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27 コイバナ?

「コイバナ、ですか」


 プリメイラ様のお顔がぱやっと輝いた。

 お好きなのね、コイバナ。女子友トークの憧れトップに君臨するコイバナだものね。


「ちなみにソニアの恋のお相手はもちろん国──」

「プリメイラのお話が聞きたいなって」


 わたしの話はどうでもいいので、プリメイラ様の言葉をぶった切った。無礼でごめん。わたしにコイバナなんてない。国王陛下は婚約者だけど、恋の相手ではない。だってわたしは聖女だもの。恋なんて関係なく、権力の道具として扱われるの。わたしは珍しい魔力を持ったただの平民。聖女は血を継ぐものではないけど、貴重な力なので、この国でも光ノ国でも大切に扱うものとされている。国で一番大切に扱うなら、王族の妃にすれば国民全てが傅くから、聖女は王族に嫁ぐものと決まっている。

 王族になれば幸せになるって、どうして皆思うのかしらね?

 勝手にわたしの幸せを決めないで欲しいのだけど、そんなことは誰も聞いてくれたことはなかった。優しくしてくださる国王陛下さえも。わたしは聖女になってから、誰にもわたしの意思を確認されたことがない。聖女はこうするものと決められたルールに従っている。そこに恋をするなんて予定はないの。

 プリメイラ様は私ですか? って自分を指してほんの少し頬を染めた。美人の上に可愛いってすごい破壊力。これに身分と騎士の腕もある令嬢って、どんな恋も思いのままになるはずなのに。お相手が国王陛下だとそれも難しいのね。国王陛下も立場は違うけれど、わたしと同じようなもの。国に縛られた立場では恋も思い通りにならないの。国のために聖女を娶らないといけないの。

 国王陛下にもプリメイラ様にもとても申し訳ない。

 国王陛下は婚約を白紙にするつもりはないとおっしゃっていたけれど、でも恋を手放す必要はないんじゃないかと思う。わたしは形式上の妃でいいから。

 それで離縁でもしてもらえれば。婚約解消ができないんなら、次は離縁を目指すしかないでしょ。ところで王家って離縁できるのかな。聞いたことないけど。


「あー、もしかして、夜会の時に聞いちゃいました?」


 気まずそうに言うプリメイラ様に、わたしは頷く。聞こえたのはちらっとだけで、あとは国王陛下が遮音してしまったのだけど、多分あのときのことで間違いない。

 内容はよくわからなかったけど、失恋したうえにわたしの護衛になったと言っていたので、プリメイラ様は国王陛下に失恋したのに、婚約者のわたしの護衛任務に就かないといけなくなったとかいうお話をしていたはず。


「プリメイラの恋が叶うようにお祈りするわ」

「ありがとう……。でも私の恋はもう終わっているの」

「終わってない」

「ソニア?」

「あきらめないで。いつかわたしが、プリメイラの恋を叶えてあげる」

「だったら早く、ソニアには王妃になってもらわないとね」

「え?」


 諦めたみたいにちょっと笑うプリメイラ様はわたしがときめいてしまうくらい可愛い。そして美人。すき。でもわたしが王妃になっちゃったらダメなんじゃないかな。それともプリメイラ様も離縁狙い?

 そこを問い返そうと思ったところで、馬車の扉がノックされた。

 いつのまにか学校に着いていたらしい。

 プリメイラ様は護衛の顔に戻って、わたしはプリメイラ様と一緒に認識阻害の魔法をかけた。これでそーっと授業に潜り込んで、徐々に解除していくと、いつからいたのかわからないけど出席していたソニアちゃんの出来上がり。やったことないけど多分うまくいくわ。わたしの認識阻害魔法が強くて見つかりにくいって聞いてから、一度やってみたかったのよね。


 でも認識阻害魔法かけなくても、いつもぼっちなんだけどね!

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