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元聖人勇者 改め ドゲドーです。  作者: フェフオウフコポォ


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24話 ドゲドー心情を吐露する。


 あ~……ここじゃなんだし、ちょっと場所かえよーか。


 いいかな?

 そっか。



 じゃ、みんなちょっと掴まってくれる?

 うん。ありがと。



 転移。



 うん。

 幼女はここ来たことなかったな。

 最近のお気に入りの場所。



 まぁ、なんだ。

 とりあえず座ろっか。



 みんななんだよ。

 いつになく優しいな。



 ……やっと話してくれそうで嬉しいって? なんだよそれ。


 そっか。


 ずっと変だったか。


 ごめんな。

 気使わせちゃったな。



 うん。ありがと。

 ……俺


 ……ちゃんと話すわ。


 だから聞いてくれるかな。



 ん~。でもどこから話すかな。


 そっか。全部聞きたいか。

 わかったよ。


 全部話そう。




 え~っとな。

 普通の男がいたんだよ。


 なーんも力もなく、金もない。

 どこにでもいる普通の男。


 真面目しかとりえの無い、全っ然面白くない男。



 ある日さ、突然目の前が真っ白になったと思ったら、見たことない人がいっぱいいてさ


 「戦え」

 って言われたの。


 戦った事はもおろか、人を殴ったことだって無かったのにさ、ビビるよね。

 なんで戦わなきゃいけないのか聞くとさ『最強』だからなんだって。


 わけわかんないよね。



 でもさ、周りを見ると……なにもかも、変わっちゃってたんだよ。

 着てる服も人種も違う。

 世界そのものが違う。


 そりゃあ混乱するよね。


 友達もいねーし。

 親もいねー。


 これでも家族と友達は大事に思ってるんだ。

 でも、そんな大事な人達と……連絡をとる手段すらない。


 ……


 誰か助けてって


 救ってくれって


 心から思うよね。



 でも、それが思うだけ無駄だって気づくじゃん。

 どうしてもさ。

 時間が立てば色々見えてくるじゃん。どうしてもさ。


 そしたらさ、目の前の奴らに助けてもらうしかないじゃん。

 そいつらの思う通りに動いてさ。



 それが嫌な事でも


 戦いたくなくても

 殺したくなくても。



 本当に嫌で嫌で嫌で殺したくなくても……頑張るしかないじゃんよ。



 でもさぁ。

 嫌な事でも慣れるもんなんだよな。

 人間って、すげぇなって思ったよ。

 もう普通に殺せるようになるんだもんな。




 そうやって色々殺しながら頑張りつづけてればさ、やっぱり認めてくれる人も出てくるわけでさ。

 少しずつ味方とか仲間とか、友達とかもできたりしてさ。


 ……でも、やっぱりそいつらも期待するわけだ。


 『コイツに任せれば大丈夫』ってな。


 そりゃそうだよね。

 最強なんだもん。


 期待されれば応えたくなるし頑張るよ。

 それが普通だよね。



 そうしてるとさ。

 チヤホヤしてくれる人も増えて、全然知らなかった世界も過ごしやすくなってさ……


 ……でも。


 やっぱり『なんでチヤホヤするのか』って理由が分かりやすいんだわ。



 あれを倒して欲しいからチヤホヤ

 これを助けて欲しいからチヤホヤ

 ソレを手に入れたいからチヤホヤ

 自分が目立ちたいからチヤホヤ



 ま~。チヤホヤするって対価を払えば望みが叶うんだもんな。

 そりゃチヤホヤするわ。俺だってするわ。


 でもさぁ……結局のところ、それって、ただの便利な道具じゃん。


 ソイツの価値って。



 ……それを理解してくれる友達もできたし、ちゃんと支えようとしてくれる人も出来たよ。

 ようやく道具から外れて人間として見てくれる人がさ。


 まぁ、そうすると自然と好きな人とかもできちゃうよね。

 長く一緒にいたりするとさどうしても。


 で、相手だって好意をみせてくれるのさ。

 ウキウキしちゃうよね。



 ……でもさ。


 やっぱり

 『なんで友達なのか』

 『なんで支えよう』としてくれるのか……



 結局さ 『最強』だからなんだよね。


 もしある日突然『最強』じゃなくなったら?



 多分ソイツはぜーんぶ、なにもかもが嘘だったって思い知る事になる。



 …………怖いよね。


 友達だと思ってたヤツが離れて行く。

 好意を持ってたと思ったヤツが嫌悪してくるとか……考えたくない。


 だからがむしゃらに頑張ったよ。


 最強じゃなくなっても、その時に安心できるように。

 最強に対する好意じゃなくて、本当に「自分自身」を好きになってくれるように。


 無我夢中に頑張ったよ!

 結果だって出したつもりだ!



 …………だった。


 出したつもり……だった。


 でも変わらないんだよね。




 ……好きになった人ってさ、どうしても目で追っちゃうよね。


 そうするとわかるんだよね。


 誰が好きなのかとかさ。自分をどう思ってるかとかさ。



 …………


 結局『最強』から始まったヤツは……どこまで行ってもその枠から逃げられないんだよね。



 あとは惰性で頑張ってたけど、ある日ふと限界がきちゃって……全てほっぽりだしちゃった。




 うん。


 そう。


 この男。  俺。



 ……まぁ、そうだわな。気づくよな。

 ちょいちょい勇者って呼ばれてたしな、気づかない方がおかしいわな。


 うん。そだよ。

 元勇者。



 赤毛ちゃん、茶髪ロングさん、幼女。

 初めまして。勇者です。


 まぁ、現ドゲドーだけどな。



 ……




 なんでこんな話をしたかってーとさ。


 その………こっからが本題なんだけど



 ……



 俺、みんなともう別れようと思ってる。



 ……驚かないんだね。




 聞いてもいい?

 なんで驚かないの?



 そっかー。

 これも見てたらわかるのか。

 すごいな。


 ほんとすごい。



 一緒?


 ……そっか。


 好きだから……見てたらわかるか。



 うん。


 だから俺、

 昔話したんだ。


 その『好き』がさ、


 何に対しての『好き』なのかわかんないんだ。俺。



 でもさ、やっぱ好きって言われると、好きになるじゃん。

 どうしても



 だから


 だから



 …………だから



 もう……



 ………終わり…に……しようと。




 ……



 ごめん。





 ありがと。




 ……そっか。

 みんな……村で待っててくれるのか。





 ……





 おれ、まだわかんないや。


 自分の事もわかんない。


 ゴメン。




 ん?


 お詫びに明日までは一緒にいろ?



 ん~~……


 うん。

 わかった。




 じゃあ、ここだと冷えてきたし宿に戻ろうか。





 ほい。みんな掴まって。


 ……掴まりすぎだよ。



 へへ。



 転移。




****




 なんか、ただみんなでくっついて眠るってのも落ち着くな。


 あ~……朝になるの早い。

 みんなおはよう。




 ……じゃ、ご飯食べたら送るよ。




 って、幼女?


 今日は戻るんでしょー?



 へ??


 赤毛ちゃんと茶髪ロングさんは二人だけで一緒に過ごしたのに、一人だけ無いのはずるい?


 いや、でも幼女……


 う~ん……ま。それもそうだわな。


 じゃ、幼女と今日は一日過ごそう。

 で、明日送るか。



 おうっ! そだな。楽しくな。


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