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13 課外授業は続くよ

 いつもの、王宮内での課外授業。でもいつもと違うのは、なんとわたしには連れがいるのです!

 浮かれてるわー。

 だってずっとぼっちだったからね。お友達が一緒に居てくれるなんて、うまれてはじめてだからね!

 今まで気を使わずに会話したことなんて、お母さんか実家の近くの商店街の人くらいだったからね。お母さんにも紹介したい。わたしのお友達ですって。でもプリメイラ様は伯爵令嬢だから、うちみたいな田舎は来てくれないか。

 

「お待ちしておりました、聖女様」

「遅くなりまして申し訳ございません」


 今日の課外授業はマナーレッスン。

 教師の侯爵夫人は外務官のお家の方で、侯爵御本人だけでなく夫人も外務に勤しんでいらっしゃる。出張でお留守の時も多いので、教わる時間は無駄にできない。お待たせしてしまったのは申し訳ないわ。とても忙しい方なのに。ちなみに侯爵夫人はわたしのことを聖女様と呼ぶ。間違いではないので、この呼ばれ方にも慣れておかないとね。決して、侯爵夫人が怖いんじゃないのよ。

 聖女は外国のお客様とのやり取りもあるそうで、自国だけでなく周辺諸国のマナーも学ぶ。周辺とはいえ、この大陸にあるのは光ノ国と夜ノ国だけ。あとは小さな集落があるらしいけど、常に魔獣の脅威に晒されていて、観測する間にも人が群れたり滅んだりしているから国とは数えていない。

 ここで外国というのは海の向こう。海、という超えるのがとても難しい、水に浸かった底が見えないくらい深くて大きな湖を越えた先にある、別の大陸に国が幾つかあるの。国によって文化が違うから、お目にかかったときには失礼のないようにマナーを覚えておかないといけない。

 外国語の文書の読み書きは数カ国分、上級学校に上がる前にマスターさせられていて、書物も読まされていたからマナーに関してはおさらい程度。でも挨拶ひとつとっても、目を見て話すのが無礼にあたる国や、頭を下げると服従すると取られる国とか、色々あるから大変。

 それに外国のほとんどの人は、魔法を使えないらしい。本当に使えないのか、光ノ国みたいに使わないのかは、外国の人に会ったことがないからわからないわ。


 侯爵夫人のレッスンは夜ノ国と交流のある四ヶ国の挨拶と日常会話をおさらいして、なんとか合格点をいただけたわ。

 こういう王宮でしか学べないことに関しては、わたしは手を抜かないことにしているの。個人レッスンだから手を抜いたらすぐにバレる。ええ、昔はやりました。諦めてくれないかなと思って。叱られるだけで何も得にならなかったから、真面目に勉強していますわ!

 それに教師役の方々はわたしのために忙しい時間を割いてくださっている方ばかりだもの。迷惑をかけてはいけない。本当なら国のために働く時間をわたしに使ってくださっているのだもの。

 聖女としてお役に立ちたいわけではないけれど、わたしだって国民の一人としての自覚くらいはあるのよ。国費で養ってもらっているしね。


 最後に食事のマナーレッスンとして、侯爵夫人と、ずっとそばについていてくれるプリメイラ様と一緒に、外国のメニューの晩餐を摂った。

 手掴みで串に刺した肉の塊にかぶりつくのがマナーの国って楽でいいわよね。わたしは上品にカトラリーを使うよりこっちの方が好きだけど、はじめてみる食事マナーに、プリメイラ様はびっくりしていた。侯爵夫人は慣れたもので、かぶりつきながらも気品さえ漂わせているのでわたしはまだまだだなって思う。

 国によってはテーブルを使わずに床にお皿を直置きで食べるところもあるらしくて、そんな晩餐ならちょっとお邪魔してみたい。

 そんな外国の話をききながら、侯爵夫人の課外授業は終わった。寮に戻るともういい時間で、疲れているし身支度して寝るので精一杯。

 

 プリメイラ様は寮でもルームメイトとしていつでも一緒なのに、ゆっくりお話しする時間もないのが残念。

 でも眠る前に少しだけ今日の課外授業や、学校の先生のお話しとか女子トークを楽しみたい。折角のお友達なんだもの。プリメイラ様は迷惑じゃないかな。いつも笑顔でニコニコしているから大丈夫なんだと思おう。


 明日は学校が終わったらまた王宮で、今度はダンスの課外授業、明後日は貴族の年譜、さらに次は王宮儀式と、まだまだ続くよ課外授業。はーーー。


 ちなみに聖女のお仕事もぼちぼちやってるのよ。

 朝、登校した後学校の聖堂で祈りを捧げる簡単なお仕事。これは王都に来てからずっと続けている。学校が休みの日には寮から聖堂に向かって、だったりするけど。

 わたしのよわよわ聖女パワーで、国民の皆さんがちょっとだけ元気になったような気がするかもしれないくらいの何か効果があるらしいけど。詳しくは知らん。

 癒しの力を個人的に使うとキリがなくなるから、一旦聖堂で吸い上げて満遍なく行き渡らせるんだって。そういう建前らしいけど、わたしが対人で治癒してもせいぜい気のせいレベルなのに、拡散なんかしたら何がなんだかわかんないくらいに薄まるんじゃないかな。

 とは思っているけど言えない。

 それは神官様のご要望通りです。

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