52話 ドゲドー変わった災厄の種と話してみる。
『幼女センサー』やっぱすげぇわ。
イヤな気配がするって言われた方に向かうだけで、ちゃーんと村に着いちゃうんだもんな。
まさか湖の街から丸一日とぶ距離だとは思わなかったけどさ。
幼女がわざわざ『馬車の荷台使って移動ね』って言ってた意味がわかったよ。
距離感もわかるって、もうそれ色々なもん感知しすぎて寝不足になるんじゃないの?
ON・OFF切り替え可能か~。
至れり尽くせりだなー。
まぁ、幼女が元気に過ごせるほうがいいし、それでいっか。
え? おかしい?
近づいても村のイヤな気配逃げてないの?
むしろ出迎えてきそう?
なんだソレ初めての反応だな。
……なんか変だしちょっと急ぐか。
…………
すんげーニコニコ出迎えてくれてる狐耳君が居るけどさ。
……
……あの子だよね?
災厄の種。
……
あれ~?
敵対心のカケラもなさそうなんだけど?
?
うん。そう。
キミが異質だからね。
ちょっとお話にきたの。
……
なんか家に招かれてるけど?
まぁ、とりあえず罠でも俺なら問題ないし、ちょっと乗ってみるか。
みんなは待ってて。
***
って、ただの村長の家につれてきただけか~い。
あ、そうなの?
ここ狐耳君の家?
お母さんは?
あ?
隔離してんの?
へ~。
村長が母狐の様子がおかしすぎたから隔離したのか。
で、子供は村長が育ててたのか。
賢明な判断すぎるわ。
やるなここの村長。
成長早くてビビらなかった?
うん。
そりゃビビるよね。
あ~……おかげで助かった事も多いってか。
そっか。
村の農作業は力も人手もいるもんな。
ていうか狐耳君も
『早く成長できてよかった。
もっと村の役に立ちたい』とか。
う~ん?
…………
なんつーか。
なんつーか普通にいい子だな。
……そっか村長自慢の子か。
一応……この子『災厄の種』なんだけどな。
まぁいいや。
とりあえず母親の所に案内して。
そ。
治療みたいなもんするよ。
大丈夫。まかしとき。
ケガの心配とかも無いって。
チョチョイで終わるから。
そっか。
狐耳君はお母さんの居場所守る為に頑張って働いてるのか。
……心配すんな狐耳君。
案内してな。
***
ほい。洗脳解除。
問題なくポヤっとさん誕生っと。
お?
どした狐耳君。
プルプルして。
なんで泣く?
……
……良かったね。
ただ……ごめんな。その……これまでの記憶は無くなった。
そっか。
これから作るか。
村長も手伝ってくれるのか。
狐耳君親子なら大丈夫。か。
なんか……
……よろしく頼むわ村長。
ちょっと俺みんな呼んできて説明する。
村長の家に集まらせてもらうね。
***
……とゆーわけで。
狐耳君は非常に良い子でした。
この村の災厄の種は、まったく持って問題なし。
母狐も洗脳解除出来たし、超円満解決って感じ。
おっ。噂をすれば。
狐耳君親子の登場だわ。
?
あら、ご飯用意してくれたの??
結構人数いるけどいいの?
……恩人には当然か。
こんなに出したらさ、狐耳君の分なくなるんじゃないの?
ほらほら。
笑顔でごまかさないで言ってみ?
………
そっか。
狐耳君の力で開墾が進んでるけど、まだまだ貧しいか。
OKOK。
食べ物とかは任せて。
赤毛ちゃん。
マオーバーガーから色々持ってきてあげてくれないかな?
おお。いい笑顔。
うん。任せた。
……俺以外が転移使うの見ると、結構スゲーもんがあるな。転移って。
さて、見ての通り、狐耳君超いい子でしょ?
いい子って呼ばれてガチ照れしてるくらいのいい子。
なんか王都のギルドからの俺のイラっとが消えちゃうくらいいい子だわ。




