14話 ドゲドー初めて旅行に出発する。
……よい てんき ですね~。
じゅんびは い~ですか~?
あ~はい。
げんきがよくて なによりですね~。
もうにどと いきて かえってこれないかも しれませんよ~?
それでもですか~?
あ~そうですか。 げんきですね。
はぁ~……
まぁ、言っちゃったもんは仕方ない。
じゃ、気を取り直して出発しよ。
で、赤毛ちゃんと茶髪ロングさんや。
どっちに進めばいいのかな?
あ? 二人とも迷ってるの?
ちょっと何をどう迷ってるか教えてよ。
へー。茶髪ロングさんは味覚メインか~。
土地土地の料理を楽しんで、最後は海に着くコースか。
海の幸なー。いいなー。
酒はアリですか?
アリですか~! それはなおいいですなっ!
うん! そっちにしよう!!
え? あ、はい。すみません。
そんなこと無いです。
いやぁ、聞きたいなぁ。
うん。聞きたいわ~。興味深々だわ~。
だから教えてください。赤毛ちゃん。
うんうん。
歴史と伝統の建物……うん?
舞台と歌劇。へ~。
最後にオーロラを見る。
ふ~ん。
あ? うんうん。
いいと思うよ。うん。
ステキステキ。うん。
いやいやいや、そんなことね~よ。
茶髪ロングさんのコースで決まったわけじゃな~いよ?
ほんとだよ~?
そうだ幼女っ!
幼女はどっちがいい?
美味しいものを食べて飲んだりするか、じっと立ってなんか見たり、じっと座って何かを見るか。
どっちがいい?
だよね~!
うん。じゃあ――
……
いやいや、拗ねんなよ。
かわいいよ? 赤毛ちゃん。
拗ねてる姿もかわいいよ?
だから機嫌直して。ね? ね?
いや、なんで今度は茶髪ロングさんが拗ね気味になるんだよ?
て~か幼女もなんで拗……キレてるんだよ!
あーーー! もう面倒くさいっ!
もう聞きません。
俺はなにも聞きません。
俺静かにキレた。
キレちゃったもんね。
そもそもの話、浮いてるんだよ? この馬車の荷台!
なのに道なりに進んでどうするよ?
前人未踏の道を進もうよ! そこを諦めんなよっ!
はーい。
もう意見は聞きません~。
舵は俺がにぎってます~。ぺぺぺーだ。
道なき荒野突っ走ってやるぜ!
あ、そだ。
出発ちょっと待って。
出発前だから転移してもいいよね?
ほんとちょっとだけ待ってて。すぐ戻るから。
転移!
おい、商人のバーカ。
えっとぉ? 葡萄酒とチーズとハム。あと黒パンとかある?
おけおけ。わりーやね。
あ~、あとナイフとコップもつけてな。
うん。頂戴。
う~ん? とりあえず8人分くらいかな?
そだ! 子供のすぐ飲めるようなアルコール飛ばした蜂蜜入りの葡萄酒なんてあったりする?
そか。あるか。さすがー。
それも2人分頂戴。
ん。ありがと。
パクるわ~。
俺コレ全部パクっちゃうわ~外道だしぃ?
あ~。慌てたせいで金貨落としたわ~。
まぁ、いっか全然急いでるし~。じゃ~な~。
転移。
ただいま~。
よいしょ。
茶髪ロングさんや。コレちょっと隅に置いといて。
ん。
よっしゃお待たせ。
じゃあ出発するよ~。
魔力注入!
だ~いじょ~ぶ。分かってる分かってる。
高くしないって。ホントホント。
二人一緒に口揃えて言わなくても分かってるって。ぐええ。
1mくらいしか浮かさないってば。
だからだいじょ~ぶだって。ぐええ。
れっつらー……ごーっ!
お~……結構スピード出せそうだな。
それーい。
……でもあんま出すと幌がばったばたばったばたうるせーな。
ん~?
50キロくらいがギリかな?
お? なんだ?
みんな喜んでるねー。
そっか早いもんな~。
って今更だけどさ、この馬車乗ってて気分悪くなったりしない? 大丈夫?
いや、だって、ほら…………まぁ全然気にならないならいいけどさ。うん。
じゃあ、はーい茶髪ロングさん。
その隅に置いた俺の持ってきたヤツを漁ってみてくださーい。
いえーっ!
パーリーターイム!
?
だって食べながらの方が楽しいでしょ。たぶん。
いや知らねーけど。
なんとなく。なんとなくだよ。
え? 赤毛ちゃん葡萄酒飲んだこと無いの?
うそっ!?
飲んだことが無いのが許されるのは幼女までだよね~。
ね~幼女~。
まぁ、ちみっとだけ試してみたら?
うへへ。酔ったらどうなっちゃうのかしら?
うへへへ。
あれ? なんか楽しくなってきちゃった。




