11話
朝目覚めると、目の前にエマの笑顔が有った。
「おはよう」
「えっ、エマ・・・・」
俺の左腕に腕枕されたエマを右手でエマの腰を抱いていた。エマは枕を抱いているので2人の身体はくっついていないが完全に俺がエマを抱き寄せている感じだ。俺は慌てて右手をどかした。
「今日海に行くんだよねー」
「エマおはよう、行くよ起きてるなら起こしてくれれば良かったのに?」
「右京さんの寝顔見ててたら起こすの忘れちゃった」
まったく此奴は俺をどんだけ煽るんだ、もしかしてワザとなんじゃかでもそんな不意息では無い。
エマは大人とは言っているが精神的に幼く感じてしまう、そんな弱ったところを襲うなんて俺にはできない、でもいつか我慢できなくて襲っちゃうかも、もう一度俺の精神の為にも話し合おう。
「どうしたの」
「悪い、考え事してた」
なんとか2人はベッドから抜け出しエマは着替える為に自分の部屋へと戻った。
しかし毎朝はキツイな、まるで自分が童貞小僧に成ったみたいだ、だけどエマはいつか帰らなければいけないのだましてや人間じゃないエルフなんだから、そお思っているとすごく心が苦しくなる。
今日は余計な事考えないでエマを楽しませよう。
その為に小田原じゃなくて江ノ島・鎌倉を選んだんだから、最初は小田原にして海見て小田原城見て美味しい海産物を食べて、お土産に干物とかまぼこ買って帰ろうと計画してたけど、バイトの子に私がそんなデート連れてかれたら幻滅しますと言われ急遽湘南方面に変更した。
バイトの子たちがはやりのレストランやパンケーキ屋や水族館などネットで調べてくれて予定を変更した。俺は湘南には良い思い出は無いがエマに楽しんでもらえればそれで良い。そんなことを思いながら俺も実は子供の頃の様に楽しみにしてる。
「エマ準備できたか?」
「朝ご飯食べないの?」
「朝ご飯は途中で買っていくから」
「解った」
「忘れ物ないか?俺の携帯番号書いた紙持ったか?」
「持ったよ」
「財布は?」
「大丈夫、子供じゃ無いいんだから」
「迷子に成ったら大変だから」
「大丈夫だよ、右京さんから離れないから」
「じゃー行こう」
さっそく車に乗り込みエマのシートベルトを確認して車を走らせる。隣では「うーみ、うーみ」と楽しそうにはしゃぐエマがなんとも微笑ましい。
早速高速に乗る前に朝食を買う為にドライブスルーによる、土曜日だけ有って朝から朝食を買う車でいっぱいだ。仕方なく列に車を並べると店員の女の子からメニューを渡される。
「エマは何にする?」
「うんとねー、あっパンケーキが有るパンケーキにする」
「パンケーキは車の中では食べれないから他の物しな、それにもっと美味しいパンケーキ後で食べさせてあげるから」
「ほんと、じゃあこれにする」
朝食を買い、横では朝食を食べながらウキウキしてるエマが今度は「パンケーキ、パンケーキ」とはしゃぎだした、海じゃなかったのか。
しかも高速に乗ったら乗ったで「速い速い」とはしゃぎながら目に映る物何でも聞いて来る、小学生の子を連れて来たみたいで気分は保護者。
それでも運転してる俺に気を使い、自分で飲めるのにストローの刺さったコーヒーを俺に飲ませてくれる。
「自分で飲めるよ」
「ダメ、こんなに速いのだから運転に集中して」
「そっか、ありがとうな」
「今行くところ右京さんも行ったことあるの?」
「あるぞ、昔だけどな」
「どんなところ?」
「行ったことはあるけどほとんど何もしないで帰ったからなー」
「どおして?」
「昔、俺が高校生の頃初めて免許取って勝也たちと一緒に原付で3時間以上掛けて行ったんだけど、向こうの地元のヤンキーに絡まれ喧嘩に成ってボロボロになって帰って来た嫌な思い出しか無い」
「襲われたの?」
「襲われたって言うか絡まれたかな、相手は5人でこっちは3人だったから、それでも何とかやっつけたけど仲間呼ばれそうになって逃げたんだ」
「日本にも盗賊みたいなのが居るんだね」
「居ないよ、たんなる子供の喧嘩だよ」
「そおなの、今度右京さんの為にアクセサリー作ってあげる」
「作れるの?」
「作れないけど付与はできる」
「ふよ?」
「なんて説明したら良いんだろ」
「エマ前見てごらん」
「うわー綺麗、これって海?」
「そおだよ」
「初めて見た、すごーい」
茅ヶ崎から134号を通って海を見ながら車を走らせているがまだ梅雨前だって言うのにやっぱり渋滞してる、それでもエマは海を見てはしゃいでる。
そんな時間も苦に成らないまま、最初の目的地の水族館に着き、駐車場に止めて館内になんとか入ることができた、さすがに土曜日混んでたが無事館内に入ることができた。
館内に入るとエマは子供たちに付いて水槽のガラスに幅りついている、どこの誰だか知らない子供に付いて行ってしまうエマ。
「エマ、どこに行くの?」
「えっ、あれ」
「迷子に成るよ」
「ごめんなさい」
「別に怒ってないよ、一緒に回ろ」
俺のシャツを掴むので、俺はエマの手を取り迷子に成らないように手をつないだ。
「えっ」
「嫌だった?」
「い、嫌じゃないでしゅ」
真っ赤になって噛んだ、なんだろこの可愛い生き物。
それから周りから視線を感じながら、好奇心旺盛なエマの説明役に徹していた。
「あの銀色の動いてる物はなに?」
「あれはイワシって魚が外敵から身を守る為に集団で大きな魚に見せて襲われないように行動してるんだよ」
「すごいね、美味しいのかな?」
「美味しいよ、ちょっと癖があるけど」
それからイルカショーなどを見てイルカが気に入ったエマにイルカのぬいぐるみを買ってあげ、後ろ髪引かれるエマを連れ出し、ちょっと遅めの昼食を取る為にネットで予約したレストランに向かう。




