9話 ドゲドー暇を持て余す。
「木刀は掘る為の道具じゃない。」
大事な言葉ね。コレ。
コレ覚えておかないと、またおかしな性癖をもってしまったヤツラから逃げるように転移するハメになるから。絶対。
はぁ。おぞましい。
夜ご飯も終わったし休もう。
今日は疲れた。
あ~……なんかほんと疲れたな。
今日はハンパなく疲れたわ~。
主に精神的に。
……ただ、寝る前に茶髪ロングさんには一言きちんと言っておかなきゃな。
「木刀は掘る為の道具じゃない。」
リピートアフタミー。
セイ。
ほらはよ。
って、な~に拗ねた顔してやがる。
おいおい? なんだおい。 なにそれ?
茶髪ロングさんったら可愛い系もできるの? できちゃうの?
やだ。キュンとしちゃう。
で、どしたよ。茶髪ロングさん?
お?
一人にして放り出すのが悪い?
二人でイチャイチャしてほったらかしだ?
いや、それはちゃんと特訓してたから。
つい調子に乗って発展しただけだから。
……で、結局なにがしたかったのよ。
茶髪ロングさんよ。
おう?
置いてかれてイラっとしてる時に領主の娘がしつこいから軽く押したつもりが強かった?
……まぁ、急にレベル上がったみたいだしな。
んで?
ほう。
騎士たちが慌て始めて謝ったけど許してくれなかったから、嫌々戦ったのか。
あ~……そうだったのね。
涙目になんなよ。
あ?
痛かったけど、気が付いたら回復使えて何とか戦えたのか。
……まぁ、そりゃ怖いよな。よしよし。
……
いや……でもソレとコレは、ケツには繋がらんだろ?
あっぶねぇ騙されるとこだった。
えっ!?
俺のせいなのっ!? ウソんっ!
俺がドゲドーだから外道っぽくしなきゃと思った?
けど、ひどい事は出来ないから痛くない方法探したらケツっだったって?
お。
お~……
お?
……いや。
いやいやいや、それ外道どころじゃなくて悪魔の所業だろ。
茶髪ロングさん怖いわ~、マジ怖いわ~。
あ。いやガチ泣きはやめて。ゴメン。
悪かったって。怖くない。
茶髪ロングさん怖くない。
可愛いよ、うん。
はぁ? ギュッとしろだ?
しらね~……わかったよ。ほれ。
……なんでニタニタしてやがる?
一瞬で変わり過ぎじゃね?
あ、嘘泣きか?
女って怖いわ~、マジ怖いわ~。
もう寝よう。すぐ寝よう。なんか超疲れたわ。
え? なんで離してくれないの?
茶髪ロングさん?
いや、一緒に寝るの?
別にいいけどさ。
…………ケツ……襲わないよね?
………
ちょっと。
何で今「うん。」の前に間があった!?
その間、意味深過ぎてヤバイんですけど。
怖いわ~。茶髪ロングさんマジ怖いわ~。
あ、ごめん怖くないって。 可愛い。うん。ほんと。
***
おはよう……じょ?
あれ?
なんで横に幼女が寝てる?
いやいや……
「来ちゃった」じゃねーよ。
幼女に押しかけられても嬉しくねーよ。
あ、茶髪ロングさんおはよう。
あれ? 赤毛ちゃんは?
ご飯作ってるのかな?
おい幼女。俺の上にまたがるな。
やめろ。またがるのはやめろ。お前にはまだ三年はやい。
あ~。キャッキャキャッキャすんなよ。うるさいなぁ。
…………
こりゃ、ちょっと男の怖さを教えておく必要があるな。
言う事聞かない幼女にはお仕置きだお仕置き。
ほうれ『ガバっとしてギューの刑』だ。
うへへへへ。
あわくってやがる。
ざまぁ。
大人の男をなめるからだ。
さぁて飯食いに行こうっと。
行くぞ幼女。
お? 幼女どした?
なんでフラフラしてる?
おい? あれぇ?
え? 放っておいていいの?
まぁ……茶髪ロングさんが言うならそうか。ほっとこ。
***
ご馳走様でした。
さて、ここで重大な発表だ。
みんなちゅーもく。
……
俺やる事無くてヒマ。
昨日うすうす気づいたけど、今日の手持無沙汰感はハンパ無い。
どうしよう。もうどうしよう。
そもそもここをヒャッハーしに来たのは女が目的だったしなぁ……なんかもうソレは達成したっていうか、後はチョイチョイ色々味見させてもらえればいいかなって気もするし金も困ってない。
うん。
やる事ないのよ。正直。
で、やる事募集。
なんかな~い?
なんか二人のやりたい事でもいいんだけどさ。
ねぇねぇねぇ。
旅行?
……いや、俺ずっとこれまで旅してきたし。
どっか行かされては倒して。
倒したと思ったら、また行って来いってな。
あ~……まじ社畜だったわ。思い出したくねぇ。
え? 旅行はそれとは違う?
どう違うのよ?
美味しい物食べたり? 見たり遊んだり?
へ~。
一緒に行けば楽しい?
う~ん?
……まぁ、悪くないか。
じゃあ。それにしよう!
あ? 転移は使うな?
いや、べつ構わんけど……
でも馬車とか馬とかだと、多分きみらケツ血だらけになるよ?
いや、引くな。
ほんとだから。
裂けるって意味じゃない。
擦れるの。
いや。茶髪ロングさん。
なぜ目を光らせる?
怖いわ~マジ怖いわ~。




