でもキャバクラって女性がお酒作って飲むだけのところなのになんで動物みたいに右京さんに匂いを付けるの?やっぱろ私のことなんか・・・・」
エマは目に涙を溜めながらすごく悲しい顔をしていた。
「誤解だ、俺はエマを真剣に愛してる」
「でも・・・・」
「本当にすまない、でも信じてくれ浮気はしていない確かにキャバクラは女性が隣に座りお酒を飲むところだ。エマを悲しませることは何も無い、確かに俺がエマの知らない女性と飲むのは嫌だと思う。だけど俺もいろいろと付き合いは有るからどおしても行かなきゃいけない時が有る、特にキャバクラやバーや居酒屋はお客さんだ、でも信じて欲しい俺はエマを絶対に裏切らない」
「ホント?」
「ホントだ」
「じゃあ信じる」
「ありがとうエマ愛してる」
「でも次からは言ってからにしてね。それと今度こんなことが有ったら嘘が解る魔道具を持ってから話を聞くからね」
「へぇ・・・・」
「右京さんも私が疑わしい時は使って良いからね♪嘘ついた罰はどおしようかしらね」
小さな声で鞭打ちかなそれとも針はなって聞こえるけど大丈夫だよね、神に誓ってエマを裏切らない事を誓いますから神様助けて。
「右京さん」
「はい!」
「お風呂沸いてるわよ」
「はい、入ってきます」
俺は逃げるように風呂場に行き風呂につかる。
エルフの結婚観とか詳しく聞いとかないと後で大変だな、さっきのエマは怖かった笑ってるんだけど目は笑ってない、浮気なんかしたらどんな目に遭わされるか分かったもんじゃないな、エマを裏切らない事だけは誓おう。
そして翌日、昨夜はエマを愛してる事を伝える為にちょっと頑張りすぎちゃった。今日は休みだしベッドでゴロゴロ寝て午後からエマと買い物でも行こう。エマも疲れたのかすやすや寝てるしね。
俺も二度寝で寝ていると誰かが階段を駆け上がって来る音がした。
「あれ、寝る前に戸締りは確認したよな」
俺は慌てて飛び起き裸のまま部屋に置いて有るパターを握り部屋を飛び出した。
「お兄ちゃん、気色の悪いもん隠して」
「おおお前なんでここに」
「はぁー実家に帰ってきちゃいけないのか」
「いや、そんなこと無いけど」
「そんな事よりエマさんは」
「ちょっと待て千夏、帰って来るのは良いけど帰って来るなら連絡くらいしろよ」
「ちゃんとメールしたよ」
メールなんか見てないぞってゆうか、昨日からメール見てないやスマホがピコピコ成ってたが見てなかった。
「右京さん大丈夫?」
「あなたがエマさんね、初めまして妹の千夏です」
「ああ、エマ#%$&*$です」
「千夏リビングに居てくれ、エマもシャワー浴びて着替えろ。俺もシャワー浴びてくるから千夏は待っててくれ」
「妹が居るのに一緒にシャワーって何考えてるの?」
「違う!エマに先に入ってもらった後俺が入るの」
「知ってるよちょっとからかっただけじゃん」
エマが真っ赤な顔で風呂場に行っちゃたじゃないか。
俺も着替えを取りに部屋に向かうとなぜか妹が付いてくる。
「なんで付いてくるんだよ」
「自分の部屋行くんだよ」
あ、まずい千夏の部屋エマが使ってた。
「千夏悪い、お前の部屋エマに貸してた」
「そおなの別に良いけど、まさかお兄ちゃん私の物漁ったりしてないでしょうね」
「する訳ないだろう!タンスの上の方の段とクローゼットにはエマの服が入ってるから」
「そお分かった」
俺は着替える前にベッドに倒れ込んだ。
「なんで朝から来るんだよ、それでもピンポンくらい押せよ、あいつ絶対エマが居ること知ってて来た事は啓介叔父さんが話したな、あいつはどこまで知っているんだなんか嫌な予感がする。まずいエマの洋服は千夏の部屋だ」
俺は急いで着替え千夏の部屋に行った。
「千夏入るぞ」
「お兄ちゃん、エマさんの着替えが全然ないじゃん」
「ああ、それには訳があってな、エマが戻ったら話すよ」
「叔父さんから聞いたよ、エマさんは国に帰れないんだってそれならお兄ちゃんが責任もって面倒見ないとダメじゃん、大切にしないで猿ってるお兄ちゃんなんて最低だね」
そんな事を言われ落ち込んでいるとちょうどシャワーを浴び終わったエマが部屋に入って来た。
「右京さんは大変良くしてくれてます」
「でも洋服や下着だって少ないしそれに基礎化粧品が全然ないじゃん、エマさんはそんなに綺麗なんだからケアは大切よ、まったくバカ兄は」
「ちょっと待て千夏は啓介叔父さんにどこまで聞いているか分からないが、今から話すことは絶対に他言無用だ。エマ本当の姿を見せてやってくれ」
「えっ、何の話?」
エマが偽装を解いてエルフの姿に成って髪をかき上げ耳を見せる。
「エルフ?」
「千夏さん私はこの世界の人間ではなく、他の世界のエルフです」
「エマさんエルフなの?魔法使える?肌の色も若干違うのね、年は?」
「いい加減にしろ」
「ごめんなさい」
「いえいえ、千夏さんはエルフを知っていたんですね」
「最近は異世界物ははやりですから」
「千夏は全然驚いて無いじゃないか知ってたのか?」
「知らないわよ、知ってたらもっと早く来てたわよ。私決めた木曜日までここに居る」
「お前仕事は?」
「本当は今日からグアムで撮影だったけど、アイドルの子が問題起こしたらしく撮影は中止」
「それだってお前社長だろ?」
「社員5人しか居ない会社でみんなここに仕事してるから問題ない」
この妹は専門学校卒業後プロのヘアメイクに成りたいと単身ニューヨークに行って修行して去年帰国して個人事務所を立ち上げた。両親が事故に遭ったのも妹のところに行ってついでに南米に行った事で飛行機事故に遭い、両親の遺体と一緒に帰国した、その時はかなり落ち込み自分を責めていた、自分がアメリカなんかに来なければ事故に遭わなかった言っていたが、そんな未来は誰も予想できないし、ましてや妹のせいなんかじゃ無い。
あの時はやっとの思いで千夏を納得させた。俺はアメリカに帰るのは心配だったけど千夏はアメリアに帰り、2年後日本に帰り独立して会社を興した。
「問題無いなら居れば良い」
「そう、エマさん今日買い物行きましょう」
「はい、今日ちょうど右京さんと行く予定でしたので喜んで」
「お兄ちゃんは家で留守番してて、それとお金ちょうだい」
「なんで俺は行っちゃ行けないんだよ」
「女同士で話したい事も有るしね、それと車貸して」
「良いけどベンツはだめだぞ」
「あんな車デカいだけで不便な車なんか乗りたくない、お母さんの軽は売って無いからクラウンしか無いの街乗りに不便だね、仕方が無いからクラウンで良いや」
「どこまで買い物行くんだ?モールなら俺が送ってってやる」
「ま、それでも良いや」
エマはあれよあれよという間に化粧をされ髪を整えられ出発することに、俺はより美しさの増したエマが心配で付いて行くと言ったのだけど千夏に却下され泣く泣く車で送り、何か有ったら電話しろと伝え一人寂しく家に帰る事に。




