21話 ドゲドー反省する。
いや~、こういう宿の朝ごはんってのも新鮮な感じがしたね。
でもあれだわ。
俺二人の朝ごはんの方が好きだな。うん。
あ。そうそう。
昨日は見て回れなかったからさ。
今日はみんなで色々観光しようか。
へ?
茶髪ロングさんと出かけて来い?
え? うん?
別にいいけどさ。
ん~はい、じゃあ赤毛ちゃんコレ。
今日赤毛ちゃんたちで使うお金。
いいからいいから。持ってきなさい。ホレホレ。
い~~から。ん。よしっ。
幼女。
知らない人についていったらダメだぞっ!
いいな? わかったか?
おう。ならよし。
ん。後、落ちてる物とかも食べちゃダメだぞう?
うははは。
って、おおぅ!
茶髪ロングさん。 急に腕組まないでよビックリするじゃん。
って引っ張らないで~!
***
…………容赦ねーな……茶髪ロングさん。
……まだ買う気か?
ね~……茶髪ロングさん。
いい加減さ~俺荷物持ち飽きたよ?
なんだよそろそろ許してあげるって。
ワケわからんわ。
……ま。許してくれるなら許されとくけど。
ありがと。
え?
荷物転移で村において来い?
いやいや、転移しちゃだめって……わかったよ。
ん?
一緒に行くって?
あいあい。
はーい。
荷物おきましたよー。
………
どした?
急に背中にタックルして
まぁいっか。
え?
赤毛ちゃんと二人で行った所に行ってみたい?
別にいいけど。
……なんもないトコだよ?
わかった。
んじゃ。転移。
ここ。
な~んもないでしょ。
景色眺めるくらいしかすることないよ?
え? なに?
うそっ! 膝枕してくれんの?
おおっ!? まじで!
お。お~~……
……いいですな~ これは良い枕です。
うへへ。
ん~?
そだね。
風が気持ちいいね。
うんうん。
ん~~?
…………
ははは~。
いや、それアレだよ。
ヘルシンキだか、アムステルダムだか、なんとか都市名シンドロームとかいうヤツだわ、
被害者が加害者に思い入れしちゃう系の勘違いだよ。
うん。勘違い。
気のせい。
うん……
……気のせいだよ。
…………ド外道にいいように体弄ばれて勘違いしてるだけなんだよ。
茶髪ロングさんは。
この話おしまい。
だめ。
おしまい。
……でも…ありがとね。
もうちょっと膝枕お願い。
茶髪ロングさんの手はきもちい~な~。
***
**
そろそろ帰ろっか。
赤毛ちゃんと幼女、きっと夜ご飯待ってるだろうし。
うん。
転移。
あ。また俺待ち合わせとかしてないよ!?
え?
宿の部屋でのんびり過ごしてる?
……そっか。
なんかごめん。
気を使わせてるよな。
あ~……なんか俺、めんどくせーヤツになってるな~。ちょっとショックだわ。かなりショックだわ。
へいへい。
かわいいって言ってくれて、どうもありがと~ですよ。
じゃ、今日はパーッと色々忘れるのに宴会しましょ~か!
え? 今日はだめ? 明日?
あ?
あ~……
今日は茶髪ロングさんが気が済むまで一緒なんですね。
そっか、昨日は赤毛ちゃん。
今日は茶髪ロングさんか。
そっか。
じゃあ、今日は茶髪ロングさんと手をつないでいよう。
***
…………
好きだって思うから好きになるんだ。
考えないようにしよう。
どうせ長く一緒にいれば、その分だけ、どいつもこいつも
『あ~。こいつ便利』
『ずっと近くに置いておこう』
って事しか頭になくなるんだ。
それをごまかす為に、無理矢理 『私は好きだから一緒にいる』 って思い込もうとする。
……俺。
単純だからそれを勘違いしちゃうし。
そんなの誰も幸せにならねーし。
嘘の上に本当の幸せなんかねーし。
…………
……だから、もうお別れにしよう。
明日パーっと遊んで、そのまま、あ~! 楽しかったわ!
あ、君らもう用済み。
じゃ村まで送るわ。ほれ転移。
で、そのまま別れよう。
おれは別に赤毛ちゃんも、茶髪ロングさんも幼女の事も好きじゃない。
うん。
好きじゃない!
……好きじゃないっ! ったら好きじゃないっ!!!
………
俺はド外道。
そう。別に好きとかそう言うんじゃない。
ただ体が目当てだっただけだ。
…………決めた。
……うん。
決めた。
明日はさよならの日だ。
また、どっかで村襲っても、今度は長居しないようにしよう。
その方がずっと楽だ。
明日は、赤毛ちゃんと茶髪ロングさんと幼女と過ごす最後の日!
……せめて最後は……別れるまでは……
楽しく過ごそう。




