57話 ドゲドー早期解決目指して戦力分散する。
アルクスとクリスティが複雑な顔をしている……が、気にしない。
多分二人はエリィの事を考えているんだろうが、今の俺にとってはエリィより、赤毛ちゃんと茶髪ロングさんの方が大事だ。
それは自信を持って言える。
後は、
……赤毛ちゃん達が思ってくれているのが本当か。
俺の………この思いが本当か。
それを自分の中で見極めたい。
だから俺はグループを2つに分けることを提案した。
『俺、犬耳ちゃん、猫耳』のグループ。
『アルクス、クリスティ、赤毛ちゃん、茶髪ロングさん、幼女、イケメン1号、2号、3号』のグループだ。
単純に戦力を考えれば、俺以外で全員を組ませてもバランスは取れない。
俺は何においても過剰な戦力だ。
だから俺をただの転移要員として考えた時、『銀』ランクの犬耳ちゃんと猫耳のタッグは、前衛後衛で組んで戦うと、それは『金』でも勝てない物になる。
犬耳ちゃんは索敵能力も期待できる。
多分、二人が力を合わせれば災厄の種の単体であっても対応可能だろう。
……本来ならば、ここに回復役の茶髪ロングさんを加えれば完全無欠。
クリスティを入れてもいいが……アルクスと分けさせるのは忍びない。
アルクスのグループは現状さらに2つに分けても問題ない位だろうが、転移を使えるのは俺と赤毛ちゃんだけだから、人数の関係で2つまでにしか分けられないので、このままとする。
……なにより、今回のグループ分けにおいて、赤毛ちゃんと茶髪ロングさんを試したいという気持ちが強くある。
浮気者の俺が、犬耳ちゃんと猫耳とワンワンニャンニャンし放題。
赤毛ちゃん達のまわりには、俺よりも顔も頭もいい。器も大きい。本当にいい男ばかりだ。
………そう。
単純に言ってしまえば。
俺は自信がない。
彼女達に好かれるだけの自信がない。
でも、それでも好かれたい。
浮気をしても、それでも好きでいてくれるくらいに好かれたい。
だから……こんな卑屈なことを考え、試してしまう。
これで赤毛ちゃんや茶髪ロングさんがイケメンに惹かれたりしても
『やっぱりな』
と、自己完結できるんだ。
そして女なんてそんなもの。
もうなにも気にせず好きにしよう。と考えられるだろう。
これは俺の中の勝手な試験なんだ。
そして……これでももし『俺を好き』だと言ってくれるのであれば、
…………
……その時は俺も腹をくくって全てを打ち明けよう。
自分が何を思っていたか。
どう思っているか。も。
…………俺はきっとどこかで、
こんなに素敵な子達なのだから、俺なんかを好きにならずに……もっといい男を好きになって欲しい。
そう思っている。
…………そうすれば……俺が深くキズつかず。
……終わることが出来る。
このグループ分けを伝えると、赤毛ちゃんと茶髪ロングさんと、幼女からものすごい反発があった。
それを嬉しいと感じてしまう性悪の俺がいる。
かなりヒートアップしての議論にはなってしまったけど、最低でも2日に1回、夜ご飯を一緒に取る為に王都のギルドに転移して顔を合わせる事。
緊急時はその旨をギルドに伝言すること。
緊急であっても俺と赤毛ちゃんにとっては、1分でも時間を取れればギルドに伝言を残すことは可能だからな……
ただ
赤毛ちゃんが
『こんなことなら、転移なんて覚えるんじゃなかった』
下を向いてそう呟いた時。
これまでに無いほど胸が締め付けられる気がした。
――こうして俺達は、2手に分かれての災厄の種の処理を開始した。




