26話 ドゲドーみんなを村に送る。
おはよう~。
なんか昨日はすげぇ不名誉な扱いを受けた気がするよ俺。
もっかい言うけどさ。
俺はドゲドーだけど、ロリータには手を出してないよ。
そこは『YESロリータNOタッチ』に誓ってねっ!
ん?
幼女またレベル上がったの?
しかもかなり?
へ~。良かったね。
てか、昨日でも結構強いと思ったんだけどな。
末恐ろしいぞ……幼女。
あ。ホラ!
レベル上がったって事はちゃんと特訓してたって事じゃん!!
納得した? 二人ともっ! ねぇ!
……あ、もうその話はいいんですか。すみません。
まぁ、とりあえず朝ごはんを食べよ。
いただきまーす。
あ~……宿の朝ごはんもいいけどさぁ。やっぱ赤毛ちゃんと茶髪ロングさんの朝ごはんが俺は好きだな~。
ん?
なんか俺が普通だって?
ん~……なんか全部話したのと昨日は昨日で特訓で体動かしたからかな、
妙にスッキリしてるわ。
……あとさ、赤毛ちゃん達がこれまでと変わらない感じで過ごさせてくれてるって言うのも大きいと思う。
いつも気を使わせてゴメンな。
ありがと。
うん。
今日はみんなを村まで送るよ。
一応お別れだ。
そっか、気持ちは変わらないか。
好きでいてくれる。か。
ありがと。
俺もさ、多分みんなが好きなんだと思う。
……ただ、人って簡単に変わるもんだと思っちゃってるところがあるんだ俺。
俺に力も金も無かったらとか、想像すると怖いんだ。
いや、だってさ、あれだよ。
俺コッチに呼ばれて、何の努力もしてないのに最強になったんだよ?
なんかその最強って、いつ消えちゃってもおかしくなくない?
……うん。
茶髪ロングさんの言うとおり。
考えても仕方ないことなんだと思う。
だからさ!
俺も考え方をちょっと変えたよ。
俺が自分に自信をもててさ、
最強じゃなくても金が無くても、
きっとみんなは自分を好きでいてくれる!
そんな自信が持てるまで、ちょっと自分を見つめなおしたい。
だから一人で過ごす時間が欲しい。
我侭でゴメン。
……でもさ。多分俺には必要なんだよ。
だから許して欲しい。
……自分にケリがついたら、また会いにくるから、
その時にまた気持ちが残ってたら話をさせて欲しい。
だめかな?
まぁ、だめって言っても俺ドゲドーだから、無視するけどねー。へへー。
おう。ありがと。
だからちょっとだけお別れだ。
……できればみんなの気持ちが変わらないと嬉しい。
それはホントに心から思ってる。
…………
じゃ、そろそろ行こうか。
はいー。掴まってー。
そうそう胸を押し付けるのは忘れずに。
くふふ。
はい、幼女は手握って。
いくよー。
転移。
***
…………
なんか懐かしいな。この家。
ちょっとしか滞在して無いのに不思議と帰ってきた気がするよ。
ん?
あぁ、赤毛ちゃん達このまま住んでくれると有難い。
家って風を入れないと痛むっていうじゃない?
茶髪ロングさんも……うん。任せるよ。
はは。
早めにはケリつけて帰ってくるよ。
みんなが好きって言ってくれてるのが変わらないうちには頑張ろうと思う。
あ~そだ。
幼女を家に送るついでに、ちょっと離れること爺に言っとくことにするよ。
うん。
送ったら一回ここに戻ってくる。
ほら。幼女~~。
あばれても無駄です~。ききませんよ~~。
ほれぇ! いくぞー!
お姫様だっこしちゃるわー!
じゃ、赤毛ちゃん、茶髪ロングさん。
ちょっと幼女送ってくるわ。
***
…………幼女。
……ちょっと降りようか。
…………
……ここ幼女の家で間違いないよね?
だよねー。
俺間違ってないよね。
なーんか爺と母親らしき人が、すんごい事になってんだけど。
あんな感じの人達だったっけ?
そうだよね。
違うよね。
おい爺、帰ってきたぞ!タダイマ!
てか、なにがどうしてそんなジャラジャラ貴金属つけてやがる。
………あ。
わかっちゃったわ。
俺わかっちゃったわ。
あれか。
前に持ってきた土産か~。
あー……
こんなに早く買い手がつくとか思ってなかったぞ………
あ?
土産持ってきた時にちょうど商人が来てて運がよかった?
あ~~はいはい。そうですか。
ぺこぺこすんなよ。
いや、下品な笑い方すんなよ。
幼女ポカンとしてんじゃん。
幼女。あれだよ。
あの戦っちゃいけないトカゲ。
アレ前にお土産に持ってきたじゃん。
アレが売れたんだよ。
おう。
あれ鱗一枚でも一ヶ月は遊べるくらいの金になるからな。
村にまるっと一頭分持ってきたからな~。
爪とか角とか、牙とか、尾とかさ、貴重部位もちゃんとあったからな。
『ドラゴン一頭狩れば城が建つ』っていわれる位には金になるからなぁ……そっか~アレか~。
ん?
うん。爺達は見たこと無い金を手にしてテンションあがってるんだろ。
……だから爺。ペコペコと下品な笑い方すんなよ。
ほら~!
お前の余りの変わりっぷりに幼女が呆然としてんじゃねーか。
……あ~。
幼女さん?
肉親を前にして何だけどさ
俺ドゲドーだし。
とりあえず、この言葉を送ろう。
「な? 人ってすぐ変わるだろ?」
いやいや。
幼女を一緒にしてねーよ。
幼女はちゃんと真っ直ぐな心してると思うよ。うん。
たださ……やっぱ金とか権力とか力とかってさ効果覿面なんだわ。
これ……仕方ないことなんだわ。
いやいやいや。
幼女幼女っ!
爺に小さく『最低』とか言わないであげなさい。
今だけ! 今だけ! ちょーっとテンションおかしくなってるだけだからね!
な? 幼女?
おいおい幼女?
青筋たてちゃヤーヨ?
幼女結構強いんだから。
おい爺っ! てめぇ空気よめ!
今『ドラゴンまた狩れますか?』とか言うな!
……ちょ、マジでやめよ? 幼女。
短剣に手を伸ばそうとするのはやめよ?
よし。ちょっと幼女
お。落ち着け。
お、おち、
あわ、ああわてるな。
おお、お、
ア、アカーン!! 転移!!
***
……ゴメン。
赤毛ちゃん。
茶髪ロングさん。
幼女を家に帰せませんでした。
うん。
落ち着け幼女。
フーフー唸らない唸らない。
あ~……
……一応念の為にだけどさ。
赤毛ちゃんと茶髪ロングさんも……実家の様子を見てきてもらえないかな?
うん。なんか変わったこと無いか確認してきて。
俺、その間ちょっと幼女なだめてるから。




